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作家オークラが選ぶ この夏見た方が良いバナナマンコント10選

2021年7月30日に放送されたTBSラジオ「バナナマンのバナナムーンGOLD」で、バナナマンが2人ともお休みということで一緒にラジオをやっている放送作家のオークラさんがおすすめのバナナマンコントを紹介されていた。
ゲストとして東京03の飯塚さんを迎えて、エピソードを交えながらバナナマンのコントについて2時間たっぷり話されていた。

バナナマンがお休みの中だったが、バナナマンのコントも好きな私としては神回であった。
放送で取り上げられていたコント10選をラジオをまとめいきます。

①オサムクラブ(1995年『処女』)

バナナマンが初の単独ライブで行ったコント。
設楽さんと日村さんが友達の設定で、一人暮らしを始めた設楽さんの家に日村さんが遊びに行くというシチュエーション。
その設楽さんの家で、設楽さんが日村さんに「オサムクラブ」というクラブに入らないかという勧誘をするコント。
オサムクラブというのは設楽統(おさむ)さんを敬うクラブで、設楽さんのために儀式をしたりするクラブに日村さんが興味を示す。
その一方で設楽さんの一人暮らしの家の電話(当時は携帯電話がまだ普及していなかった)にかかってきた電話を勝手に日村さんが出ちゃうというくだりも並行して繰り広げられていく話。

このコントは「オサムクラブを勧誘する」という縦軸と「設楽さんの家の電話に勝手に日村さんが出ちゃう」という縦軸が同時で進んでいく斬新な設定。
実はこのコントは「オサムクラブに勧誘する設定」と「友人の家の電話に勝手に出ちゃう設定」とをドッキングして作ったコントとのこと。
オークラさんが例えとしてビートルズがポール・マッカトニーとジョン・レノンが未完成の曲を持ってきてドッキングさせて名曲を作っているという話をしており、当時まだ21歳の若さで作った設楽さんは天才と崇められていた。

②ルスデン(1997年『処女2』)

日村さんが一人暮らしをしていて、家に帰ってきたら家の電話に留守電が30件以上入っているところからスタートする。
留守電の中身が友人の設楽さんからの電話が入っており、留守電を再生すると設楽さんがどんどんやばい事件に巻き込まれる様子が過去の留守電に残っているというコント。
日村さんのほぼ一人芝居で、追い詰められている演技などがリアルで演技力の高さが秀逸なコント。

当時渋谷の「ジァン・ジァン」というライブハウスは泉谷しげるさんなどがライブを行うフォークライブを行う場所として有名だった場所で単独ライブを行ったとこと。
バナナマンがその場所で単独ライブを行った最年少記録を持っているとのことで、他でもお笑い芸人には貸してくれなかったライブハウスをバナナマンには貸してくれるというような、お笑い芸人が利用できるライブハウスなどの場所を切り開いたパイオニア的な存在でもあったと紹介されていた。

③お前の姉ちゃん見たよ(2000年『RADIO DANCE』)

設楽さんと日村さんがただ椅子に座って話すだけのコント。
設楽さん「お前のお姉ちゃんを見たよ」
日村さん「それ本当に俺の姉ちゃんなの?」
設楽さん「たぶんお前の姉ちゃんだよ」
日村さん「なんで証拠もないのに俺の姉ちゃんだって決めつけるの?」
と言うくだりの話で、日村さんが設楽さんに舐められていると感じて、
日村さん「俺のことを舐めているから、確証もないのにお前の姉ちゃん見たって言えるんだよ。姉ちゃんかどうかなんて、わからないじゃないか。」
という切り返しをしていくコント。

「確証もないのに決めつけて言ってくる人」という、なんとなくのあるあるをコント化した作品で、設楽さんが面白いと感じたポイントを素直に表現したコントとオークラさんが評価をしていた。
東京03飯塚さんは、その面白さに着目して設定を作る設楽さんもすごいし、大きなボケでない設定で演じきれるバナナマンの二人の演技力についても絶賛していた。

当時コントの練習するの少しダサいという風潮があった中で、バナナマンの2人は練習量が多いコンビだったらしいのだが、その中でもこのネタは特に練習していたらしい。
そのため最初の段階から最終的には大きく完成度が上がったネタになったらしく、オークラさんから言わせてみると「バナナマン’s High」という練習を経て完成度がすごく上がる現象が起きたらしい。

④Secretive Person(2002年『ペポカボチャ』)

設楽さんと日村さんが長い間付き合いのある友人同士なのだが、設楽さんが色々な話を小出しにするのだが、日村さんが知らない話ばかりで、日村さんが「なんで言わないんだよ」というツッコミをしていくコント作品。

作家オークラさん曰くバナナマンの最高傑作と思われているもので、東京03飯塚さんも大好きな作品。
ある種あるあるなネタなんだが、話の展開をしていく中で、どんどん伏線を回収していく秀逸なコント。
バナナマンの二人の演技力の高さがないと面白くないコントと話されており、特にバナナマンの口元での演技がうまい。
設楽さんの抜け感の芝居も本当に上手いと評されていた。

⑤Fraud in Phuket(2004年『Elephant pure』)

夫婦でプーケットに旅行に行くも夫が仕事をしなくてはいけなくなってしまうことがきっかけで夫婦喧嘩をしてしまい、奥さんが夫を心配させて振り向かせるためにホテルの給仕さんと組んで奥さんが誘拐されたフリをするという話。

