ベトナムでのマーケティング事例3:和僑の成功事例
「ベトナムでのマーケティング事例」をハード・ソフトの視点で論じてみる。
ハードとソフトとは、下記の2つである。
1 ハード(物理的世界)
2 ソフト(心理的世界)
一般的に、「ハード」(物理的世界)で問題を解決する。ただし、ビジネスでの成否は「ソフト」(心理的世界)を理解し、もう一つブレイクダウンした視点ができるかにどうかにかかっていると言っても過言ではない。つまり、生活者ニーズの理解である。
第3回目になりました。
今回は、「和僑の成功事例」をご紹介したい。
今回は、ベトナムで元気活発な「和僑」を取り上げたい。「和僑」とは、海外進出した起業家や企業の駐在員など世界各地に居住して活動する日本人の呼称である。中国国籍を持ちながら海外に居住している「華僑」にちなんだ造語である。
ベトナムでは、「和橋」と呼ばれる日本人起業家が多い。実は、この「和僑」の起業家と就職氷河期(1993-2004)に卒業した社会人との相関が高い、という統計がある。日本の大企業が元気なく、失われた時代と叫ばれていた時に、エネルギッシュな日本の若者は日本国内ではなく「和僑」としてベトナムなどの海外に飛び立っていたのである。現在、「和僑」の中で成功者が多く出始めており、海外で「和僑」が賑わっているのである。
「和僑」が提供しているビジネスの中で最も多いサービスは「飲食業」であろう。日本人駐在員向けの飲食店が多い中で、日本人のみならず欧米人やベトナム人にも人気がある高級イタリアンレストランを紹介したい。この高級イタリアンレストランは、日本人のみならず欧米人の富裕層をメインターゲットとして、世界レベルの視点で本格的な味と雰囲気を実演(ハード視点)することで、そのレストランのポジショニングを確立した。加えて、富裕層が多くなってきたベトナム人もメインターゲットになっていくSTPマーケティングが明確であったと言えよう。仮に、そのレストランのポジショニングが日本人向けの高級イタリアンレストランであったら、こんなに迅速かつ円滑にベトナム人富裕層の顧客獲得は難しかったであろう。
「和僑」の素晴らしいセンスのある人財が、ターゲット顧客の求める価値(ソフト視点)に合うように、ある食品は内製化で用意するなどで品質を担保し継続できている。今後は、リバースイノベーションとして日本市場への進出も気になる部分である。
このレストラン以外でも、「和僑」の素晴らしいセンスを生かした製品・サービスが、外国人・現地顧客を獲得し、リバースイノベーションとしての日本市場への進出も「和僑」に期待したい。