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歌・音楽

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歌や音楽について思うこと、気付いたこと。
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#本

『からだで変わるピアノ』宇治田かおる著

脱力して弾くようになどといわれるピアノ。しかし、どのように脱力できるのか?ピアノに弾いてもらうとは?など、ピアノ演奏時の身体の使い方について書かれた本。

心構えのような感じだが、どういうイメージを持つかによって身体の状態や動きは変わってくるので、参考にできる部分があると思う。でも実行するのは難しいのだが。

『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』古屋晋一著

『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』古屋晋一著

楽譜を見て指が動く、楽譜を見て音が聞こえる、指を猛烈な速度で細やかに動かせる、膨大な量の鍵盤やペダルの動きを記憶する、など、ピアニストの指先(とペダルを踏む足と、実は体全体をダイナミックに使っているのだが)や耳、脳は、訓練によって、特殊な状態になっている。

そうした仕組みを、科学の観点から一般向けにわかりやすく解説した本。

フォーカル・ジストニアという、ピアニスト(やほかの楽器の演奏家)に多い

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『音楽の基礎』芥川也寸志著

『音楽の基礎』芥川也寸志著

新書だし、入門書のような顔をしているが、中身は、ある程度楽譜を読めるなどの基礎力がないと、大部分は理解するのが難しいと思う。

『「宇宙の音楽」を聴く 指揮者の思考法』伊藤玲阿奈著

『「宇宙の音楽」を聴く 指揮者の思考法』伊藤玲阿奈著

指揮者の著者がコロナ禍に執筆した初の著書。

タイトル、コンセプト、構成のすべてがちぐはぐな印象の不思議な本だが、要するに、西洋の価値観や思考法にとらわれていた著者が、それらに基づいて行動して成功したものの、挫折と行き詰まりを経て、「東洋的な思想」に目覚め、精神的に楽になり、人生がまたうまくいくようになった、というところか。

それだけを言いたいがために、西洋の思想史や、(欧米目線での)中国思想の

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『日本人のこころの言葉 世阿弥』西野春雄、伊海孝充著

『日本人のこころの言葉 世阿弥』西野春雄、伊海孝充著

「稽古」「作能」「演技」「相伝」のテーマごとに、世阿弥の残した著作から言葉を原文で引用し、現代語訳と解説を付した本。読みやすい。巻末には世阿弥の生涯も記してある。

能の話だが、能以外にも適用できそうな言葉が紹介されている。

世阿弥は、演者であり、創作も行う、興行師だったようだ。どんな能を演じれば観客の心をつかめて、自分たちが能を続けていけるか、ということを強く意識して活動していたらしい。

『能面の世界』監修:西野春雄、解説:見市泰男 能面の基礎がわかる入門書

『能面の世界』監修:西野春雄、解説:見市泰男 能面の基礎がわかる入門書

能面の種類が大きな写真付き(大半はカラー写真)でわかる。能面の見分け方、略史、世襲面打家系図、作り方、表現の意味するところ、鑑賞できる美術館・博物館リストなども掲載。狂言面についての解説もある。

能面は、写真を見るだけでも生きているようだ。芽のところに小さな穴が開けられているようだが、能面を着けると視界がかなり狭まると聞いたことがある。どんなふうに見えるのだろう。視力でない部分(身体全体の感覚?

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『西洋音楽史 「クラシック」の黄昏』岡田暁生著

『西洋音楽史 「クラシック」の黄昏』岡田暁生著

西洋音楽史における「クラシック音楽」とは、18世紀後半から20世紀前半の芸術音楽を指す。

「クラシック音楽」の歴史と、それ以前のヨーロッパの中世、ルネサンス、バロック、そして「クラシック音楽」以後の音楽の様相を概観する本。

『「クラシック音楽」はいつ終わったのか? 音楽史における第一次世界大戦の前後』岡田暁生著

『「クラシック音楽」はいつ終わったのか? 音楽史における第一次世界大戦の前後』岡田暁生著

第1次世界大戦の前後で音楽はどう変わったのか?を、前衛芸術、録音メディア(レコード)、ジャズ、音楽の国有化などから論じる。

音楽の音楽としての側面と、歴史とを結び付けて、「音楽史の切断面」を考察する本で、興味深い。

『戸川純全歌詞解説集──疾風怒濤ときどき晴れ』生きるつらさに向き合い、暗さ、ユーモア、強さを歌う

『戸川純全歌詞解説集──疾風怒濤ときどき晴れ』生きるつらさに向き合い、暗さ、ユーモア、強さを歌う

本人からの聞き取りによる本。自作の歌詞について語っている。

「孤独」ではないが「一人感」があるという。

「純ちゃんの気持ちは私だけがわかる」(略)そう言われたり、そういうお手紙をいただくたび、「私の何を知ってるんだ」って思う。(略)どこまでいっても、互いに分かり合えない。私は仲間意識というのは苦手。仲間という言葉も嫌い。極端に言えば、個々それぞれが集まって集団になるけど、あくまでもまず個々があ

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