これはバナナマンのお二人が1人2役を演じたコントで、設楽さんが夫役とホテルの給仕役、日村さんが奥さん役と夫の会社の仕事相手を演じている。
バナナマンの2人とも演技力が高いからこそ2人で4役ができるということであり、今の芸人の中でもコンビ芸人、トリオ芸人で全員の演技力が高い人たちがほとんどいないとのこと。

結構設定がしっかりしているコメディ作品なのだが、実はこの作品は前日まで完成されていなかったらしい。
そのため、あちこちにカンペが貼れるようなことを舞台上に仕込んだ結果、夫の仕事としてカンペを描いた図面を広げたり、電話のやりとりでメモを取る際にカンペを見れるようにするなどの設定を直前で足したとのこと。
そのおかげで逆に構成が面白くなったという奇跡が起きた作品と興奮気味にオークラさんが話されていた。

⑥二重思考人間(2005年『good Hi』)

ワンルールを決め、それに乗っ取って展開していくシステムのコントなのだが、二重思考人間という同時に真逆の二つのことを言ってしまう人間の話。
例えば、「君のこと好きだよ、嫌いだけどね」みたいなことを考えてしまう人間のこと。

シンプルな設定なのに、バナナマンだからこそ面白くなった限られた人しかできないネタとして取り上げられていた。

⑦dumb cluck(2010年『DIAMOND SNAP』)

設楽さんが「馬鹿野(ばかの)」という苗字のタイムマシーンを開発した天才科学者の役どころ。
その設楽さんが明治維新で苗字を全員がつけるようになった際にタイムスリップして、自分の先祖の苗字を変えさせようとする話。
日村さんはその設楽さんの先祖の役で、少し抜けた丁稚奉公(でっちぼうこう)を演じている。

日村さんは誰にも話しかけられなかったら、結婚したい人に声かけようとしているということをしているのだが、そのタイミングでタイムスリップしてきた設楽さんが声をかけてしまったため、設楽さんが先祖になるはずだった人との出会いを止めてしまった、という親殺しのタイムパラドックス的な話。

これを落語調な展開で話を進めており、非常に見応えのあるコント。
タイムマシーンを使った題材に真面目に取り組んだ、もはやコントというよりは映画のような壮大な話。

⑧THEOMAN ISLAND(2012年『TURQUOISE MANIA』)

テオマン島という島に旅行に行った設楽さんと、テオマン島の現地ガイド員の日村さんの設定。
設楽さんが望むようなことと、ズレたことばかり案内してくる日村さんという話が続くのだが、お互い独白的に一人しゃべりで基本的に話が展開されていく。
オチも日村さんから無理やり買わされたペンダントで命拾いするという、綺麗なオチとなっており、かなり構造が綺麗なコントとのこと。

かなりセリフ量も多く、独白シーンが多いため、設楽さんがノンストップの司会を務め始めた2012年にやるようなネタではなかったにもかかわらず、やり切っていたという普通に人としての凄さを感じた作品だったとオークラさんが感服していた。

⑨Air Head(2017年『Super heart head market』)

日村さんと設楽さんがオフィスで残業をしていて、日村さんが手作りの飴を設楽さんに勧めるも断られ、それをきっかけに日村さんが設楽さんに舐められていると思い、話が展開されていく。
その中で日村さんが舐められているのは仕事ができないからであり、仕事ができないのは男脳であるからという話をされ、設楽さんは女脳だから仕事ができるという話に進んでいく。
その結果、本当の殺し合いだったら男脳である日村さんが勝てるのではということで、本当の殺し合いごっこをしようとするネタ。

オークラさん曰く、設楽さんが思う思想などを盛り込んだネタで、ラジオで話しているようなことをコントとしてキャラクターが演じてみようという、近年のバナナマンコントが凝縮された作品。

⑩scrambled(2019年『S』)

日村さんが1人3役を演じ、設楽さんが1人2役を演じた作品。
アメリカンダイナーを舞台とした、ピストルが入った鞄の受け渡し相手を間違うという話で、出てくる人が外国人っぽい感じをしっかり演じきっているということで、日本の芸人が海外の映画のようなものを作れるようになったコントとのこと。

番外編 宮沢さんとメシ(2008年キングオブコント決勝ネタ)

こちらは東京03飯塚さんが好きなコントとのことで、ラジオ内で話されていたネタ。

ひょんなことから宮沢りえさんと一緒に飯を食いに行くことになった設楽さんが、日村さんに一緒に来てくれないか?と誘うネタ。
日村さんは行きたい気持ちが強くある一方で、何を着ていけばいいのか、何を話せばいいのか、など不安な気持ちもあるような反応を示す。
ただ、それに対してデリカシーのない役の設楽さんは日村さんの気持ちに気づかずに、デリカシーのない返しをしていくという話。

あとがき

1週間経ってしまったが、バナナマンの傑作コントについて熱く語る、作家オークラさんと東京03飯塚さんのやりとりは、裏話的なことも含めて非常に面白かった。

個人的にもバナナマンの「傑作選」を友人から勧められて見たことがあるのだが、テレビで見るようなネタとは違い、短い映画を見ているような読後感を感じることができる。

上記の中で個人的には一番好きなのは「ルスデン」で、実は一番最初に友人からおすすめされたネタでもある。
バナナマン自体はテレビバラエティとかでよく見ていたので、人となりなどはわかっていたが、本当に演技力が高く、恐怖感をうまく演出されており、そこからバナナマンのラジオを聴くようになったきっかけでもある。

なかなか今だと見れない作品が多いが、まだ見ていない人に紹介していきたい。

*ちなみにトップの画像は以前にTBSラジオのラジフェスで購入したバナナムーンGOLDの記念Tシャツの写真です。

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