41.るすとこ

 日々のエセー『まいにちとことこ』
第41回は、「るすとこ」留守番あるいはカギっ子について。

 両親が共働きで、当時一緒に住んでいた父方の祖父じいさんも日中は仕事をしてたから、学校が終わる時間でも家には誰もいなかった。

 妹たちは保育園に、弟はその保育園に併設された学童保育にいた。ぼくはというと、学童が小3までだったから、部活がない日は家に帰って、ひとり留守番をしてた。いわゆる「カギっ子」だ(もはや死語かもしれないが)。
 自分のカギを持っている嬉しさが、ほんのちょっとだけあった。

 家にひとりでいる時間は、たった1、2時間くらいだったと思うけど、長く感じた。なんでも自由にできた。けれど結局、ずっとぼーっとしてテレビでドラマの再放送を観たりしてた。

 時折、カギを家に忘れることも多々あった。そんなときはおとなしく玄関で誰かの帰りを待つしかない。ほどよく晴れていて、白い雲がどこかへ流れていく。代わり映えのない日常。漠然とした不安。田舎の片隅で。

 でも、そんな時間が、とても愛おしかった。


[2024.9.21]