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レガシー版ボロスエネルギーの今(霊気走破環境)


はじめに

お久しぶりです。ボロスエネルギーの人です。
まず初めにみなさんにお詫びしなければなりません。
というのも、霊気走破本流セットおよび統率者セットで新戦力を得られなかったのです。ふざけんなWotC許さねえこれは単に私の不徳の致すところでございます。誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。
アヴィシュカー(旧カラデシュ)への再訪、統率者デッキとしてティムールカラーのエネルギーテーマデッキが発売……それを聞いて私の心は踊りました。きっとエネルギーデッキの強化が来るに違いないと。エネルギーはモダンで猛威を奮っているテーマですから、本流セットは抑えめでも、統率者セットにはきっと強力な新カードがと。
あーあ、青とか緑で強いカード来たら《Tundra》とか《Savannah》とか買わなきゃいけないかなあ、なんて考えて。ワンチャン《モックス・ダイヤモンド》も要るんじゃないか?そんな資産ないよ、なんて考えて。
とんでもない。何もない。霊気走破には何もなかったのです、エネルギーの強化パーツが(後述の1種1枚のみテスト運用中)。
そうはいってもボロスエネルギーを握って大会に出るのです。私はボロスエネルギーを愛しているですから。……他の一般的なデッキを作る資産などありませんし。
この記事では今年の戦績や、前回記事を書いたときと比べて変化したところを中心に、サイドボードについても解説していきます。
最後までお読みいただければ幸いでございます。

2025年の戦績

戦績

今年から「MTG Playbook」を使って戦績を記録することにしました。
今年の戦績が以下です。

29戦18勝11敗(+2Bye+1ID) 勝率62.1%(MTG Playbookによる算出)
筆者はレガシーは始めたてよちよち幼稚園児でございます。勝つときも負けるときも未熟さを感じながらのプレイです。それでもこの勝率を出せたのはデッキパワーの高さゆえ!
以下に実際に当たった各マッチアップの所感を述べ、勝率等も付します。

  • 「デルバー」:グリクシスよりもティムール(青赤タッチ緑)が主流で、環境にオークが少ないことが追い風。《タミヨウ》の処理に注意。大幅有利(2勝1敗/66.7%)。

  • 「セファブレ」「ナドゥ」「アルーレン」(クリーチャーコンボ):《剣を鍬に》《電気放出》《静牢》でコンボパーツに対処しながら迅速にビートダウンし、コンボの準備が整う前にゲームをたたむ。大幅有利(9勝1敗/90%)。

  • 「マーフォーク」:こちらには有用な除去が十分あり、相手には少ない。《激浪の形成師》で土地を縛られると機能不全になるため、初手の足回りは気にしてマリガンしたい。有利(0勝1敗/0%)。

  • 「青白石鍛冶」:相手が妨害をどれだけ引けているかがキー。テンポで圧倒し、主導権を握り続けることが重要。《基本に帰れ》に注意。やや有利(2勝0敗/100%)。

  • 「土地単」:噛み合い次第。《タバナクル》がきついので、横に広げるのが得策でない。《タバナクル》による誘発は猫・戦士を生け贄に捧げ《アジャニ》を裏返すことで、《アジャニ》分のマナの支払いなしでしのぐテクが役に立った。大きな有利不利はない(1勝0敗/100%)。

  • 「リアニ」:《カラカス》を引けるかがカギ。相手側は《カラカス》を見たら《残虐の執政》ルートをとることが多い。《カラカス》を手札に留めておくか、さっさと出してしまうかの選択になる。ゲームレンジは同程度だがスケールで劣る。やや不利(2勝2敗/50%)。

