40.りもとこ
日々のエセー『まいにちとことこ』。
第40回は、「りもとこ」。リモートとコミュニケーションについて。
ふしぎなもので、「リモート」という言葉が身近になって、その利便性をもう嫌というくらい知っている。
多くの場合、それは遠隔のビデオコミュニケーションを指すのだろう。
画面越しのぼくの顔はミラーリングしていて、きっとぼくじゃない。
画面越しの貴方の顔もミラーリングしていて、きっと貴方じゃない。
だとすると、このコミュニケーションは本当じゃないのか?
そんな思いが時間経過とともに大きくなって、実際に会って話すときも、こんなふうに取り繕い合っているのかとなんだか悲しくなって、貴方の頭の中のすべてをぼくに知られない自由がぼくには不自由に感じられる。
コミュニケーションは、ドラマトゥルギーで、そのひとを本当に知ることなどできない。
だから翻って、逆接的に言えば、Zoomなどのリモートだからといって、X(旧Twitter)やLINEなどのチャットのやり取りだからといって、ある問題が発生し、渋滞を来たしているわけでは決してない。
その問題は、ひとえに、交通だ。遠隔通信特有の問題に還元できるとは限らない。
[2024.9.20]