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tenju
【小説】 ウィザード #4
魔法というものは、大きく2つに分類される。
1つは、先天魔法。
誰もが生まれつき1つ持っているもので、いわゆる魔法と呼ばれるもの。
そしてもう一つが、魔術。後天魔法ともいう。
生まれつき持っているものとは別の、訓練によって身につけられるものであり、かなりの才能と適性が必要となる。
「勝負方法は、ナストリエでいかがでしょう」
ナストリエ――簡単に言うとボール当てゲーム。握りこぶしくらいのボールを投げ合い、先に3回ボールを当てた方が勝ち。基本的に一対一、または二対二で行う。
「ルールは、先天魔法は使用可、魔術は使用不可、ということで。異論はございますか?」
「ねぇよ」
再び、二人の間に火花が散った。
運動場――。
校長に無理を言って貸してもらった。幸い卒業式後だったため、他には人は居ない。
「校長、審判をお願いいたします」
三メートル四方のコートを2つに区切り、アメティスタとレオが向かい合う。
「都合のいいときばかりに…」
アメティスタは、校長のぼやきを聞かなかったことにした。
ボールはお互いのコートに2つずつ。ボールが場外に出れば、審判が補充する。
「二人とも、準備は?」
校長の言葉に、アメティスタは、こくりと頷いた。レオは、無言で右肩を回した。
「さァ、ショータイムの始まりだ」