墓碑のポリフォニー
みな、死んで、墓碑になり、そのそれぞれの墓碑は、それぞれの遺した言葉と、音楽と、絵と、すべての外化を湛え放っている。もう誰も生きておらず、永遠に吹きすさぶ風と埃の中で、一つ一つの立方体の墓碑が、何度も繰り返し自分のパートを、それぞれ長さもてんでバラバラな自分のパートを歌う。そんな風だから、ごちゃごちゃと騒がしかった辺り一帯は、或る時突然、奇蹟的なタイミングの一致によって、コーラスに聖化される。それは一瞬で過ぎ去って、すぐになんだったのかもよく分からなくなる。残響はあるかしらん。そうしてまた、永い眠りにつく。誰が?さあ、知らないけれど。