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闇の王国編3真実の鐘


闇の王国編3 ウィルは、虹の麓へ着いた。 また扉がある。 開けるしかない。開けるしかない、 扉を開けた。 真っ暗な世界。暗闇の世界だ。 ミーヤは、ウィルにロウソクを渡した。 マッチで、火をロウソクに灯す。 「このロウソクは、魔法のロウソクよ。永続的に灯るから。」 わずかな光が、闇を照らした。道がわかった。 静かな月が、夜空の向こうに見える。 ウィルは、緊張した面持ちで歩いた。 少し歩くと、闇の祭壇が見える。 「ウィル、そこに火を灯して。」 ミーヤは、銀色の鳥に指を指した。 銀色の鳥が、燃えていく。燃え尽きて、しばらくすると灰から 小さな小鳥が生まれた。不死鳥だ。 不死鳥は目を開けると、ウィルの側に来てくれた。 「この不死鳥は主に忠実で、汚れがない美しい心を持っている。」 ミーヤは話した。 ウィルの肩に不死鳥は乗る。 「闇の魔王を私は倒せねばならない。それが、私の使命だ。」ウィルはミーヤに告げる。 「問題はその使命が貴方を生かすか。死すか。」ミーヤはウィルに話す。 「ミーヤ、お願いだ。闇の魔王の場所を教えてくれ。」 「貴方、自分の命、なんだと思ってるの?」 急にミーヤの表情が厳しくなった。口調がお説教のようになる。 「魔王なんてね、貴方一人で倒せる訳ないでしょ!!魔王の周りには 悪魔がいっぱい居るのよ!!」 ウィルは突然、ミーヤが泣きそうになっているのがわかった。 「ごめん。悪かった。」 「そうよ。そうよ。私は闇の王国の神官だけどね、貴方の影でも あるんだから。貴方が死んだら、私も死ぬに決まっている。闇と光は繋がってるのよ。水は火を消すけど、闇は光を消さないのよ。」 初めて、ミーヤとウィルは手を繋いで歩いた。 手を重ねると、伝わる温もり。大事にしたい。影を。 散歩に終わりを告げるように、真実の鐘が目の前に現れる。 「この鐘を鳴らせば、天使が来るから。」 二人は、鐘を鳴らした。 天使が来る。静かに。 暗闇の中に、天使が来る。 「お呼びでしょうか?」 「ええ。連れてって。」 二人は天使に連れられて、闇の王国の最果てに着いた。 もう少しで、闇の王国から出れる。 ところが、ガーゴイルが立ちはだかる。 ガーゴイルは悪魔で門番だった。 「貴様は誰だ?」ガーゴイルは言う。 「光の王、ウィルだ。」ウィルは剣を取った。 ガーゴイルとの戦いだ。 ガーゴイルは驚いたが、ウィルを倒せば、魔王から高額な報酬が貰える。ガーゴイルも戦闘モードに入った。 「逃がさない。お前を殺してやる!!!」 ガーゴイルの爪が、ウィルを襲う。 ウィルは必死で剣を使った。 「静まれ、悪魔よ!」光の剣を、ガーゴイルの心臓に刺した。 ガーゴイルは痛みのあまり悲鳴を上げた。 ガーゴイルは倒れた。悲鳴を聞くと、周りの悪魔が来る。やばい。 場所がばれた。 「逃げるのよ。早く!!!走って。翼を使って逃げるのよ!!」 ミーヤは言う。 後ろから、悪魔の群れが襲ってくる。 ウィルとミーヤは逃げる。逃げる。逃げる。逃げた先に扉が現れた。 X番の扉がそこにあった。扉を開けれるか?? しかし、扉はかたく閉ざされている。 ウィルとミーヤは懸命に扉を開けようとした。 しかし、開かない。 「助けて!!!!」 悪魔の群れが襲ってくる。その時??? 内側から扉が開いた。キーマスターがドアを開けたのだ。 「え????ウィル様????」 「今は黙っててくれ。キーマスターよ。ドアを早く閉めろ!!」 ミーヤとウィルは、光の王宮へ帰った。 ドアを閉めた。悪魔がドアを開けようとするが、黒い鍵で キーマスターはドアを閉める。 「ウィル様!!!どうして?ここに?心配しましたぞ!」 「キーマスターよ。偶然、扉を開けてくれて感謝する。」 「いや、実は、X番の鍵を水姫様から頂いた所でして、実験で試しに 開けようとしたら、ウィル様が来て驚きました。」 あと、そこの女性は誰です? 「話すと長くなるが、闇の神官のミーヤだ。」 「闇の神官ですと?どういったご関係で?」 「私の影だ。」 「なに、訳の分からないことを言っておられるのですか???」 ミーヤは話す。 「あなたがキーマスターね。私は闇の神官。でも、ウィルの影。」 キーマスターは、ウィルに話す。 「シャーロット様の所へ早く行って下さい。ウィル様。」 「了解だ。心配してるだろうから。早く行った方が良いな。」 ウィルは、王室に向かって走った。 シャーロットはウィルの顔を見ると、嬉しさの余り泣いた。 「ウィル!!!心配したのよ!!」 「シャーロット!!」ウィルはシャーロットを抱きしめた。 長い時間、二人は抱き合っていた。 「どうやって帰ってきたの?ウィル。」 「そこに居る、ミーヤが助けてくれたのだ。」 「ミーヤ???」 ミーヤは笑顔だった。 「良かったじゃん。ウィル、シャーロット。」 「ちょっと、ウィル。どういうこと???」 「私の影なのだ。」 「ん????」 「ミーヤは闇の神官でありながら、私を助けた。」 「闇の神官??敵?」 「安心して、敵じゃないよ。」ミーヤは話す。 「敵に決まってるでしょ。正気?ウィル。」 「ミーヤは、違う。なんか違うんだ。私も初め敵だと思っていた。 闇の王国に私は居たが、助けてくれたのだ。」 不死鳥が、ウィルの隣に居る。もう真っ赤になって 成鳥していた。 「その不死鳥は??」 「忠実なき、良きしもべだ。」 「ウィル、闇の王国で何があったの?」 ウィルは懸命に記憶をシャーロットとキーマスターに話す。 あまりの不思議な話に、シャーロットとキーマスターは 驚いた。 ゼウスが、闇の王国へ出陣すると意気込んでいたが ウィルが生還したことで取り消しになった。 ゼウスはホッとしている。 闇の神官のミーヤは、闇の王国へ帰ると申し出た。 「ここに居ても迷惑だから。」 黒い鍵をキーマスターから預かると、ドアを開け、 闇の王国へ去った。 安心するのは、まだ早かった。 不安な足音が近づいてくいく。 そう、闇魔の剣が光の王宮にあると、ミーヤは分かった。 ミーヤは魔王に話した。 「でかしたぞ。ミーヤ。闇魔の剣の居場所が分かった。」 魔王は笑った。

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