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裏側で支える人から#20
??「おじいちゃんのお部屋どこだろう…」
病院の廊下を歩く少女。
??「おじいちゃん……(இдஇ`。)」
○○「泣いてる子いる。見たことある気がするけど…」
○○「あ、みくと同じクラスの理子ちゃんだ」タッタッタッ
??「あ!みーくん(本人はみーきゅんと言ってるつもり)のパパだ!」
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○○「理子ちゃんこんなとこでどうしたの?」
理子「あのね、あのね、おじいちゃんのお見舞いに来たんだけどわかんなくなって…」キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ
○○「そうなのね。パパさ、ここで働いてるから調べてみるよ。名前とかわかる?」
理子「〜!」
磯貝さんだった。確かに今日ICUから一般病棟に移動したからわからないよね。
○○「わかった!よしその病棟まで一緒に行こうか。」
理子「……抱っこ。ちかれた(ˊo̴̶̷̤⌄o̴̶̷̤ˋ)」
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理子ちゃんのとこは母子家庭と聞いたことがある。なかなか抱っこをしてもらえる環境に無いんだろう。
○○「よっしゃ。よっと。」
理子「やった🎶やった🎶」(ง ᵕωᵕ)ว♪
ルンルン気分な理子ちゃん。エレベーターに乗って向かうことに。
病室では磯貝さんと話す理子ママがいた。
ママ「あ!居なくなったと思ったら…ありがとうございます」
○○「理子ちゃん前までいたICUの方を覚えていたみたいですね。外に出ることなくいれて偉い子でした。」
理子「りーえらい?o̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤」
○○「えらいよぉ( *ˊᵕˋ)ノˊᵕˋ*) ナデナデ」
○○「順番が前後してしまいましたが改めて自己紹介させていただきます。医療相談室医療ソーシャルワーカーの菅原○○と申します。今回磯貝さんの担当に付かせていただくことになりました。」
じーっと見る磯貝さん。
磯貝「……もしかして、(○○の祖母の名前)のとこか?」
○○「そうです。孫です(笑)生前はお世話になりました。」
磯貝「あの時は小さかったけどこんな大きくなってなぁ…。そうか、よろしくな。」
ママ「こちらこそよろしくお願いいたします。」
ママの真似をしてお辞儀をする理子ちゃん。
○○「今後タイミングを見て面談ですとか、主治医とのお話に同席させていただきます。ちなみにご自宅は……」
ママ「本当にちょうど半壊で。父がすごしていた部屋は無事なんですが、その反対側がごっそりと。」
○○「そうですよね……」
磯貝「わしの部屋に仏壇やら何やら置いていたから良かったものの。ある意味妻に助けられたな。」
磯貝さんは奥さんを昔に亡くしている。若い頃はおしどり夫婦として地区内でも有名だった。
○○「面会時間もありますし、私はここで失礼します。もし何かご相談があれば、相談室の菅原までお願いします。」
頭を下げて退室する○○。見えなくなるまで理子ちゃんが手を振ってくれた。
その後体調が回復した頃を見計らってリハビリに入った磯貝さん。長期間の避難生活と入院生活で体力と筋力の低下が著しく、廃用症候群になりかけているということもあり、毎日少しずつ運動量を増やしていき、その中で関節や筋肉に別メニューで刺激を与えるスケジュールに。
瞳月「運動量だけで言ったらかなりなんですよね。メッツの数値すごすぎて。」
担当となったのは瞳月。メニュー組みの段階からどこまで運動量を積んでいこうか○○に相談していた。
○○「磯貝さんは元々漁師をされていて、ご隠居されてあそこに住んでた。苗字の『磯貝』もそれが由来とか。だから体を動かすこと自体はできると思うし、本人もある程度はやる気あるよ。」
瞳月「じゃあ標準的な感じで組んでいって、余白も残しておこうかな」カタカタ
○○「よろしくね。」
その後はメニュー通りのリハビリの日もあれば、少し頑張って多めのメニューをこなす日もあった磯貝さん。
この日は経過観察を兼ねて主治医と○○がリハビリの見学をしていた。マジックミラーのため患者さんが緊張することなく医療者が見学できる。
井上「搬送当初と比べるとかなり動けてますね。体力もついてきたかな。」
○○「転院搬送について行った身としてはかなり頑張ってるなぁと思う今日この頃です。」
井上「今後はどうする?正直病気の関係で自宅退院は厳しいかもしれないのよねぇ」
○○「ご本人は地元の〜病院希望されてます。『やっぱり慣れた場所で過ごすのがいい』と。」
井上「せやけど、向こうの復興次第だね。それまで動ける範囲拡大していけると尚……。」
リハビリ終わり。
○○は病室に伺い、主治医と話した時の内容や今後の意向について確認をしていた。
磯貝「……なんかさあ、俺だけここにいていいのかなって思う時あるのよ。」
○○「どういった時にそう感じられますか?」
磯貝「地元のニュース見るとやっぱり。必死になって復興しようと頑張ってる仲間を思うとなぁ( T𖥦T )」
同じ地元の○○。何も言えない。
磯貝「病気のことは先生から聞いたよ。自宅退院しても結局透析必要になるからって。それなら、ね、元いた場所に近いところに、とは思うよね。」
○○「そこのお気持ちは変わらないですか?」
磯貝「あぁ。」
約半年後
磯貝さんは自宅での過ごし方の確認のための一時退院を繰り返したあと、復興した地元の病院に正式に転院することになった。この頃には腎臓の病気が進行し、有意義に動けない時間が続いていた。それでもリハビリの成果もあり、トイレなどの日常生活動作に関しては手伝いの必要なくこなせるだけの体力は戻った。
磯貝「世話になったな。」
○○「いえ。磯貝さんこそヘリコプター搬送から慣れない地域での入院生活に……。1番大変だったのかなと思います。」
磯貝「孫もお前と会うと笑うだろ、昔から反抗期って言うかなかなか笑わない子でよぉ(笑)わしにも厳しくてな」
それに関しては察しがつく○○。理子ちゃんは○○の前でだけ素直になるのだ。
「タクシーの準備できましたよ〜」
○○「そろそろですね。」
磯貝「じゃあ、『またな』。」
申し送り書類を引き継ぐソーシャルワーカーに渡し、バックドアを閉めた○○。
○○「お元気で!」
災害時から合わせると約1年弱継続して担当した患者さんとなった。
井上梨名
乃木坂市立総合病院の心臓血管外科ドクター。橋本ドクターと同様、血管内治療が主な得意分野。エコー検査もかなり得意にしており、研修医や新任看護師への指導も行うほど。
遠藤理子、ママ
○○の娘であるみくが通っている保育園の同級生とそのママ。○○が積極的に保育園行事に参加することもあり、早くから顔見知りになった。理子ちゃんはもう反抗期に入ったのではと言われるくらいであるが、自然と○○の前になると素直になる。
理子「だってみくパパかっこいいんだもん!」
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