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ポルトガルの「デジタルノマドビザ」の記事を読んで移住者目線で思ったこと

「ポルトガルでデジタルノマドビザが申請可能!」という記事が話題になっているのを見かけたので、その記事を居住者の目線で読んでみました。
ちなみに私はポルトガル現地で自営業として居住許可証(レジデンスカード)を申請・取得し、現在ポルトガルに住んでいます。

読んだ記事はこちらです。

ポルトガル政府の公式文書を探したのですが、政府やSEF(移民局)のサイトでは見つけられませんでした。10月30日から申請可能だそうなので、そこで改めて具体的な必要書類一覧が明らかになるのでしょうか?
そのほかポルトガル国内での関連記事等も読みましたが、内容は同じでした。

記事の要点はこうです。

・ポルトガル政府は、2022年10月30日に正式に導入される「デジタルノマドビザ」の要件を発表した。
・このビザはポルトガルの最低賃金の4倍以上の収入のあるリモートワーカーが申請できる。月給に換算すると約2750ドルだとなる。
・このビザを取得すれば、1年間ポルトガルに住みながら働くことができる。

https://www.businessinsider.jp/post-260419

注目されるのは収入要件と「リモートワーカー向けのビザ」であることでしょうか。

収入要件は「ポルトガルの最低賃金の4倍以上の収入」、具体的には「過去3ヶ月間の収入証明、納税証明書、雇用契約書(または自営業を証明するもの)」の提出が必要だそうです。
記事では月給2750ドルとなっていますが、これはポルトガルの最低賃金が月€705だから。つまり月€2820以上の収入が必要ということです。
ちなみに2022年の最低賃金は月€705ですが、2023年は月€760になると先日ニュースで見ました。

ここ数年のポルトガルの最低賃金は以下の通りです。
2018年 €580
2019年 €600
2020年 €635
2021年 €665
2022年 €705
2023年 €760

円で収入を得ている場合、ポルトガルの最低賃金の上昇や円安により今後必要な収入は変わってくると思います。

次に、記事には以下のようにあります。

2022年10月30日から、リモートワーカーは最長1年の一時滞在ビザか、最長5年で更新可能な居住許可証を申請できるようになる。

https://www.businessinsider.jp/post-260419

ビザの有効期間は1年間、その間に現地で居住許可証(レジデンスカード)を申請することも可能、レジデンスカードを取っても更新できるのは最長5年まで、ということでしょうか。
ポルトガルは5年間居住許可証を持って滞在すれば永住権の申請が可能です。デジタルノマドビザが永住権に繋がるかは、この記事からはよくわかりませんね。

以下については「?」でしたが、元記事が英語だからだと思います。

このプログラムの最大のセールスポイントのひとつは、シェンゲン協定が適用されるEU加盟国26カ国内をビザなしで自由に旅行できることだろう。

https://www.businessinsider.jp/post-260419

日本のパスポートならほとんどのシェンゲン国はビザなしで旅行できますよね?
なのでここに関する旨味はあまり関係ないのかと思いました。

また、注目はD7ビザとの違いです。

ポルトガルは新型コロナウイルスのパンデミック発生以降、外国人の流入が続いている。その多くが「D7ビザ(パッシブインカムビザ)」を利用してポルトガル国内で仕事をしている。
「D7ビザ」は、この種のプログラムの中で最も入手しやすいもののひとつで、申請者はわずか7200ユーロ(約102万円)以上の年収があればその資格を得られる。しかし、その収入はデジタルノマドビザの月給ではなく、不動産や会社の株式などへの投資からの所得(パッシブインカム)でなければならない。

https://www.businessinsider.jp/post-260419

ここについて、ちょっと疑問があります。
記事ではD7ビザは「不動産や会社の株式などへの投資からの取得でなければならない」とあります。しかし、私の知っているD7ビザで移住した人はまさにデジタルノマドとしてリモートワークで収入を得ているのです。
私はD7ビザについてはよく知らないため、最初にデジタルノマドビザについて見かけた時「収入要件がやたら高いけどD7と何が違うの?」と思いました。
そしてこの記事を読んで、D7ビザを申請するにはパッシブインカムでなければならない(とされている)ことを知りました。
ただ、実際リモートワークによる収入でビザを取り移住した人を知っているので、収入要件の高いデジタルノマドビザよりD7ビザの方が良くない?と思ったり。
それか、デジタルノマドビザが出来たことでD7ビザとの差別化として今後リモートワーカーはD7ビザの申請が難しくなったりするのでしょうか。

私と同じような立場の友人と「今は最低賃金でレジデンスカード取れるけど、もし今後カードの更新時にその4倍の収入が必要って言われたらどうする?」という話をしました。そうなったらどうしよう…。

あと、この人達はどこに税金を納めることになるんだろう?という疑問も持ちました。ポルトガルには払わないんですよね?多分。
ああでもIRSして税金徴収されるのは2年目からだから、1年だけ住む場合には気にしなくてもいいのかな。

あとはこれです。

デジタルノマドビザ推進派が、この制度が地域経済を活性化させるという一方で、外国人リモートワーカーの流入により、すでにインフレに悩まされている地域の住宅価格の上昇を懸念する批判もある。

https://www.businessinsider.jp/post-260419

インフレ!家賃の上昇は本当にきつい。ただでさえ地味にあれこれ物価も上がっているのに…。
家賃に関しては、今までそれほど高くなかった地域もここ最近でどんどん上がってきているようです。

メンドンサは、「デジタルノマドビザは憂慮すべきものではない」と話す。なぜならば、ポルトガル領の人気リゾート地のマデイラ島が「デジタルノマド・ビレッジ」となっているように、「デジタルノマドは必ずしも大都市で働きたいとは思っていない」からだという。

https://www.businessinsider.jp/post-260419

ええ〜?(疑いの目)

「必ずしも大都市で働きたいとは思っていない(でもビーチがあって仕事もできるお洒落なカフェがあって英語が通じてシーフードの美味しい都市部がいい)。」なんじゃない?きっと家賃安くても内陸部には行かないんでしょ。(偏見)

ということで、デジタルノマドビザの記事について居住者目線で読んでみたところ、

・デジタルノマドビザが出来たことによる他のビザや居住権申請要件への影響
・家賃等のさらなるインフレ

が気になりました。

私はすでにレジデンスカードを持っている立場なのでまだ気持ちに余裕がありますが、これが例えばSEFからの連絡や予約を待っている期間の出来事だったら「またSEFの業務が滞る!こっちはいつまで待てばいいんだ!!キーーッッ!!!」となっていたに違いありません。

逆に、これを機にSEFの職員を増やして諸々スムーズにいくよう変わってくれたらいいのですが。


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