  • 「ANT」:こちらのライフが20を超えて増えていくため、相手側の要求値が上がっていく。とはいえこちら側からできる妨害も少ない。やや不利(0勝1敗/0%)。

  • 「青単ウィザード」:《呪文づまりのスプライト》などでテンポを削がれると厳しくなる。《守護ウィザード》が定着すると概ね負け。やや不利(0勝1敗/0%)。

  • 「赤単プリズン」:《虚空の杯》《激情》《一つの指輪》《舷側砲の砲撃手》なんでもきつい。大幅不利(0勝1敗/0%)。

  • 「オムニテル」:相手がゴールするまでにどれだけ時間がかかるかの問題で、こっちの介入要素が少ない。《実物提示教育》で《静牢》を出す動きは決定的でなく、乗り越えられる可能性もある。サイドカードの《耳の痛い静寂》を出せれば止まることが多い。大幅不利(0勝3敗/0%)。

  • 「カーンフォージ」:正面からビートダウンする性質上、《指輪》に弱い。遂行速度、スケールでも劣る。大幅不利(1勝0敗100%)。

総評

環境に多いナドゥ系統のデッキに対して有利なのが全体の勝率を高めていて、一定数存在し続ける「デルバー」にも有利なのがデッキの長所と言えるでしょう。
一方でコンボ相手には悲惨な戦績です。カウンターやハンデスを持たないデッキの宿命です。
フェア全般に有利でコンボに付け込まれるというのはモダンでも見た構図ですね。

デッキ構成の変遷とサイドボード

デッキリスト


不採用になったカード


《瑪瑙の扇動者》
2マナのキャストが弱く、4マナでようやく及第のカード。以前は《罠の橋》擁する「ペインター」などに有効だったこともあり重宝していましたが、徐々にサイドアウト率も高くなり、不採用としました。

《世慣れた見張り、デルニー》
強いカードでしたが、3マナと重いことを鑑みて不採用にしました。気分で採用してもいいレベルです。

《舷側砲の砲撃手》
前回の記事やツイートを見た方から採用した方がいいのでは?という意見を何度かいただきました。実際に入れて試してみたところ、「赤プリ」が使う場合と違い、投げるもののマナ総量が小さいため火力が出ませんでした。悪くはなかったのですが、3マナと重い割に効果が小さく、不採用としました。

新たな採用カード

《金属モックス》1
土地1枚と入れ替えました。
1ターン目に爆発的なスタートを実現し、最速2ターン目に昇殿を達成することが可能になりました。1ターン目《導き手》+《オセロット》の動きができたときは感動を覚えます。
この「ボロスエネルギー」はテンポを重視するデッキですから、カード1枚を損してでもマナ加速をする意義はあります。
《舷側砲の砲撃手》を採用していると、最終的にこれを投げるという展開もありますが、不採用とした現在のリストではできません。
フラッドした際はこれや土地を後述の《宴の打破者》で有効牌に変えます。

《ゴブリンの砲撃》2
これを買ったところを友人に見咎められ「プライドを捨てたのか」と言われました。ネコチャン多頭飼育したいという願望だけではレガシーはやっていけなかったのです。
《指輪》を突破する為にインスタントタインミングのダメージソースが欲しかったので採用しました。《舷側砲の砲撃手》に変わって能動的に《アジャニ》をキレさせる機能も重要です。
スパイス程度に2枚採用としました。

《宴の打破者》2
トカゲを押さえて採用された新しいトカゲ。
出てすぐ仕事をしないのはマイナスですが、毎ターン2枚掘って有効牌を探し、手札の不要牌と入れ替えることができます。
非クリーチャー呪文が召集を持つのも馬鹿にならない効果です。こいつはクロックが低いのですが、殴る代わりに実質的なマナクリとしての運用ができます。
《不安定な護符》とも相性が良いです。

《封じ込める僧侶》2
流動枠。
「リアニ」「ナドゥ」が多い環境で、かつ《フィリア》を使うためメインから採用としました。
この枠は《金属モックス》に刻印するときのために、なるべく白いカードを採用したいです。

