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空の王国編5 空の都


 もう、朝日が見える頃だ。 ケインとフロルは眠かった。睡眠を全く取っていなかったから。 秋の風が冷たい。とても寒く感じる。レイナも寒かった。 フロルとはぐれた馬がさみしそうに、こちらへ近づいてきた。 「助かった。」レイナは言う。 レイナ、フロル、ケインは馬の上に最後の力を振り絞ってまたがった。「妖精の砦へ急ごう。」 30分後、なんとか妖精の砦に着いた。 イリデッサが心配そうな顔をしている。 「大丈夫ですか。レイナ様。」 「私含めて、もうボロボロよ。早く防寒着を。」 「わかりました。すぐに用意します。」 イリデッサは、防寒着をすぐに持ってきた。 三人は防寒着を来て、たき火の前で眠った。 他の妖精たちは、眠っている客人を温かく見守った。 三人の勇者の休息。 睡眠を終えると、三人は意識や感覚が研ぎすまされていた。 「起きた?」フロルはケインに言う。 「おう、起きたぜ」 「これから、王都スカイシティに向かうけど、心の準備は良い?」 レイナは二人に言葉を投げる。 「良いに決まってる。」ケインは頷いた。 「準備万端」フロルは言う。 馬に三人は乗ってスカイシティを目指した。 「翼で空を飛ぶのも良いけど、馬もやっぱり良い!!」 レイナは大きな声で言った。 3時間後、三人はスカイシティにたどり着いた。 スカイシティ。王都は美しい町だった。 鳥が飛び交い、家が建ち並び、酒場は賑わい、商人が食べ物や珍しい物を売ってる。 三人は目の前にある石像を見つめた。 天空神ウーラノスの石像だ。 レイナは跪き、両手を添えて祈った。 ケインとフロルは空を見上げた。翼で飛行している人がいっぱい居る。僕らも空を飛びたい。空を飛ぶってどんな感じなんだろう? フロルがそう考えていると、レイナは話す。 「私の大好きなジェシカお婆さんの家に行こうか。私の翼が弱ってるから。」 「わかった。」フロルは了解した。 「おう。」ケインも同意する。 小さな路地を行くと右に曲がる道があって、そこをまっすぐ行くと ジェシカの家に着いた。 表札にジェシカと書かれてる。 「ジェシカさん!いますか!」 「ここに居るよ!その声はレイナかい?おおおおお、レイナ帰ってきたか。待ってたよ。」 「ジェシカさん。私の翼の手当てをお願い出来ますか?」 ジェシカさんは優しそうなお婆さん。 少し小太りで優しそうな目をしてる。 「あんた、大分無理したみたいだね。大丈夫、薬を付けて水で消毒すればすーぐ良くなるよ。」 「それとなんだけど、その二人の男は誰?レイナちゃん。彼氏でも連れて来たのかい?」 「ちがうってば!!!」レイナは、顔を赤くする。 「私を救ってくれた命の恩人!!」 「名前は?」ジェシカはレイナに言う。 「頭に鳥の羽飾りがある方がケイン。いっぱいアクセサリーを付けている方がフロルよ。」 「そうか。そうか。長旅でしょう。ここでゆっくりしてください。」 ジェシカはケインとフロルに優しく言った。 「早く、ジェシカさん、私の翼に薬塗って」 「今、塗るわ。」ジェシカはレイナの翼を消毒して、薬を翼に塗った。「明日には傷は治ってるわ。さて、フロル、ケイン、何があったの? レイナを苦しめたのは誰?」 フロルとケインは声を出そうとした。でもすぐにレイナが答えた。 「赤いドラゴンよ。」 「じゃあ、レイナちゃんは妖精の森まで逃げたのかい?あの冷酷なルドルフ王がよほど嫌か。」 「なんでお父様は、あんな人を選んだの?あの人は私が選んだんじゃない!」 「よーくわかるよ。レイナ。」 「私、逃げたの。妖精の森までね。もう空の王国の王宮で暮らすのもう嫌だよ。だから・・・・。」 「もう言わなくいいよ。レイナちゃん。」 「え?」 ジェシカお婆さんはレイナを抱きしめた。 「私、本当に苦しかった。」 「わかる。よーくわかるよ。今、シチューを作るから、待ってちょうだい。元気をお出し。」 1時間後、ジェシカお婆さんのシチューは完成する。 昼食の時間がやってくる。 フロルとケイン、レイナは楽しそうにシチューを食べた。 「うめえ。」とケインが言ったあと、 「おいしい。」とフロルが言う。 「ジェシカお婆さん、最高にこのシチュー美味しいわ。」