【レディース】1勝1敗同士。一歩も引けない第3戦[レノファレディースー北海道リラ・コンサドーレ]
イントロダクション
初戦の南葛戦こそ敗れたものの、第2戦は岩手に勝って1勝1敗とイーブンに戻してきたレノファ。3日目は同じく1勝1敗、北海道コンサドーレ札幌をトップチームに持つ、北海道リラ・コンサドーレとの戦いとなった。
リラコンサのメンバーはU20と言ってもいいぐらい若い選手が主体。
互いに3連戦目という日程を考えれば、レノファより若い相手たちに対してコンディション面での差には注意が必要かも知れない。
連勝して最後の市原戦に全てを賭けたい思いは選手もサポーターも皆同じ。負けられない。その気持ちを力に変えられるか、プレッシャーに思うかは選手次第だ。
レノファ山口FCレディース メンバー&フォーメーション
スターティングメンバーはボランチのみ入れ替え。ターンオーバーで第1戦に先発した津永佳琳が入った。
また前日に合流した中丸花凛がベンチ入りとなった。
試合開始
開始早々にアクシデントから始まってしまう。
津永が痛んで、そのまま前日にフルタイム出場していた小川真名美と交代となる。津永も心配だが、小川もここから試合終了までフルにコンディションを維持したままプレーできるのか、心配な交代となった。
3分 OUT MF20 津永佳琳 IN MF17 小川真名美
リラコンサは試合の入りよく、まずは試合を支配する。
若手主体だが上背はあり、また中盤はレノファの田中萌・小川真名美の2枚のボランチに対して、リラコンサはどうやらそこを3枚のフォーメーション。幅をとって人をピッチ広くに配置したレノファはどうしてもここの部分で数的不利になり、ボールを回収される流れになってしまった。
しかし、リラコンサはボールを持つもののチャンスクリエイトの部分の精度が上がらない。
ファーでフリーの選手に渡ったボールをシュートされたのがちょっと怖かったな、という程度で大きな決定機は作り出せない。
一方のレノファは、中盤の枚数のギャップをどう数合わせするか、中央を厚くしていくのか、前線はどの位置からプレスをするのか、試合の入りの時間では方向性が定まりきらなかった。
突破口を開こうとする伊藤さくらにはしっかりと2枚でケアするリラコンサ、それに対してレノファはサポートだったり、伊藤にDFラインのウラを狙わせるパスを引き出す動きだったりがあまり活性化せず、こちらもチャンスを作り出すという部分ではあまりクオリティが上がらない。
しかし14分のあたりから徐々に歯車が回りだす。
伊藤から右サイドの戎谷亜美へのサイドチェンジのボールが出てきたり、田中萌がサポートに入り伊藤・浅田梨花とのコンビネーションで左サイドを揺さぶりにかかる。
すると16分、左サイドからふんわりと上がったボールを大外で戎谷が落ち着いてコントロール。あっさりと得点が決まる。
戎谷らしいテクニックに裏打ちされたボレー、冷静にゴールネットを狙ったいいシュートだった。
レノファレディース 1 - 0 北海道リラ・コンサドーレ
この試合、お互いにとって3連戦目。
丁寧に緻密な攻撃で崩すよりも、シンプルなクロスに対して人数をかけに行ったりするような素朴な攻撃を繰り返した方が、守る方は考えることも無駄に走ることも多くなり効果的なのかもしれない。
また試合の入りのところでは枚数の多い中央で優位だったリラコンサも、失点して以降の時間帯は中央でボールを持った田中萌や、田中からバックパスを受けた大賀伶那に対する寄せがルーズになるなど、じわりと連戦の影響を感じさせるプレーが出てくる。
レノファはゴールに結び付かなかったものの、18分ごろ、右サイドに新井が流れ、そこから磯田尭那・浅田・戎谷が教科書通りのトライアングルの形でパスを繋ぐなど、リズムが出てきた。
21分、今度は左でフリーだった伊藤がドリブルし、間合いを測ってゴール中央に走り込んできた田中萌へ。惜しくもパンチングで防がれ、詰めたボールも枠にいかず、決定機だったが追加点とならない。惜しい。
リラコンサは基本系は4バック、攻める時はどちらかのサイドバックが上がり3バックの形をとってきたが、微妙に攻めが重たい。
リラコンサとしては飲水タイムがなく、自分たちだけでゲームを運ぶ中で、レノファのカウンターを警戒しすぎて後ろに重たくなってしまっていたのかも知れない。
