アイヌの子どもたちの草花あそび
森と木が大好きな北海道の佐野です。
北海道も夏本番。山々は、緑の木々と色とりどりの草花におおわれ、鳥や虫たちも賑やかになってきました。
アイヌの子どもたちも遊びの天才
子どもは遊びの天才と言われますが、それは、アイヌの子どもたちも同じですね。北海道の大自然の中で、アイヌの子どもたちは、様々な遊びを発明していたようです。
今回は、北海道教育委員会の調査報告書である「アイヌ民俗技術調査11」の中から、アイヌの子どもたちがどのような草花遊びをしていたかを紹介したいと思います。
カッコウ遊び
ツリフネソウやキツリフネのことを、アイヌ語でカッコクムンと呼びます。カッコウの草という意味ですね。アイヌの子どもたちは、花の空洞に人指し指を突っ込み、上下に動かしながら「カッコク、カッコク」とカッコウの鳴き声を真似て遊んだそうです。
確かに、思わず、指を突っ込みたくなる形をしていますよね。
ネコヤナギの数当て
ネコヤナギの花(花穂)は、何ともかわいらしい形をしていますよね。春になり、ネコヤナギの花が咲くと、アイヌの子どもたちは、その花を枝からもぎ取り、握りしめて、友だちに見せて、ネコヤナギの花が拳の中に何個隠されているかを当てさせるという遊びをしていたそうです。ぎゅっと、握りしめれは、かなりの数の花を隠し持つことができそうですね。なかなか、言い当てるのは難しそうです。触り心地も良さそうですしね。
バイケイソウの草人形
初夏になると、湿地帯に、バイケイソウの群生地が現れます。この大きな葉っぱが特徴ですね。アイヌの子どもたちは、成長したバイケイソウの葉っぱを2枚ずつになるように茎を上から順々に切り取り、それを材料に、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、子どもの人形を作って、家族人形として遊んだそうです。写真のバイケイソウだと、6人家族までは、大丈夫かな?大家族だと、1本では足りなくなりますね。
ヨブスマソウの水鉄砲
北海道の山の開けたところでは、ヨブスマソウがにょきにょきと生えています。ヨブスマソウは、茎が中空になっているのが特徴です。アイヌの子どもたちは、ヨブスマソウの葉っぱをちぎって茎だけにして、ストローのように口で川の水を吸い上げ、茎の中にたまった水を吹き出して遊んだり、茎に水をためた状態で、ブンブン振り回し、遠心力でみずを撒き散らして遊んでいたようです。
個人的に、ちょっと、試してみたいと思った遊びですね。
イタドリだけで遊び百出
最後に紹介するのはイタドリを使った遊びです。
イタドリは、スッポン、スカンポなど地方によって様々な呼び名があり、それだけ、親しまれている植物ですね。ちなみに、私が産まれた小豆島ではイタンズルとも呼ばれていました。
北海道のイタドリは、本州以南で良く見られるイタドリよりも一回り大きいので(標準和名オオイタドリ)、アイヌの子どもたちにとっても、魅力的な遊び道具だったようですね。報告書の中に紹介されていたものだけでも、茎舟流し、葉舟流し、筏流し、水流し、うなり、茎鼓、茎笛、籤飛ばし、チャンバラ、水鉄砲、茎打ち、茎叩き、と10種類以上にも及びます。
うなりに挑戦
先ほど紹介した10種類以上のイタドリの遊びの中で、うなりを現在の北海道の子どもたちにチャレンジしてもらいました。
うなりとは、分かりやすく説明すると、ナウシカが蟲をなだめるために鳴らした蟲笛をイメージしてください。
報告書では、アイヌの子どもたちは、枯れたイタドリの茎を切り取り、茎の節を抜いて管状にしたものに紐をつけて振り回して遊び、ブーンブーンといううなり音を楽しんだそうです。
アイヌの子どもたちに負けてられないと、私は、さらに研究して、節を抜かずに、側面にスリット穴を開けて、さらに、風切り羽をつけてみまして。すると、管状にしたものよりも音が大きく、ナウシカの蟲笛に近い音が出て、嬉しくなりました。まだまだ、研究の余地がありますね。
報告書どおりに作ったうなり
改良版
ナウシカになりきっている子どもたち
草花遊びは子どもの文化
今回紹介したのはごく一部であり、その他にも、フクジュソウや、マイズルソウ、オオウバユリ、タンポポなど、野山に咲いている草花でいろんな遊びを発明していたようですね。
今の子どもたちも、夢中になって、うなり(ナウシカごっこ)を楽しんでいましたから、機会があれば、アイヌの子どもたちが発明した他の遊びも、今の子どもたちに継承していきたいと思います。草花遊びは子どもたちの大切な文化ですからね。
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