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川根本町
「越すに越されぬ」で有名な静岡県中部を流れる大井川。
そんな大井川を沿うように敷かれた大井川鐵道に乗り込んで川根本町を訪れた。大井川鐵道では、私鉄が使い込んだ古い車両を再利用しているようだ。乗った列車が偶然にも自分の地元で活躍する近畿鉄道の列車なだけで自然と笑みがこぼれる。
列車内では、車窓に映りこむ広大な茶畑と雄大な連峰、水色にも緑色にも見える大井川の景観を楽しめる。日本で唯一現在もSLが健在の鐵道であり、汽笛の音が町中に響き渡る。
町中を散歩した。出会う人には必ず声をかけられ、とびきりのスマイルがもれなく付いてくる。数分歩くとふきだす汗に、山間を吹き抜ける風が当たるのが心地よい。
夕方5時が過ぎると町から喧騒が消える。人影がなくなり、お店のシャッターが閉まる。ひぐらしの鳴き声が町に夕暮れを知らせてくれる。
沈みゆく夕日に向かって明日の抱負を誓う。
明日も川根に陽はのぼる。
「400字エッセイ」書いています。