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地域工務店の課題 消えた30代

地域で注文住宅・分譲住宅を施工しておられる工務店経営者の皆さんとお話をしていると、いくつかの特徴がある。実際にアンケートを取って状況を聞いてみたいのだが、その一つとして社員の皆さんの年齢分布がいびつな形になっているという点が挙げられる。

〇消えた30代:中堅がいない『ベテランと若手』状態

社員構成としては50~60代のベテラン社員と20代の若手社員が大半を占め、働き盛りの30代~40代が少ない形になっている。20代社員の成長を期待したいが、ひと世代上の社員が少ない事で目標とする社員像がなかなか想像できない事や、スキル面や働く意識に関してベテラン社員との格差があるケースがある。これによって健全な意思疎通が出来なくなっていることもあり、また社員同士だけではなくOB施主や取引業者とのコミュニケーションにも課題が出てきている。工務店に限らず社内の年齢構成はまんべんなくバランスを保っている形が望ましいと考える。

〇目標に対する自社の状況を整理してみよう

例えばリーグ優勝を目指しているプロ野球チームがあるとしよう。主軸選手としてベテランが頑張っているものの、少しずつ体力の衰えを感じ始めていて、もうあと2~3年すれば引退すら考えなければならない状況にある。入団1年目から5年目の若手で有望な選手もいるが、まだしっかりした成果は残せてはいない。成長した選手はフリーエージェントで他球団へ行ってしまう可能性もあるし、やり甲斐の確保やムード作り、球団として適正な選手補強などを行いこのチームで優勝したいという思いを持ってもらう何かが必要だと考えている。

これをそのまま会社に置き換えると、自社はどうだろうか。目標とする売上高や利益に対して適正な戦力や環境が整備されているかもう一度見直す必要があるだろう。

〇解決策

人員構成から来る課題に関しては、下記の解決策がある。

①適正な人財の採用(中途・新卒)

②現有社員の育成・スキルアップ

③外注業者との連携強化

④働きがいのある環境整備

⑤トップとの定期的なコミュニケーション

⑥デジタル化による生産性向上

⑦ブランディング

これらの事を実践していくにはかなり時間がかかる。おそらく2年~3年の長いタームで考える必要があるだろう。しかし少しずつでも積み上げていく事で改善はされていくはずである。どこから始めていけば良いのか、という話になるが、これは『インサイドアウト』つまり内側から変革を起こしていく必要がある。その中心には経営者がいる。経営者が自社を客観的に観照し足らないリソースを埋めたり、自分の行動を見直していく事で会社が変わってくると思う。うまくいくと気持ちが通じ合い、ブランディングと共に中途・新卒問わず入社を希望する社員が増えてくる。
採用に際しては、一定のお金を掛け戦うための布陣を整えると覚悟すべきだろう。いま採用には一人数百万円の費用が必要だと言われる。過去ハローワークで優秀な人材の応募があった時代はとうの昔に終わっている。そして、採用とあわせて離職防止に対する対策も講じておく必要がある。特に地域工務店においては社員が長く勤めるメリットがOB施主・取引業者・会社などそれぞれに多い。社員にとっても働きがいを感じることが出来ればこれ以上良い事はない。

このようにただ抜けた穴を埋める形ではなく、水質を改善しながら社員の意思疎通を行い、皆に目標の共有を行っていき、併せてブランディングやデジタル化を図っていく事で数年はかかるかも知れないが強い会社づくりを実践する事が重要だろうと思う。

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