【小説】 ウィザード# 18
昔々あるところに、女の子がいました。
女の子は、お父さんとお母さんと、年の離れたお兄さんと、山の麓の一軒家で暮らしていました。
女の子はとてもかわいがられ、幸せに暮らしていました。
しかしある日のこと、女の子の家が魔獣に襲われました。
お父さんとお母さんとお兄さんは、女の子を守るために、先天魔法を使って必死で戦いました。
しかし、先天魔法では魔獣を退治することはできませんでした。
女の子は、なんとかして自分も戦おうとしました。
女の子の先天魔法は、ものを絞る魔法。しかしその力は輪切りのレモンを搾るくらいのもので、とても魔獣相手には歯が立ちそうにありませんでした。
女の子は考えました。
どうやったら、家族を助けられる?
女の子は1つの答えに辿り着きました。
出血した血管を絞って、出血を止めればいいのではないか、と。
戦うことは出来なくとも、怪我が悪化するのを食い止めることは出来るのではないか、と?
女の子は先天魔法を使ってお父さん、お母さん、お兄さんの止血をしました。
しかし、魔獣はいつまでも襲ってきます。
もうダメだと思ったとき、一人の魔術師が駆けつけて魔獣を倒してくれました。
魔術師は女の子の先天魔法の使い方を見て、君は魔法看護官になるべきだと言いました。
君には才能がある、と。
そして女の子は魔法看護官になりました。
女の子は魔法看護官として働き始め、今もたくさんの人を助けようとしているのです。
「おしまい」
アメティスタは、ふう、と一息ついた。
耳を澄ますと、すうすうと寝息が聞こえた。カルセドニーはもう眠ってしまったようだった。