Bの星線 感想(1話時点)

この先の物語がどう進展していくかは分かりませんが、1話時点では非常に面白かったと思います。
話が面白かったというのもそうですが、細かな表現が私の好みと合っていたのが良かったです。
特に良かったのが以下の3点。


・いま確信した 私は未来にいる

88鍵 7オクターブ…200年前の時点では実現されていなかった要素。
木に触れている描写…ピアノ(=木製の筐体)の喩え。
木の成長…若木から大木への成長=200年という時間の経過を表現。

以上のセリフ、描写からベートーベンの未来へ来た実感と、現代のピアノに対する感動が読み取れます。
最低限の言葉で表現しきっているところがたまらないです。

・華鳳院とのいざこざ

あんたにとってピアノはそんな簡単に捨てられるものだったの!?
→夜創と華鳳院がそれなりの知り合いであることが読み取れる。また、華鳳院はもしかしたらかつての夜創のピアノに憧れていたのかもしれない(そうでなければそこまで食ってかからないかなと思います)。

関係ねぇがナメるんじゃねぇ
→夜創がかつてはピアノがとてつもなく上手かったことが読み取れる。同時に華鳳院がピアノに全霊を懸けていることが分かる(自分が全力で取り組んでいるピアノに対し、才能がありながらいい加減な態度をとる夜創が許せないという思い)。

ここで下手くそを晒せ
→夜創の腕が落ちていることを確認することと、同時に下手な演奏を人前でさせることで夜創に恥をかかせることが目的。
自分が持つ夜創の演奏への未練を絶つことと、夜創を完璧にピアノの道から除くための儀式。

2ページほどの中に相当な情報量が詰め込まれていると感じました。
直接何かを言っているわけではないのに2人の過去の様子がバンバン伝わってくる。
また「ここで下手くそを晒せ」がまさにそうですが、文章が丁寧なところが非常に好きです(怒っているシーンなので語彙は荒れていますが)。
華鳳院さんいいキャラ過ぎます。

・かくして運命は自動ドアのように扉を開く

有無を言わさずピアノの道に引き戻されてしまうことを面白く喩えていると思います。


1話時点ではけっこうハイコンテクストな漫画な感じがします。
今まさに始まった大いなる最終楽章の続きを楽しみにしたいと思います。



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