【首都圏】長距離移動を担う上野東京ラインと湘南新宿ライン
大都市の通勤・通学の役割を果たすのは、
ほとんどが鉄道になっています。
大都市の1つであり日本の首都でもある東京も
鉄道が欠かせない環境になっています。
今回は、郊外から首都圏への長距離移動に欠かせない
2つの列車「上野東京ライン」と「湘南新宿ライン」を
解説していきたいと思います。
１．上野東京ライン
上野東京ラインは上野と東京を経由して
高崎線・宇都宮線・常磐線と東海道線・伊東線を
相互直通で運転する路線の愛称です。
※宇都宮線
東北本線の東京〜黒磯（栃木県）間の愛称
車内放送でも「宇都宮線」と案内されている
上野東京ラインの列車には
宇都宮線・高崎線と東海道線・伊東線を結ぶ2系統と
常磐線と東海道線を結ぶ合計3つの系統があります。
一部駅のみ抜粋
上野東京ラインで行くことができる区間は
宇都宮線の宇都宮駅、高崎線を超えて両毛線の前橋駅、
常磐線の高萩駅、常磐線から我孫子支線に乗り入れた
成田駅、東海道線の沼津駅、東海道線から伊東線に
乗り入れた伊東駅までです。
２．湘南新宿ライン
湘南新宿ラインは池袋、新宿、渋谷といった
副都心を経由して高崎線・宇都宮線と
東海道線・横須賀線を相互直通で運転する
路線の愛称です。
（湘南新宿ライン停車駅のみ駅名表記）
（簡略図）
湘南新宿ラインは横浜〜赤羽間においては
横浜を出発するとしばらく東海道線と並走しますが
鶴見駅付近から品鶴線といわれる
貨物列車用の線路を走行します。
蛇窪信号場から大崎支線を経由して山手貨物線に入り
田端駅付近で東北本線に入ります。
※品鶴線
品川〜新鶴見信号場を結ぶ東海道線の支線の通称
元々は貨物列車用の線路だった
横須賀線の列車も同じ場所を走行する
※蛇窪信号場
西大井駅の北側にある信号場
大崎方面と品川方面に分岐している
※大崎支線
蛇窪信号場〜大崎駅間の支線
湘南新宿ラインはここを走行する
※山手線貨物線
大崎駅〜田端駅付近の区間にある貨物路線
湘南新宿ラインや埼京線の列車が走る線路
湘南新宿ラインの列車には
宇都宮線と横須賀線を結ぶ系統と
高崎線と東海道線を結ぶ2つの系統があります。
一部駅のみ抜粋
湘南新宿ラインで行くことができる区間は
宇都宮線の宇都宮駅、高崎線を超えて両毛線の前橋駅、
東海道線の小田原駅、横須賀線の逗子駅までです。
３．２つの列車の共通点
上野東京ラインと湘南新宿ラインを説明しましたが
次は2つの列車の共通点について解説します。
○グリーン車の存在
上野東京ラインや湘南新宿ラインには
グリーン車が組成されており、乗車券の他に
追加料金を支払い、グリーン券を購入することで
快適に移動することができます。
上野東京ラインや湘南新宿ラインで使われている
E231系1000番台とE233系3000番台をはじめ
上野東京ラインの常磐線系統で使われている
E531系は10両または15両で運転されており
そのうち2両がグリーン車となっています。
グリーン券は、上野東京ラインや湘南新宿ラインが
停車するＪＲ東日本管内の駅にある券売機や
車掌に申し出ること（車内販売）で
購入することができます。
ただし、車内販売での購入は券売機の購入に比べて
発売金額が高くなるので十分ご注意ください。
グリーン券の販売額は以下の通りです。
「Suicaグリーン料金」は駅のホームに設置されている
suicaまたはPASMOの残高で購入するときの料金で
「通常料金」は駅の券売機で紙のグリーン券を
購入するときや、車掌から購入するときの料金です。
４．２つの列車は何が違う
上野東京ラインと湘南新宿ラインには
一見同じような路線と思う方もいるかと思いますが
実は決定的な違いがいくつかあります。
ここでは上野東京ラインと湘南新宿ラインの違いを
解説していきます。
○開業の目的
上野東京ラインが開業したのは、2015年です。
開業前は、高崎線・宇都宮線・常磐線の列車は
上野駅止まり、東海道線の列車は東京駅止まりでした。つまり、上野〜東京間を移動するには
山手線や京浜東北線に乗り換える必要がありました。
その影響もあり、この区間の混雑率が非常に高いことが
長年の課題としてありました。
元々、上野〜東京間に線路が無かったわけではなく
上野から東京へ直通運転が行われていたこともあり
線路は存在していましたが、東北新幹線の建設時に
その線路用地を新幹線用に転用するために
撤去されました。
東北新幹線の東京〜上野間が1991年に開業した
その2年後、JR東日本が高崎線・宇都宮線・常磐線・
東海道線の相互乗り入れを計画したことにより
