塞翁が馬
9:10起床。今日は特に予定がなかったのでもう少し寝ても良かったが、午前中にはジムに行きたかったので朝食をとり支度する。
家を出る前に、昨日実家から持ち帰った高校の卒業アルバムを開いた。
卒業したのはもう10年以上も前だが、見てみると意外に写真は綺麗だったし、アルバムの状態も良かった。
最初は、先生方の写真が並んでいた。
文系だったため、理系科目の先生は覚えていない人が多かった。
文系の先生はほとんど覚えていた。担任の先生、お世話になった英語の先生、熱血指導の校長先生。
校長先生が教鞭をとることは珍しいと思う。先生は進学率を上げるため、世界史の成績を上げたい生徒を放課後に図書室に集め、勉強会を開いていた。
自分もそこにいて、何度も怒られながらたくさん用語を覚えた。
校長先生が、「これは次の模試にほぼ出る。あとこれは、今年のセンター試験に出るから覚えろ。」と言ったところは、本当に出た。
半年かけて磨いた英語と、半ば強引に入らされた勉強会で育てた世界史の知識で、受験はなんとか乗り切った。(他の科目はほぼカスみたいな成績だった)
次に、クラスごとの集合写真と、個別の顔写真。
これも理系の人たちはあまりわからなかったが、文系の人たちはほぼ分かった。顔を見て、思い出や話し方が出てくる人もいた。
一番見たかったのは、親友の女の子だった。
地毛の茶髪のロングヘアーで、やや引き攣った笑いをしていた。自分の持っている写真ではあまりわからなかったが、涙袋もあった。
高校は女子生徒の服装とメイクに厳しかったので、これは多分化粧ではなく素の顔なんだろうなあと思った。
今日、彼女の共通の知り合いからの連絡があった。その友達も、彼女は関西に単身で行っているという情報で止まっているらしかった。
あれ、自分の聞いた話では結婚をきっかけに関西に行ったんじゃなかったっけ、、と、記憶の齟齬に混乱した。
余計な悪い心配はもうしないことにしたので、ただ、元気でいることだけを願った。
共通の友達も、なんだかんだ5年以上は会っていなかったので、今度東京に行ったら遊ぼうよ!と言ったら、ぜひ!と言ってくれた。あるいは、地元に帰ってくる時に会えるかもしれない。
今年は、会いたい人たちに自分から会いに行く年にすると決めた。その一つに彼がなってくれれば嬉しい。
ジムに行き、45分ほど運動した。
帰りに、昨日に引き続き実家に寄った。
高校時代のガラケーと、ウォークマンを取りに行った。
ガラケーの方は、充電器が見当たらなかった。
Amazonで、600円くらいで短い充電ケーブルが売っていたので購入した。
ウォークマンの方はケーブルもあったので、持ち帰り、家のPCに繋いだ。
目的は、自身の初ライブの音源を取り出すこと。
ウォークマンは高校からなんだかんだ7年ほど使っていた。大学卒業間際に作った自主制作アルバムの音源も入っていたので、おそらくこれくらいの時までは使っていたと思う。
当時は、Windowsの安いノートPCを買ってもらって、それで大学のレポートを書いていた。
大学の後半から、音楽関連で使うことも増えた。後輩と組んだバンドで耳コピ(音源を耳で聞いて、楽譜を見ずにコードやフレーズを覚えること)をしなければいけなかったが、後輩はどうしてもベースの音が聞き取れないので、TAB譜(バンドスコアで、ギターとベース担当の人向けに作られる楽譜。通常の五線譜とは違い、6本線あるいは4本線に、押弦する数字が載っている)を作って欲しいと頼まれ、作った。
ギターの音作りもPCでするようになった。
オリジナルバンドでは、曲のイメージを伝えるためのデモ音源を作るために、無料の作曲ソフトを使っていた。
作曲ソフトは、そこそこスペックのいいPCでないと、制作中にフリーズすることがある。自分のPCもよくなっていた。
ウォークマンの話に戻るが、当時は曲を端末に入れるため、Xアプリという独自のソフトを使っていた。なんとなくインターフェイスも思い出したが、10年ほど前のソフトならではのレイアウトだった。
今は制作が快適にできるように、PCはMacBook Proを使っている。
制作には何も困らないが、ウォークマンの音源を取り出すためには、Windows専用のソフトを使わないといけないらしかった。
奇跡的に、2台前に使っていたWindowsのノートPCを、実家から持ってきていた。
何年も起動していなかったが、プラグを指すと、電源がついた。
そのPCは主にメモリが少なく、複数のソフトやウィンドウは同時に開けなかった。なので一つずつ、まずは音源を取り出すソフトをインストールした。
