言葉選びって、難しい…
コミックエッセイ「がんの記事を書いてきた私が乳がんに!?~育児があるのにがんもきた」を書かれた、藍原育子さんの「ねとらぼ」のインタビュー記事を読みました。テーマは、「がん患者を傷つける(可能性のある)NG言葉」。とても興味深く読みました。
この本の中では「かわいそう」「絶対に治るよ」「初期で良かったね」などの言葉がNG言葉としてあげられています。でも、ポイントは()の中の「可能性のある」という部分のように思います。同じ言葉でも、誰が言うか、どう言うか、自分のメンタルがどのような状態の時に言われたかによっても、感じる印象はだいぶ違うと思うのです。
自分の経験を振り返ると、(限られた人にしか病気のことはオープンにしていませんが)このNG言葉にあげられたものの中では「初期で良かったね」を一番多く言われたように思います。私自身はこの言葉を聞いても傷つきはしなかったのですが、傷つく人がいるのもとてもよくわかります。「良かった?!全然良くないよ!!がんと診断されて、とてもショックをうけたのに!たくさん不安もあるのに…そんなに簡単に一言で済ませないでよ!!!いいよね、どうせあなたにとっては他人事でしょ?!」と感じる人がいてもおかしくないと思います。
よくよく思い返してみると、私が「初期で良かったね」と言われても傷つかなかったのは、その言葉と一緒に、私の事を思いやってくれる言葉、私に寄り添いたいという想いがビシビシ伝わる言葉をもらっていたからだったと思います。「何か手伝えることがあったら何でも言って」「入院中使えるように、美味しいレトルト商品送るね」「仕事は何とでもなるから、まずは身体のことを第一に考えて治療してね」「私の身内にも同じ病気の人がいるけど、手術を終えて元気いっぱいだよ!きっと大丈夫!」などなど。心から「ありがとう」という気持ちになったことを思い出しました。一番不安な時に、心強かったなあ…
インタビューの中で『普段の人間関係にも「誰かを傷つける(可能性がある)言葉」はあって、でも、誰が言うか、どう言うかなどによって言葉の意味合いは変わる』という一文があり、本当にその通り!と思いました。また、『絶対に傷つけないことも、傷つかないことも現実的にはムリだと思います。ですが、「普段だったら傷つかないような言葉に傷つくかもしれない」「『この人はこれくらい言っても大丈夫』が、今は大丈夫ではないかもしれない」と頭に置いておくだけでも、違ってくるのでは』という文章にもとても共感しました。
私自身は「失敗した!」と大反省しているのですが、手術を終えしばらく経ったタイミングで、一番仲の良い友達にLINEで病気のことを伝えたことがありました。返信は「夜に電話します」のみ。その友人から夜に電話があり、「ショックすぎて言葉がでなかったよ…」とのこと。直接電話で話して「元気な声を聴けてほっとした」と安心してもらえましたが、どんな言葉を言えばいいのか、親しければ親しいほど迷うのかもしれないな、と思いました。
言葉選びには正解がありません。私がこうしてnoteに綴っている言葉も、誰かを傷つけているかもしれない。でも、できる限り読んでくださる方が怖い想いをしないように、孤独を感じることのないように、少しでも明るい気持ちになれるように、丁寧に言葉を選びながら書き続けていければと思います。
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