撤去された線路が再敷設されて
2015年3月14日に上野東京ラインが開業しました。
上野東京ラインの開業により得られた効果は
混雑緩和だけではありません。
車両基地の縮小にも貢献しました。
上野東京ラインの開業前、東海道線の車両は
田町（上野ライン通過駅）〜品川間にある
「東京総合車両センター田町車両センター」を
使用していましたが、上野東京ラインの開業で
宇都宮線や高崎線などの車両基地を使用することが
できるようになりました。
これにより以前の車両基地が縮小され
車両基地だった場所は、再開発用地と
新駅の建設場所として活用されました。
高輪ゲートウェイ駅はこの用地を利用して
建設されました。
一方、湘南新宿ラインが開業したのは、2001年です。
開業前の1988年に現在、湘南新宿ラインが走行する
線路を利用して小田原駅から新宿駅の間で
「湘南新宿ライナー」という列車を運行しました。
それまではＪＲで横浜方面から
渋谷・新宿・池袋などの副都心に向かうには
品川駅で山手線に乗り換えなければならないため
所要時間が長くなり面倒な状況でした。
また、渋谷〜横浜間では東急東横線
小田原〜新宿間・藤沢〜新宿間では小田急線と
競合路線が存在していたため
ＪＲ東日本としては横浜方面から東京副都心に
直行する経路を作らなければならない状況でした。
以上のことから現在の湘南新宿ラインが
開業したのです。
○停車駅
上野東京ラインと湘南新宿ラインは
小田原〜大宮間において線路を共用したり
並走している区間がありますが
停車駅が異なっています。
「上野東京ライン 普通」と
「湘南新宿ライン 普通」の停車駅を比較します。
大船〜大宮間の停車駅の簡略図
2つの列車は大船〜大宮間で停車駅が異なります。
上野東京ラインの停車駅は大船・戸塚・横浜・川崎・
品川・新橋・東京・上野・尾久・赤羽・浦和・
さいたま新都心・大宮です。
一方、湘南新宿ラインの停車駅は
大船・戸塚・東戸塚・保土ヶ谷・横浜・新川崎・
武蔵小杉・西大井・大崎・恵比寿・渋谷・新宿・
池袋・赤羽・浦和・大宮です。
また、上野東京ラインと湘南新宿ラインには
快速列車が設定されています。
上野東京ラインの快速は
尾久、さいたま新都心の2駅を通過します。
一方、湘南新宿ラインの快速は
宇都宮線－横須賀線系統は
大船〜大宮間は各駅停車で運行されており
高崎線－東海道線系統は全列車が
快速または特別快速の種別で運行されており
快速は東戸塚・保土ヶ谷・新川崎・西大井を通過し
特別快速は快速の通過駅に加えて恵比寿も通過します。
○運行本数
上野東京ラインの運行本数は
日中の時間で1時間に11本です。
11本の内訳は高崎線3本、宇都宮線3本、常磐線5本で
常磐線の5本のうち2本は特急列車です。
朝夕のラッシュ時には本数が増えて
東京駅を8時台に出発する列車は上野方面が17本、
品川方面が19本設定されています。
一方、湘南新宿ラインの運行本数は
日中の時間で1時間に4本です。
4本の内訳は高崎線－東海道線系統が2本、
宇都宮線－横須賀線系統が2本となっています。
朝夕のラッシュ時には本数が増えて
新宿駅を8時台に出発する列車は
横浜方面が7本、宇都宮・高崎方面が6本あります。
どちらも利用者数が多い路線にも関わらず
上野東京ラインの本数が多いのには理由があります。
それは線路の共用が関係しています。
湘南新宿ラインは池袋〜大崎間において
埼京線と線路を共用しています。
埼京線の運行本数は日中の時間で1時間に9本あり
湘南新宿ラインの運行本数を足すと13本になります。
朝夕ラッシュ時には20本以上になります。
５．まとめ
上野東京ラインと湘南新宿ラインについて
共通点や相違点を加えて解説してきましたが
いかがでしたでしょうか。
・上野東京ラインは3系統が存在する
高崎線－東海道線（前橋〜沼津・伊東）
宇都宮線－東海道線（宇都宮〜沼津・伊東）
常磐線－東海道線（高萩〜品川）
・湘南新宿ラインは2系統が存在する
高崎線－東海道線（高崎〜小田原）
宇都宮線－横須賀線（宇都宮〜逗子）
・上野東京ラインは上野〜東京間の
混雑緩和を目的に作られた
・湘南新宿ラインは競合路線への対抗を目的に
作られた
・上野東京ラインと湘南新宿ラインは大船〜大宮間で
停車駅が異なっている
首都圏において主要駅のみに停車する
上野東京ライン・湘南新宿ラインと
並走する山手線・京浜東北線・常磐緩行線を
上手く使い分けて効率の良い首都圏の移動を
心がけてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。