[京都・御池御幸町]Tearoom Hitomi(閉店) -京都ローカル喫茶店案内 -
大事に大事に取っておいたら閉店しまった名店がある。
一応、御池御幸町と書いたが、詳し_場所はもはや分からない。
通っていた頃から15年もの月日が経ってしまった。
「Tearoom hitomi」
暑い日も寒い日も、いつでもコケティッシュなママはぼくをあたたかく迎えてくれた。
そんな大切な場所だったのに、ぼくがダラダラと時間を浪費していた間にお店は閉まっていた。
ママにあいさつもできないまま。
ここに書いたところで、もう通うことはできないのだが、大切な場所の記憶がこの街に残るように記録しておく。
「Hitomi」の店内は決して広くはないが、複雑な構造で、至る所に遊び心がある楽しい空間だった。
店に入って正面に、カウンターがある奥の部屋につづくアーチ形の入口と窓。
テーブル席と通路を仕切る鉄柵。
黒と白でまとめられた店内。
ところどころに観葉植物が置かれ、不思議な置き物がこちらを見つめている。
無造作に置かれたオブジェの数々は、この空間に吸い寄せられるように集まり、壁やピアノの上、棚の中に張り付いている。
「好きだと感じたものを集めただけよ」とママは言う。
本当だろうか。
実は、ぼくの密かな夢は、この場所で結婚パーティを開くことだった。
この小さな宝石箱を貸し切って、友人が気の向くままにレコードをかけ、酒を飲み、歌い踊るのだ。
ママにはよく恋愛相談にも乗ってもらったと記憶している。
だから恋の成果とお礼をここで報告したかったのだと思う。
どんな風に生きれば、こんな空間がつくれるようになるのか。
それを教えてくれるママは行方知らず。
あぁ、また会いたいなぁ。
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Tearoom Hitomi (閉店しています)
京都市上京区
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