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死んでいればいい

生きていたくない。正しくあれ、正解であれ、死ぬことは不正解である。ならば私は死人でありたい。死人には願望も未来もプランもない。ただ風に流され雨に打たれるがまま自然と一体になって、事実を見つめて夢と分かりながら空想にふける。いま私が死んでいれば、生きることの鮮烈さを眩く思うこともない。舞台上で忙しなく動き回る役者を眺めるための客席にじっと着座し、空想にふけているのがいま20年ばかしの記憶をもつ精神体のひとつ、私である。

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