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[京都・烏丸紫明] 麒麟

灯台下暗し。

京都の喫茶店分布地図の中でも、鞍馬口通り、紫明通りは名喫茶店集中スポットであることを改めて気付かされました。

図らずとも下宿を始めた場所がこのスポットだったとは、ぼくは幸せ者です。
それとも何かの因果でしょうか。

街路樹でひっそりした紫明通りの角にたつ看板。

「麒麟」。

ビールがうまそうな名前とは裏腹に、上には「COFFEE & TEA」の文字。

その脇には、ひとつの階段。
例のごとく、おそるおそる階段をのぼっていくと、あぁ、またまた素晴らしい喫茶店。

紫明通りを見下ろす窓際のコーヒーテーブルとソファ、卓上のソース類に混じって置いてある常連にしか分からない謎の液体(たぶんドレッシング?)、太古の 昔からそこに生えているかのような観葉植物たち、タイガースの時計からルービックキューブまで詰まった宝箱みたいな本棚。

それらが広すぎず、狭すぎずな空間に雑多に、でもしっくりと、収まっています。

お客さんも、閉店間際というタイミングにもかかわらず、下にあるタクシー会社の運転手さんらしき方々がたくさんおられました。
店を切り盛りするお母さんも明るく、みんなで将棋したり、クロスワードしたり、がやがやしています。

このほどよい騒がしさが、初めてのぼくにとってはとても有り難く、落ち着きます。

みんな気軽に話しかけてくれるし、お勘定の時には、席を外したお母さんの代わりに立て替えてくれようとしたり、とてもアットホーム。

この喫茶店を中心に毎日人間ドラマが起こってるんだろうな、と肌に感じます。いいなぁ。

小さな喫茶店にあふれる独特の開放感。

窓からの景色とやさしいお客さんたちがそんな雰囲気をつくっているようです。

自分の近くにこんな素敵な場所があるとは。

自分の知らなかった世界が、ある時、突然目の前に現れる感覚。
やめられません。

あぁ、こうしてまたぼくのお金がアイスコーヒーに溶けていくわけです…

麒麟
京都市北区小山南上総町1−2

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