ヨルシカ 忘れて下さい 小説化してみました
目が覚めると窓から涼しい風が吹き、カーテンが揺
れた。カーテンのすき間から大きな桜の木が見える。
カタリと音がして部屋に目を向けると、無機質な
白い壁に囲まれた病室が、眠る前とほとんど同じ
ままそこにあった。
ただ一つ違うのは花瓶の花が変わっていること。
ストロベリーキャンドルの花が、風に吹かれて静
かに揺れている。
(もういい、って言ったのに…)
どうして、あの人はこんなに優しいのだろう。
あなたのすべてを忘れてしまった私のために、どう
して毎日ここに来てくれるのだろう。
前の私は、あなたのそういう所を好きになったん
だと思う。だけどもう、今の私はあなたの知って
いる私じゃない。
だから、私以外の人と幸せになった方がいい。
あなたの記憶をなくしてしまった私なんかよりい
い人はきっといるから。
だから、もう、忘れて下さい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?