劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク 感想
悪くはなかったけれど、もう一声欲しかったかなという感じでした。
プロセカ登場メンバーと、作中で背中を押される挫折してしまった側の話がクロスしていると私の趣味だったのですが、その辺が少し弱かったという印象。
主要メンバーが挫折してしまった人にエールを送るという構図は好きでした。壊れたセカイのミクは挫折した人たちの想いから生まれています。であればそのミクの声が背中を押してあげたい、セカイを生み出した当人らに届かないのは当然で、彼らを引っ張り上げるのは外的要因となる第三者であるべきです。まふゆは一人では立てなかったけれど奏がいたから頑張れたという話と同じように捉えることができます。
また、司の「寄り添える人になりたい」という着眼点は優しい感じがしてよかったです(概ねこんなニュアンスだったと思いますが、若干表現が違うかもしれません)。プロセカメンバーは言ってしまえば多かれ少なかれ成功を収めている側で、そういう人間から頑張れ頑張れとメッセージを送られても、受ける側の状況によっては必ずしも素直に応援を受け取れないかもしれません。
その点、「寄り添う」というのはより相手の心情、ペースを尊重している感じがするのがいいです。台本を読み込み、劇の役柄により近づこうとする司の様子が描かれていたのもグッド。
ただ、その挫折してしまった側の内面の描写が少なかったので、挫けそうだったけどエールをもらってなんとなく立ち直った感が否めませんでした。主要メンバーらと直接的に交流があったわけではないので、どうしても自己完結して復活したようには見えてしまいました。エールを送る側と背中を押される側の重なりがなかったので物語の広がりに欠いたのかもしれません。
とはいえミクを描き、主要メンバーを描いてさらに他のキャラクターまでとなると時間が足りるのかとか他の問題も出てきそうなので、この辺は致し方ない部分なのかなとも思いました。また今回の話はどちらかと言えばプロセカメンバー側がどうやって想いを届けるか、という所に力点を置いていたのであまり他のキャラクターの描写を多くし過ぎると、誰が主役の話なのかという部分もぼやけてしまうかもしれません。
ライブシーンは格好良かったです。
最後ビビバスのアフターライブがありましたが、それと比べるとカメラアングルが凝っていたと思いました。動きもメリハリがあってこの辺はアニメの良さが出ていたと思います。
また、一歌のglow歌唱も良かったです。私がglow好きなのもありますが、アコギでソロは新鮮でした。自然と一歌の特訓シーンを兼ねているのも普段からの頑張りが垣間見られて良し。
その他、最後にアフターライブがありましたがこれは新曲を改めて聞き直す機会になり助かりました。ファイアダンスの中にハローセカイのフレーズが入っているとか一回では気づけませんでした(入ってましたよね?)。
まとめると部分部分いいところもあったけれど、やはり応援する側、される側それぞれの物語がもう少し交差してほしかったなという印象でした(この辺の物足りなさは、あくまで私の趣味の話ですが)。