時間が過ぎる中でリラコンサの守備陣が中央寄りにポジションを絞めて固めてくると、25分、右でフリーになった磯田が深い位置まで侵入し、浅田へのクロスまで至る。
この辺りは、失点を警戒し中央を閉めればサイドの磯田や伊藤が空く、持てる時間、考えられる時間が増えるという優位な時間帯だった。
立ち上がりはどうやって、どこで取りに行くのか見えてこなかった守備も、伊藤がまず寄せて浅田が取ったり、中盤に浅田が下りることで枚数を相手に合わせたりと、要所要所に顔を出しじわじわ効果を出していく浅田のプレーが光った。
守備面での修正が見えたところで前半が終わった。
後半開始
後半開始早々、小川が高い位置からプレスをかけてボールを吐き出させ、そのボールを米川愛梨が取ってから浅田へと繋ぐ。レノファはギアをあげて後半に入った印象だ。
一方でリラコンサは長いボールが増えてくる。
中央からサイドへとロングボールを出して、幅を使っての攻撃を使い揺さぶる形を作りたい様だ。
レノファはひとつのストロングで、攻撃のパターンとして確立された伊藤からのクロスの動きに、中央には浅田と田中、ファーサイドには新井が待ち受ける形で、田中のシュートは再びブロックされたものの、クロスは上れど人数不足のような、悪い時のレノファではない。
しかし守備に回る時間帯では、無理に繋ごうとする場面が気になった。無理に繋ごうとするとどうしても相手の寄せに遭ってしまう。
このような場合は、明確にクリアして自陣ゴールから遠ざけつつ一旦ディフェンスを作り直すなど、リスクを取らないやり方もある。
自分たちのやり方にこだわる面が悪い方に出ていたかも知れない。
しかし、そんなことをメモに記録していた45分、DF藤原瑞季がロングフィードを左サイド伊藤に出すと、伊藤は寄せに行った選手を冷静に抜き去りニアの浅田にマイナスのパス、浅田はそれをややこぼした格好になったが、そこに走り込んだのは小川真名美。
こぼれたボールをそのまま左足で豪快に振り抜き、これがゴール。
体は小さくとも内に秘めた闘志はとても強い、そんな小川のイメージそのままのミドルだった。
レノファレディース 2 - 0 北海道リラ・コンサドーレ
差を2点に広げられたリラコンサはここからプレスの圧力を強める。
しかし、余裕が出てきたレノファは「繋ぐこだわり」の部分が活きたシーンもあり、52分、中央の小川から伊藤、伊藤からまた中央など、長い時間ボールを保持しながら、単にキープではなく矢印は前に向けたパス交換を続けたシーンもあった。
リズムは確実にレノファだ。
この辺りは考え方の問題で、ボールを取り上げれば相手の攻めには遭わないという考え方もできる。シンプルに跳ね返し続けるのか、ボール保持にこだわるのかの問題はとても難しいテーマだ。
55分、ここでベンチが動く。
OUT MF2 磯田尭那 IN FW9 福本純子
右ウイングの戎谷を磯田の居たサイドバックに落とし、ウイングの位置に福本を置き、立ち位置を整理した。
すると効果が表れ、相手の攻撃が続く中でしっかり人に対して寄せつつ、クリアすべきところとシンプルに繋ぐところの使い分けが出来るようになり、ディフェンス陣の集中力が光った時間帯になっていった。
58分ごろには、リラコンサは攻撃に人数をかけ始める。
3トップか、1トップ2シャドーの形で中央3枚の形を作り、両サイドも高い位置を取ってリスクをかけて攻めてきた。
しかし効果は判然とせず、レノファにとってはクリーンシートが見えてくる。
65分、残り5分というところで最後の交代。
OUT DF3 藤原瑞季・FW10 新井優紀
IN DF25 山本芽依・FW11 中丸花凛
3バックを左から米川・大賀・山本とし最後の締めにかかる。
また前日に合流した中丸も早速の出場となった。
残り時間がなくなるに連れリラコンサの精度も落ちてきた部分はあると思うが、スタートからプレーしている米川・大賀はこの時間帯でも「頭が疲れていない」。
アディショナルタイムに入ってもディフェンス陣が読みでカットするなど、集中力を保ちつつ、試合終了。
良い時間、悪い時間は有ったものの、悪い部分をしっかり修正しながら自分たちのリズムを作り直したという意味で、とても収穫の多い試合となった。
レノファレディース 2 - 0 北海道リラ・コンサドーレ
了