観音様との誓い
JR大船駅に近づくと、山の中から大胆に顔を出す真っ白な像に驚いて思わず声が出る。観光で鎌倉・江ノ島に向かう際は毎回だ。電車内から眺めるだけだったその観音像に、栃木から来た友人と向かった。
男女の性を超越した存在といわれる観音様だけど、街と人々を見守るような暖かい微笑みとふっくらした顔立ちをしている大船観音像が女性のように見える、という友人の意見に異議はない。
お寺の入り口までの急坂を元気なセミの応援歌に押されて登った。日本の夏はまだ終わらないんだという、悲しいけど嬉しくもあるような気持ちになる。順路を辿って階段を登ろうとしたとき、視界全体を巨大な観音像の顔が突然占領したので、ここでも思わず声が出た。正面から見た観音様は無愛想な表情をしている一方、横からだと優しげな表情に見えるのが、人間的な要素が観音様に残っている気がして親近感を覚える。
戦争と核兵器のない平和への希求と行動を観音様に誓った。