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【学会発表のお知らせ:抄録】障害のある矯正施設退所者の出所後の地域移行支援の在り方を考える―矯正施設と就労移行支援事業所の連携実践から―(分科会10)

学会概要

学会日程:2024年9月7日(土)〜8日(日)
発表学会:日本司法福祉学会第24回全国大会(https://jslfss.org/convention/information.html
開催場所:武蔵野大学武蔵野キャンパス

演題概要

発表日時:9月8日(日)午後の部(13:15~16:00)
演題名:
障害のある矯正施設退所者の出所後の地域移行支援の在り方を考える―矯正施設と就労移行支援事業所の連携実践から―(分科会10)
発表者:
企画者・司会:鈴木 美乃里(株式会社LITALICOパートナーズ)
話題提供者:長谷川 隆(株式会社LITALICOパートナーズ)、百合山 久世(株式会社LITALICOパートナーズ)、野口 晃菜(一般社団法人 UNIVA)、熊倉 ひろみ(愛光女子学園)、村井 颯夏・城野 美季(株式会社LITALICOパートナーズ)
指定討論者:熊上 崇(和光大学)
抄録:https://jslfss.org/convention/archive/24/breakoutSession10.pdf 


発表演題概要

1.企画趣旨

矯正施設から退所した障害のある人は、地域でどのような支援を受け、どのように地域生活へ移行していくのだろうか。2009年から、矯正施設から退所した障害のある人が福祉的支援をスムーズに利用するための施策として、釈放後速やかに適切な介護・医療・年金等の福祉サービスを受けることができる「特別調整」が実施されている。一方で、実態として「再犯リスクが高い受刑者の場合、支援対象から外れる可能性」や「場合においては、(刑務所内の)社会福祉士等が支援候補者を挙げても、他の職員と合意できず支援対象者から外れる場合」があること、また、本人が「福祉施設を刑務所と同様のものだと考えている場合」や「福祉に対する知識がなく、福祉的支援を受けた経験もないなかで、公的なものに対する不信感から福祉的支援を拒否してしまうこと」があること等が報告されている(刑事立法研究会 2018: 261)。

本分科会では、2018年から継続している矯正施設(少年院・刑務所)と就労移行支援事業所の連携の変遷について、少年院の法務教官・就労移行支援事業所の支援員それぞれの立場から報告する。そのうえで、法務省における矯正施設での特性に合わせた処遇や外部機関との連携に関する事業などの動きも踏まえ、今後、広く福祉事業所・就労支援事業所で出所者を受け入れていく体制づくりについて討論する。

本分科会の内容に関する倫理的配慮として、事例に関わる対象者について個人のプライバシーは保護されること、学会発表への協力は自由意志であり辞退をしても不利益にならないことを文書と口頭で説明し、同意された方の事例のみ報告することとした。


2.発言要旨

(1)「株式会社LITALICOパートナーズにおける矯正施設との連携の全体像」長谷川 隆
2018年から継続している矯正施設(少年院・刑務所)と就労移行支援事業所の連携について、株式会社LITALICOパートナーズにおける取り組みの全体像を報告する。

(2)「就労移行支援事業所における刑務所出所者の受け入れに伴う、支援者の心理的変化と事業所運営について」百合山 久世
約1年半の就労移行支援ののち、現在は就労定着支援を行う出所者のケースから、支援者の心理的変化や事業所運営の観点からの報告と、今後の連携について課題提起を行う。

(3)「少年院への訪問支援と出院後にむけた調整について」野口 晃菜
2018年から継続している少年院への訪問支援について、連携の変遷や具体的な支援の内容、今後の展望について報告する。

(4)「少年院と民間機関との連携について」熊倉 ひろみ
株式会社LITALICOパートナーズとの連携について、少年院の法務教官の立場から、連携の変遷と今後の展望について報告する。

(5)「就労移行支援事業所における少年院退院者の受け入れと関係機関連携について」村井 颯夏・城野 美季
就労移行支援事業所において出所者を受け入れたのち他機関に連携したケースから、出所後の福祉的支援の在り方や関係機関連携について報告する。

(6)「就労移行支援・地域生活移行支援と障害の社会・人権モデル」熊上 崇
話題提供者からの報告を受け、今後、株式会社LITALICOパートナーズに限らず広く福祉、就労支援事業所において受け入れを拡大していく体制づくりについて、障害の社会モデル・人権モデルの観点から諸外国の実情も踏まえて討論する。 

◯引用文献
刑事立法研究会編(2018)『「司法と福祉の連携」の展開と課題』現代人文社.

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