なんでも口に出す国民性。

お店を開けているといろんな人がくる。
私がターゲットにしている層は20−40代でエクスパット層、新しいものに敏感な層だ。しかしながらそういった層は日中働いているのでターゲットは広く取らないといけない。
わかってはいるが、違うのである。

私がお店を開けたのはバルセロナ市内ではなく中心地から30分ほど離れたところ。東京でいうと板橋区にカフェを開けたような感覚である。

スペインのコーヒーは安い。
いわゆるラテで大体2ユーロしないで飲めてしまう。ただ、美味しくない。こんなにコーヒーを飲む文化にもかかわらず美味しくないのだ。そして牛乳も美味しくない。
みんなロングライフミルクを使っているからか、なんか飲んでも飲んだ気がしないのがスペインのコーヒーの特徴だ。

大抵そういうバーまたはカフェのコーヒーというのは大手のコーヒー豆屋が豆を下ろす代わりにエスプレッソマシーンも貸し出してくれるパターンが多く、お店側からしたらコーヒーは金のなる木なのである。

ただ私は自分が美味しいコーヒーが飲みたかったのもあり、バルセロナ市内のファンキーで美味しい焙煎屋さんからとり、牛乳もやーっと見つけた美味しいフレッシュな牛乳、賞味期限一週間、そしてコーヒーマシーンはイタリアのマルゾッコと私のコーヒーを入れる腕を除いてはどこに出しても恥ずかしくないコーヒーなのである。
なので通常のコーヒー屋さんより少々高く金額も設定しないと一生利益は出ない。本当だったら4ユーロくらい欲しいよねと思うのだがここはスペイン。それも観光客もいないローカルな場所なのでここは周りと合わせつつ2.3ユーロというなんとも微妙な値段にした。
東京だったらエスプレッソ600円とかなのに。。

まぁそんなことを言ってもしょうがないし、くる人は喜んでくれている。と思っていたら、
こないだ来た女性の客、値段表を見て一言、あっちのカフェより随分高いわね、向こうは00ユーロよと。

もうすみません、で??っていう。うちはスペシャリティコーヒーでぇーと言うもののあんまりわかってない。
もういいんです。あなたは私のターゲットじゃないから。と割り切れれば良いものの、こう言う言葉って残るし疲れる。
そしてじゃあ向こう行けばいじゃんって言う。しかし客商売。そんなことも言ってられない。
ヘラヘラしてやり過ごす。

そしてその後きたおばさん三人組、抹茶のチーズケーキを頼むも、聞こえるか聞こえないかの声で全然抹茶の味がしないわとか言ってる。いやあんたホントの抹茶飲んだことあります?やっすいスーパーの緑の粉と一緒にすんなや、こっちは京都から直輸入だよと毒吐きたくなる。
そして挙げ句の果てにはコーヒーのカップが小さいと。もう少し大きくしなきゃダメだと。
ちなみにこのカップ私が自分で陶芸で作ったもの、コーヒー豆やさんにも相談して作った大きさ。確かに規定のものよりは若干小さいかも知れないけど、コーヒーの味がわかる大きさなのだ。
それを説明すると、でもスペインではもう少し大きいのが主流でダラダラだらとなんか言ってくるのでもうめんどくさくなって、うん、じゃあ次はもう少し大きく作るねと。
違うんです。私がやりたいのはスペインの主流がやりたいわけじゃないんです。
こんなにフランスに近いのに美味しいペイストリーもなくて、みんなスコーンってなに?アールグレイってなに?って聞いてくるし。コーヒーめっちゃ飲むくせ味は気にせず値段には敏感な国民性。
旅行に来た昔パリに住んでいた姉が、スペインはダサい、おしゃれなものがないと言っていたのが脳裏によぎる。


あれ、私しくじった?
いや、そんなことない!これからだ!頑張れ私!

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