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隠れた路地に希望の鳥
大分市の「アートを活かしたまちづくり」
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まちと人を紡ぐ物語描く
藤田洋平が場所を探し壁画制作
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「大分市アートを活かしたまちづくり推進会議」は2013年から、文化・芸術の持つ創造性を地域活性化と産業振興に生かすとともに、アートの力を活用して地域の魅力づくりや市民の地域を誇る気持ちの醸成、創造的な人材の育成や地域経済の活性化を図るため、各種の取り組みを行っている。本稿ではそのうち美術家・藤田洋平の作品を紹介する。
藤田洋平は大分市生まれ。大分を拠点とし、主にカードほどのサイズに、軽やかなタッチでそれぞれの画面が紡ぐ物語に見る者を誘うような絵画を描く美術家である。その藤田が今回試みたのが、大分市のガレリア竹町の西方にあるビルの2階の通路の幅15㍍ほどの壁面に描いた「ガレリアの鳥」という作家の過去最大規模の作品である。
この事業では、運営スタッフが制作場所の候補となる建物の壁面や店舗のシャッターなどを探し、そこに参加アーティストが描くことが多いが、この作品は藤田自身が場所を探すところから始めた。
運営側から藤田には、冒頭の事業の趣旨に加え、「ゲニウスロキ」(土地の精霊、地霊などを表す外来語)と「おおいたの記憶」、つまり大分市の歴史や風土、人々の生活などを念頭に、まちにアートがインストールされることによって、その場を訪れた人がそういったものをより強く感じたり、気付きや発見・再発見などの機会になれば―との意向が伝えられていた。それらを勘案して藤田が選んだのが、そのビルの2階通路であり、大分の子どもたちや若者たちが、幸せ、希望の青い鳥(ガレリアの鳥)を求め、まちに学びや仕事に向かう姿を思わせる、隠れた路地の不思議な物語を紡がせる「ガレリアの鳥」であった。
作品のあるビルから徒歩1~2分のところにある「8ギャラリー」では、通りに面したガラス面にカードサイズの藤田の絵画約80点と「ガレリアの鳥」の構想スケッチが展示されている(1月初旬ごろまで)。藤田の作品とそれぞれの「ガレリアの鳥」を探しに、師走の大分市のまちを巡ってみてはいかがだろうか。
(大分市美術館長 宇都宮壽)
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大分合同新聞 2024年12月7日(土) 朝刊 掲載