レイナが笑って言った。 ジェシカお婆さんはニコニコしていた。 このチームなら、きっと・・・・、空の王国を救える!!!! ご飯を食べたあと、ジェシカ婆さんはベッドに三人を連れていった。 「昼寝の時間よ。あんたら、相当疲れているみたいね」 「ありがとう。ジェシカさん」 レイナは満腹感を味わいながら静かに眠った。 フロルもケインも昼寝をする。 夕方の時間になると、フロルもケインもレイナも起きた。 「俺、空を飛んでみたい。いいなあ。フロルとレイナは。空を飛べるんだもんなあ。フロルは風魔法浮遊術で空を飛べるし、レイナは自分の翼で飛べるだろ。羨ましいぞ。」 「う~ん大丈夫。ケインも空を飛べるよ。巨大な鳥、ビッグバードが居るから、それに乗れば飛べる。始めはちょっと怖いけど。」とレイナは言った。 「え???俺も、空の世界を体験できるの!!!マジで!」 ケインは興奮しているみたいだった。 「オリバーの家に行けば、ビッグバードを貸してもらえるよ。」レイナはケインにそう話す。 三人は、オリバーの家に向かって歩いた。歩いている途中、たくさんの人にレイナは声を掛けられた。 「あ!レイナ様だ。これからどこに向かわれるんですか?」 「レイナだ!男の人を連れてる!」 「今からオリバーの家に行くの。この男の人達は客人よ。」レイナは堂々と言って、顔は良い表情をしている。 ケインは、レイナってすごい人気なんだなと思った。そりゃそうか。空の王国のお姫様だもんな。レイナは明るいから好かれやすい。 良い仲間を俺は得た。 フロルもレイナの明るい性格が好きなった。 「もうすぐ着く?レイナ。」フロルはレイナに聞いた。 「うん、近いよ。え~と、オリバーおじさんの家はこの通りの左側にあるわ。」 「ここか。結構広い家だなあ。俺、こういう家に住んでみたい。」と ケインは言った。 「オリバーおじさんは、お金持ちなの。」とレイナは言った。 木製の大きな家だった。レイナがコンコンとドアを叩くと、オリバーおじさんは笑って迎えてくれた。 「やあ。いらっしゃい。レイナ様。カッコいいお兄さん二人は、客人かな。久しぶりにレイナが来てくれて嬉しい。」 オリバーおじさんは紳士だった。レイナを快く迎えて、お菓子と水を三人にあげた。 テーブルも綺麗だ。椅子に四人は座った。 「ビッグバードに乗りに来たんだね。誰が乗るんだい?」 「彼よ。」レイナはケインの方に手を向けて、オリバーおじさんが わかるように言った。 「名前は?」 「俺、ケインです。」 「ケイン君。ビッグバードに乗ったことはあるかい?」 「一度もないです。」 「大丈夫、始めは怖い。少しずつ、低い高さで空を飛ぶ。私のビッグバードは訓練されてるから、大丈夫。絶対安全だから。 少しずつ高度をあげていけば、なれてくるよ。ビッグバードの操作の仕方も教えなくてはいけないね。ビッグバードの首に掛かっている 紐を使う。右の紐を引っ張れば右に飛んでくれる。 反対に左を引っ張れば左。両方の紐を引くと、高度が上がる。 紐を緩めて、自分の体を前傾姿勢にすると高度が下がる。 ビッグバードは生き物だから、優しく使うように。」 オリバーおじさんは水を一口飲んだ後、 「三人を外に案内しよう。ビッグバードが空を飛びたくてウズウズしてる。」 四人は家の隣にある、とても大きな鳥の訓練場に向かった。 フロルも、ビッグバードに乗りたくなってしょうがない。 レイナも久しぶりに乗ってみたい気がしてきた。 「私も乗って良い?一応自分でも空を飛べるけど、ビッグバード乗ってみたい!」 「僕も!」フロルも言う。 「良いよ。ちょうど四羽居るから、私含め一人一羽ずつ乗れる。みんな乗ってみよう。」オリバーおじさんは優しく言った。 「乗る時にコツがあるから教えよう。いきなりジャンプして乗ったらビッグバードが驚くからね。優しく、後ろから忍び寄って乗るのが正解だ。手本を私が見せる。」 オリバーおじさんは、忍び歩きで、ビッグバードに近づいた。 そして、静かに乗る。両腕でビッグバードの紐を引っ張ると、高度が静かに上がっていき、すこしずつ浮かび上がる。ビッグバードは翼をはためかせて、空を目指して飛ぶ。

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