不死身のギターヒーローでいて欲しかった
※今回、死に関するお話があります。
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1週間が経った、らしい。
私が心の底から一番大好きと言える、特別なバンドの、大好きでたまらなかったギタリストが急に消えてしまってから。
どうやら、そうらしい。
実感は湧かないし、時間の感覚もおかしい気がする。
穏やかな気持ちになったり、悲しみの渦に飲まれそうになったり、を繰り返している。
忙しくなかったらもっとメンタルにきていただろうな。
この悲しさがいつ消えるかなんて分からないし、消えて欲しくない気持ちすらある。
もっと落ち着いてから書こうかと思ったけれど、noteをみていると書いている人がちらほら居て、なんだか救われたから私も書こうかな、と。
だから何回も書いてしまうかも。それくらい、大事な人なのだ。
「sumikaについてのお知らせ」
見慣れない堅い文面のツイートに、公式からの通知で気づいたのはバイトに行く前、駅にあるスタバでだった。
怖い、怖い、なに??
っていうファンのリプライ。私はsumika用のアカウントを持っているので、リプを飛ばしている人の中にはフォロワーさんもちらほら。
サーバーダウンして見られないウェブサイトのスクショのようなものを、誰かが載せていた。
心臓がドクン、と大きく動いたが、同時にとんでもない悪ふざけをする人がいるのだな、と思った。
だって、そんな訳がない。さすがにこれはひどいコラ画像だな、とんだアンチがいるものだなぁ、、、
一度閉じて、自分で考えようとする。
その瞬間息が苦しくなって、吐き気がした。
本当だったら?
本当の事だったらどうしよう?
一気に心拍数が上がる。
もう一度恐る恐るTwitterをひらく。
私たちはみんな動揺するばかりだった。
サーバーダウンしたままのウェブサイトは諦めて、とりあえず現実は何なのかを確認しようとsumika、で検索する。
公式のTwitter以外にひとつだけ、既にニュースが出ていた。
「sumikaギタリスト黒田隼之介氏逝去」
所属事務所の発表によれば、と書いてあった。
デマじゃなかった。悪質なコラでもなかった。
え?
店内で呻いてしまった。
まだ信じられないのに1粒だけ、涙が出た。
時間ギリギリまでTwitterを見て、ひたすら、何を呟くでもなく気が紛れる訳でもないのに、ただただ見て、そしてバイトに行った。
バイト中も頭から離れる訳もなく、1時間ごとにトイレに行っては本当なのか、何が起こったのか確かめようとした。
そのうち、たくさんの媒体がその「早すぎる死」を報道し始めた。
バイトが終わる頃にはYahooニュースにも上がっていた。
嘘じゃ、なかった。
呆然としすぎて、帰りの電車の中でも泣けなかった。
家に帰ると母の目が赤かった。
家族のLINEグループで最初に話題にしたのは、ファンクラブに入っていない父だった。
母は、仕事が終わってから父のそのLINEで気がついたらしい。
私は、努めて明るく振舞った。
「なんで死んじゃったんだろうねぇ」って。
信じられなかったから。心のどこかでは嘘だと思っていた。
sumikaは私がファンになった以降では初めて日本のトレンドの1位になっていた。
こんなので1位になんか、ならなくていいのに。
Twitter上のファン達は、
「自分の目で公式サイトを見るまでは信じない、、、!」と言っていたのに、
無情にもその日のうちに公式サイトが現実を突きつけてきた。
朝が来ても夢ではなくて、
私たちの大好きな、みんなに愛されていた、あんなに優しくて穏やかで、ハモリが綺麗でギターと作曲の才能に溢れた隼ちゃんがいなくなった事実は変わらなかった。
闘病していた、なんて情報はなかった。
4日前まで元気にツアーをしていた。
もう少しで結成10年を迎え、そのお祝いのライブも決まっていた。
新曲のリリースもあったし、sumikaのドキュメンタリー映画だって公開になるところだった。