《ボヤージャーの滑空車》
ないないと言ってた新エキスパンションからの唯一の採用カード。
意外とやれます。非青デッキで1ターン目に行う占術1が馬鹿になりません。
また搭乗1で2/3と及第のスタッツを持ち、起動型能力でサイズを上げていくことも可能なため、クロックとして十分に機能します。
《オセロット》で増えたトークンでサイズを上げられると効率が良いです。

サイドボード

《耳の痛い静寂》2~3
スペルコンボ系にサイドインします。
普段遊んでいるお店に型の異なる複数の「オムニテル」使いがいるため、私は多めに採用しています。
《実物提示教育》でこちらがこれを出し、相手が《全知》を出した場合、《エムラクール》が手札に揃っていない限りそのターン中に即死とはなりません。
また、《猛竜》を含め、自身の動きは阻害しにくいのも高評価です。

《静牢》1
メインに2枚採用していますが、サイドにも1枚入れています。
「カーンフォージ」など、非クリーチャーパーマネントがキーになるデッキなどにサイドインします。
また、「ナドゥ」や「セファブレ」などに対しても有効牌としてカウントできるため後手であればサイドインします。

《紅蓮破》2~3
青系デッキ全般にサイドインします。
コンボ系相手にはドロソに対して打つこともやぶさかではありません。相手がプランを押し通すために使う《Will》を消したりもします。
《タミヨウ》《濁浪》が入っているデッキに対しては《紅蓮破》をどこまで温存できるかが大事になります。

《墓掘りの檻》1~2
「リアニ」「ナドゥ」「セファブレ」にサイドインできます。
リアニできないのはもちろん、《ナルコメーバ》は戦場に戻りませんし、《戦慄の復活》も撃てません。また《緑頂点》《自然の秩序》などではクリーチャーを出せません。強力なサイドカードです。
《ナドゥ》の誘発やフェッチから《ドライアドの東屋》が戦場に出ることも阻害するということも覚えておきましょう。
《濁浪》《チャネラー》有する「デルバー」に対しては《除霊用掃除機》の方が強いのですが、「デルバー」に対しては元から有利なため、サイドの枠は他のデッキ用のカードに譲っています。

《攪乱のフルート》2
コンボ全般と《指輪》デッキにサイドインします。
《実物提示教育》《騙し討ち》《コーの遊牧民》《一つの指輪》などを指定することが多いです。
《猛竜》というカードを使う都合上、妨害カードは2マナ以下のパーマネントが好ましく、このカードは条件にマッチしています。

《摩耗+損耗》0~2
「セファブレ」「カーンフォージ」の他、「赤プリ」の《虚空の杯》に対応できる手段として一応採用しています。「赤プリ」は勝てないだろうといっそ切ってしまって、他のカードに枠を譲る選択肢もあります。
《ウルザの物語》は戦場に出た後、第一章の誘発型能力を解決するまではマナを出す能力も持たないので、誘発にスタックして《損耗》を撃つということもできます。
優先度は低いです。

《外科的摘出》0~1
「リアニ」をはじめとしたコンボ系にガードを上げたい時に採用します。ウーロが入っている「ナドゥ」や「アルーレン」にも入れられます。
「ボロスエネルギー」はライフレースにはとても強いので、《サージカル》をライフペイで運用しやすいです。ライフで払った方がテンポもいいですしね。

《オアリムの詠唱》0~1
「ANT」などのコンボやに入れるほか、「スニークショー」で《エムラクール》を出されたときなどに使います。
環境次第で変えられる枠です。
コンボに弱いというデッキの性質上、コンボ妨害カードは積極的に採用したいのですが、《猛竜》でめくったときに強いのは置物などの先置きによる妨害です。このカードのような構えるタイプの妨害の採用はよく考える必要があります。
1枚程度採用しておくことで、相手のプレイングのノイズになったり、要所でクリティカルヒットしたりを期待しています。