端末を繋いでくださいと出たので、持ってきたウォークマンを繋ぐ。自動的にPCへの転送が始まった。
曲はたくさんあったので気長に待った。
待っている間、端末内のジャケット画像がまとめてあるフォルダを開いた。
そこには、10年前によく聞いていたアルバムの画像が大量にあり、懐かしくなった。
中には、もう解散してしまったバンドのものもあった。
曲も歌もいいのに、なんで辞めちゃったんだろう、、と、バンドの解散のたびに思うが、バンドは続けることが非常に難しいことも、自身で数年やって分かっているので、それらの音源も一緒に取り出した。
終了して、取り出した音源が求めてあるフォルダを開くと、自分が一番求めていた初ライブの音源の他にも、気になる音源がいくつかあった。
それらをどうにか今のPC(MacBook)に転送できればすぐに聴ける。
考えた結果、取り込んだWindowsのPCからGoogleドライブにアクセスし、欲しい音源をアップロードして、それをMacで開いた。
実験は成功した。Macでも携帯のGoogleドライブからも、聴けるようになった。
今はドライブにアクセスする必要があるので、明日以降にiPhoneのミュージックのアプリ内に入れたい。
当初の目的以外で掘り出した音源の中には、衝撃的なものもあった。
大学の同じ学科の女の子がギターボーカルを務める、オリジナルバンドのEP。
彼女も軽音楽サークルにいたが、そこは自分のいた部活がやっているコピーではなく、最初からオリジナル曲を作って発表していく部活だった。
入学時にそこの見学ライブにも行ったが、色々とレベルが高かった。音楽の知識もライブパフォーマンスも、頭ひとつ抜けている感じがあった。
今の音楽シーンに、そこの部活出身のメジャーバンドやアーティストが何人かいる。
音楽はやりたいけど、、作るのはまだ早いかなあ、、と思い、そこは入部をやめた場所だった。
彼女のバンドは、学祭で小さなステージで演奏していて、とてもかっこよかった。
声質的には、チャットモンチーやきのこ帝国のような、穏やかだけどクールな曲も難なくやれるタイプ。
そのバンドが自主制作したEPが追って出たので、学科の授業の終わりに、300円くらいで買わせてもらった。
そのEPを約10年ぶりに聴いて、電撃が走った。
ギターの音色にマッチしたクールな歌。タイトなリズムを刻む2本のギター。根をしっかり支えるベース。シンプルだがブレないドラム。
あまりにも、カッコ良すぎた。
この曲を、、20歳そこそこのバンドが作ったのか、、?信じられなかった。
CD屋で1500円くらいで売られていても買うレベルだし、1000人くらいのライブハウスで演奏されていてもおかしくないクオリティだった。
掘り出した音源には、自分のバンドのデモ音源もあったが、それと比べると、自分のはまるで3歳児の積み木遊びで組み立てられる面白い建物なんかよりも、笑えてしまうくらい稚拙だった。
今は、作曲を始めて7年目くらいになる。少しは表現やフレーズのライブラリも増えた。
けど、このバンドには勝てないなと思った。
社会人バンド時代にこのバンドと対バンしていたら、腰を抜かしていただろう。
今日は、彼女のバンドの音源を聴いて満足してしまった。他にも、部活の先輩方のオリジナルバンドの音源もあったが、それは明日聞くことにした。多分今日聞いたら、無意識に比べてしまう。
その衝撃を夜のジムでの運動中に受けて、帰ってからやることを思い出した。
今日は、就活をしていなかった。メールチェックも企業探しもしていなかったので、メールから開いた。
先週筆記試験を受けた企業から連絡が来ていた。
結果は、不合格だった。
目を通した時は、3秒くらい落ち込んだ。でも、案外すぐに立ち直った。
一応行きたいところではあったが、確かに試験の手応えはあまりなかった。
多分、英語以前に一般知識の乏しさを見抜かれたのだろう。
くよくよしていても、仕方ない。
一応、今日持ち駒をひとつ増やせた。
明日からは、増やした持ち駒の企業にまた当たっていく。
2つ3つ選考が落ちたくらいでなんだ。
自分は、諦めない。
ここ最近は、気分がかなり晴れやかだった。体重も落ち、筆記試験も終えて、リラックスしていた。
多分、そういう多幸な状態が続くと次にこういう不運なこと(お祈り)があるんだろう。
今日不運があったので、多分ここからは、またいいことがきっとあるだろう。
今日たまたま、めちゃくちゃかっこいいバンドの音源を掘り出せたように。
明日はハローワークに行く。多分明日が出向く必要のある最後の日になるだろう。
ジムは休館日なので、いつも通り散歩には出よう。
明日もいい1日になりますように。