さすがに自殺にしてもタイミングがあまりにもあんまりだ。
それに、ファンとして今まで応援してきて、絶対隼ちゃんは自殺じゃない、と言えるし、言いたい。
sumikaの目標は、これくらいまで売れたい、というものでも海外進出でもない。
「4人で、おじいちゃんになるまで続けること」
本当に4人ともそう言っていた。ずっと。
それは前のバンドがメンバーの脱退で休止してしまったからだし、sumikaでもVo.片岡さんの声の不調で存続の危機に陥ったことがあるから。
続けられない辛さを知っているからこそ、
この4人でずっと、が彼らの芯だった。
だから、もう辛さを味わっているからこそ、もう欠けないと私も、みんなも勝手に思ってしまっていた。
一番穏やかで優しくて、
ファンからのTwitterのフォローは
「自分の親指1本で喜んで貰えるなら」と、
フォローを返してくれる人だった。
DMをしたら、既読をつけてくれる人だった。
名古屋に遠征して改札でsumika一行を見かけた時も、恥ずかしそうにニコニコして手を振ってくれた人だった。
ライブ中は誰よりも飛びまくる人で、
ギターのストラップが何故かめちゃくちゃ短くて、
フワフワの金髪の巻き毛をブンブンヘドバンしながらすごいフレーズを弾いたりする半ズボンの人だった。
いっつも笑顔で、細い目をもっと細くして笑うし、仕草が大きくてみんなにすごく礼儀正しくていつもペコペコお辞儀をして、ニコニコしていた。
誰からも愛されている人だった。
死因も公表されないまま、
続報もないまま、
メンバーの口からも何も無いまま、
1週間がすぎた。
私は知った次の日から、狂ったようにsumikaを聴いているし、映像を見ている。
聴いている間は、見ている間は、隼ちゃんは生きている。
4人は楽しそうに、本当に楽しそうに歌っているし音を奏でている。
もう続報が出るまで、今後の活動をどうするのかが分かるまで、死んでいないって思い込んで過ごしていいかな。
1か月半前、たったの1か月半前に母と行った大阪城ホールのライブで、ギターのシールドがワイヤレスになった、と喜んではしゃいで駆け回っていたあのままに、記憶しておいてもいいかな。
そんなふうに思ってしまう。
でもその反面、私はちゃんと分かっている。
だからよく空を見上げるようになった。
隼ちゃんの事を考える時に、晴れた空を見上げるようになった。
心の中で、
「今日も頑張ってくるね」
と思いながら、隼ちゃんのように優しく笑って穏やかに人と接することができるように祈りながら実習に行くようになった。
わかっている。
もう思い出すしかできないということくらい。
だから私は、何度でも思い出す。
忘れないように、慣れないように。
ずっと4人を、記憶に留めておけるように。
正直、怖い。
3人しかいないステージを見ることになるのか。
隼ちゃんのいた所にサポートしてくれるギタリストがいるのか。
それとも、もうsumikaは終わってしまうのかも。
怖い。あんなにも私をずっと支えてくれた音楽が過去のものになるなら、怖い。
そして、こんな1ファンの私ですらこんなに苦しいのに、メンバーは、スタッフは、どうしているのだろう、と考える。
辛くなる。
大丈夫では無いのはわかっているけれど、大丈夫かな、と心配になる。
大好きな人達が、これ以上苦しまないで、穏やかに過ごせるように願っている。
ご冥福を、は言わないし、言えない。
隼ちゃんにそんな言葉は似合わない。ワガママだけれど。
でも、
音楽は生き続けるから、隼ちゃんはずっとsumikaの音楽で生きているのだから。
だから、これからも、形が変わってもずっと大好きだし、これからもずっとそのギターの音を、低音の綺麗なハモリを、聴き続けるから。
これからもよろしくね。
と言いたい。
どれだけ悲しくて泣きそうでも、
ずっとsumikaを聴きながら私は、
隼ちゃんの生きられなかった3月をこれから生きていくのだ。
そうなんだなぁ。