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【廃車化】約30年の歴史に幕を閉じていくE217系
現在、東京近郊で活躍してきた1つの車両において
廃車化が進んでいます。
横須賀線・総武快速線を中心に
約30年に渡り活躍してきたE217系電車です。
今回はE217系電車について
車両、廃車化の背景、廃車後の置き換えなど
さまざまな内容を含めた解説をしていきます。
※横須賀線・総武快速線
東京近郊エリアの運転系統における1つの路線名
横須賀線(大船〜久里浜)
東海道線(鶴見〜大船・東京〜品川)
品鶴線(品川〜鶴見)
総武線(東京〜千葉)といった4つの路線を直通して
運転することから、言われるようになった。
1.E217系について
E217系はJR東日本が所有する近郊型電車です。
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かつて横須賀線・総武快速線で使用されていた
113系の置き換えを目的として1994年に誕生して以降
1999年までに量産車の製造などを通して
5年間で全ての車両を置き換えました。
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2004年のダイヤ改正では一部車両が
国府津車両センターに転属され、2006年には
車両の帯色を湘南色(橙・緑)に変更して
東海道線で使用された時期もありましたが
2015年のダイヤ改正で東海道線での使用は全滅し
横須賀線・総武快速線での使用に戻りました。
またE217系は国鉄・JRの近郊型電車で初となる
4扉構造が採用されたほか、混雑緩和を目的として
ロングシートを基本としながら一部車両では
遠距離移動や観光客へ配慮したクロスシートを設けた
セミクロスシート構造になっています。
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セミクロスシート構造は、後に製造される
E231系1000番台やE531系などにも採用されました。
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E217系は主に横須賀線・総武快速線に使用され
横須賀線の久里浜(神奈川県)駅から東京駅を経由して
千葉県の千葉駅・君津駅・佐倉駅・成田空港駅など
東京湾に沿った広いエリアで現在も活躍しています。
かつては房総半島の南側の館山駅まで
乗り入れる時期もありましたが2017年3月をもって
館山方面の乗り入れは廃止されました。
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総武快速線における錦糸町〜千葉間においては
中央・総武線(三鷹〜千葉)と並走しています。
主要駅のみ停車する総武快速線と
各駅に停車する中央・総武線が複々線を形成し
千葉方面からの通勤需要を支えています。
2.E217系廃車の背景
一般的な在来線の鉄道車両の寿命は約30年です。
E217系の場合も約30年間使用されてきたことから
JR東日本としても置き換えに至ったと思われます。
JRの場合、置き換えられた車両は
他社の鉄道会社に譲渡されるなど
活躍の舞台を変えて引き続き使用されることが多く
廃車になるケースは多くありません。
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1つ事例を上げると
現在、千葉エリアで活躍している209系は
2010年までは京浜東北・根岸線で使用されましたが
E233系1000番台への置き換えで
塗装を変更して千葉エリアに活躍の場を移しました。
JR東日本はこれまで車両の置き換え時には
活躍の場を移すことが多くあったにも関わらず
E217系はなぜ廃車になるのでしょうか?
主に2つの理由が考えられます。
1つ目は、置き換えに適切な場所が無いことです。
E217系はかつて東海道線や湘南新宿ラインで
使用されていた時期も存在していますが
その頃は上野東京ラインがまだ開業していないため
東海道線の列車は東京駅止まりとなっていました。
また、湘南新宿ラインは新宿止まりとなっていたため
現在のように高崎や宇都宮といった北関東に
乗り入れることがありませんでした。
しかし湘南新宿ラインや東海道線の列車が
高崎や宇都宮まで直通するダイヤに改正され
車両に寒冷地に対応した設備が無ければ
高崎や宇都宮に乗り入れることはできなかったのです。
後に誕生するE231系1000番台やE233系3000番台は
寒冷地に対応した設備が整っていたことに対して
E217系にはそのような設備はありませんでした。
寒冷地に対応した設備を投入することはできますが
将来的にもE217系の設備投資に経費をかけるのは
JR東日本として現実的ではないのかもしれません。
その他に東海道線や湘南新宿ラインの列車は
10両(グリーン車2両含む)+付属編成5両に対して
E217系は11両(グリーン車2両含む)+付属編成4両と
分割した際の両数が異なることからも
東海道線などの運用に使用できないのかもしれません。
2つ目の理由として
車両の劣化も考えられます。
E217系は横須賀線・総武快速線を走行しますが
横須賀線・総武快速線は駅間が長く
最高速度120km/hを出す区間も長くなっています。
またE217系は横須賀・久里浜や内房線・外房線など
比較的海に近いエリアを走行しているため
塩害の被害を受けます。
他の路線に使用しても活躍する期間は
短いと考えられてしまうのかもしれません。
以上の2つから廃車になる理由を述べましたが
あくまで公式からの発表ではない為、ご了承ください。
3.E217系の置き換え
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2018年、JR東日本は2020年より横須賀線・
総武快速線にE235系1000番台の導入を発表し
2020年12月より営業運転を開始しました。
E235系1000番台は
クリーム色とブライトブルーの塗装のほか
グリーン車2両を含めた11両編成と付属編成の4両
合わせて15両編成での運転
クロスシートとロングシートを設ける
セミクロスシートの車内など
E217系の要素を多く継承しています。
4.まとめ
ここまでE217系の車両や廃車になる背景、
横須賀線・総武快速線の置き換えについて
解説してきましたがいかがでしたか?
2025年2月時点で2編成の運用は確認されたものの
全て引退する日も遠くはありません。
E217系の設備が現在の遠距離通勤を支える
他の車両に活かされているのです。
E217系の思い出や記事に関する意見などあれば
コメントしていただけると幸いです。
2025年最初の投稿でしたが
最後までお読みいただき、ありがとうございました。