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strongfeeling
じいちゃんばあちゃん
目が覚めると見慣れない天井に得体の知れない不安を覚える。そして気づく。「じいちゃんばあちゃんの家に来てるんや!」
盆や正月に母方の祖母の家を訪れた際、何泊しても目覚めた時の不安感が消えることはなかった。連泊しようが毎朝同じ気分で目覚める。「ここはどこ?」
ただ、宿泊最終日だけは違った気分になる。目覚めと同時に感じる不安な気分は同じだが、最終日であることに気づいた途端に寂しくなる、悲しくなる、じいちゃんばあちゃんともっと一緒にいたくなる。自分の数え間違いであることを信じつつ、宿泊した日数を数え直して最終日であることへの確信と落胆を噛み締める。
車に乗り込んで祖父母に別れを告げる。じいちゃんばあちゃんはいつも、僕らが見えなくなるまで手を振ってくれた。「これが最後になるかもしれない」なんて思ったことは一度もなかった。
今では、次も会えることを信じながらこっちも手を振る。
お互いに振る手が止まらない。
400字エッセイ書いています。