環境の変化とボロスエネルギーの思想

環境の変化

《超能力蛙》、《苛立たしいガラクタ》の禁止を経てもボロスエネルギーの立ち位置に大きな変化はありませんでした。《蛙》の禁止で《オークの弓使い》が増えることを危惧していましたが、思っていたほどは増えていないようで助かっています。《ガラクタ》禁止で《虚空の杯》は増えたでしょうか?体感としてはやや増えたかなと思います。前後でデッキの採用カードのトレンドをしっかり終えていなかったもので、ここは曖昧です。増えると困ります。
以下は現環境トップティアたちの現状と今後についての所感です。

  • 「リアニ」:弱体化はありがたいといえばありがたいが、《蛙》プランとってくれた方がやりやすかったとも思う。ピン除去でいいので。主要パーツというか、MH3で新規に得たものを失ってもなおトップティアなのは、レガシーのカードプールならでは。強いリアニスペルと仕込み手段が顕在。今後禁止が出るということはあまり想像できない。

  • 「赤単プリズン」:《ガラクタ》があってもなくても関係なく強い。とてもとても不利なので、個人的に何か1種くらい禁止が出てほしいと思っているアーキタイプ。《指輪》禁止でお願いします。

  • 「セファブレ」:自身は禁止改定の影響を受けず、相対的に立場を良くした。「ボロスエネルギー」からして見れば、「セファブレ」が普通の回りをしている分には、普通の回りをして1~2枚の除去を引いたこちらが勝てるので、いてくれて構わない。3月の禁止改定を乗り越えられるかは疑問。

  • 「エルドラージ」:特に影響なく強いまま。「ボロスエネルギー」とは「先手を取って土地を割った方が勝つ」という、ややクソゲー感のあるマッチ。今後禁止を出すようなアーキタイプではなさそう。

  • 「デルバー」:《苛立たしいガラクタ》禁止で復権。「ボロスエネルギー」目線だとかなり有利なので増えてほしいと思っている。ただ、「デルバー」が増えるとそれを食うために《オーク》を採用した「グリクシスデルバー」が増えるとも聞くので程々にしてほしい。

ボロスエネルギーの思想

さて、環境は変化しても「ボロスエネルギー」の思想は変わりません。毎ターン2アクションを目標に動き続け、盤面を広げライフレースを有利にして、アグロデッキとして真っ当に迅速にゲームをたたむことを旨とします。
「2アクション」は《不毛》や《カラカス》などの土地の能力や、《フィリア》でブリンクすること、《語り部の杖》や《不安定な護符》を起動することなども含みます。こうしてみると毎ターン2アクションは結構現実的です。このテンポは、フェアなデッキからすれば《Will》や《目くらまし》を駆使してようやく追いつけるかどうかというもの。ふつうに回すだけでプレッシャーがあります。今後もボロスエネルギーはこの動きを念頭に構築し、新カードを取り入れられるかもこの思想に添うものが出てくるかにかかっています。

おわりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
私がお伝えしたいのは、レガシー版ボロスエネルギーは先述した通り、レガシー特有のスペルの応酬などに不慣れで知識の足りていないような人間が回しても、6割を超える勝率を出せるポテンシャルのあるデッキであるということです。前回の記事でも書きましたがボロスカラーで真っ当にライフレースをするデッキがレガシーで勝てるんです。
ウィニーデッキなどを好み既存のレガシーのデッキで趣味と合致するものがなかった人、モダンでエネルギーをやっていてレガシーに興味がある人などにこのレガシー版ボロスエネルギーをお勧めしたいです。
リストやこの記事を読んでみた感想、デッキを回してみた所感などあればこちらのコメントかTwitter:@philo(https://x.com/philolly)までお寄せください。お待ちしております。
重ねて、ここまで読んでいただきありがとうございました。
また禁止改定などで環境に変化があったとき、または新しいタルキールの発売後などにまた記事を書くかもしれません。
それでは、またお会いするときまで。

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