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好きなアニメの話【未来少年コナン、アルプスの少女ハイジ、ペリーヌ物語】

 皆さんは子どもの頃、どんなアニメを見ましたか?

 私はいくつか自分のDNAに組み込まれているんじゃないかというくらい、何度も視聴したアニメがあります。

 その中でも「創作の教科書」だと思う3作を挙げるならば。

・未来少年コナン
・アルプスの少女ハイジ
・ペリーヌ物語

 この三つだな、と感じます。


未来少年コナン

 セリフの一部を暗唱できるくらい大好きなアニメです。サントラも持っています。「ボーイミーツガール」のお手本。私の初恋は、コナンでした。

 全力で御姫様を守る王子様。そのお手本を見せてくれるのが、未来少年コナンです。コナンは槍を携えた素潜りの名人という印象が強いですが、実は凄く頭が良いんですよね。

 第2話で船の設計を自分でするところから始まり、ロボノイドの操作もすぐに上達しますし、コアブロックからの脱出方法も地図を見ただけですぐに思いついてしまう。こんなステキな王子様に、ラナが恋をしないわけがないじゃないですか。私もジムシーと同じように「いいなぁ」って呟いてしまいそうです。

 未来少年コナンでもう一人大好きなキャラクターは、モンスリーさんです。モンスリーさんが「悪役から転じ、主人公の味方になる」流れは、当時の私の心を大きく揺さぶりました。

「モンスリーさんがインダストリアの悪役だったのは、子どもの頃の辛い経験が理由で、自分を救出してくれたインダストリアに恩を感じていたからなんだ」

 という事情が分かり「勧善懲悪」では分からない「悪役の心情、事情」まで思いを馳せることで、物語に深みが生まれることを教えてくれました。


アルプスの少女ハイジ

 子どもの頃には「なぜ自分がこのアニメを見続けているか、惹かれているのか」を言語化するのも忘れてしまうくらい、物語に没入していました。

 大人になって「アルプスの少女ハイジ」を見直した時に「創作者の視点でこのアニメを考察すると、凄すぎる」と脱帽でした。

・アルプスを舞台に、少年少女が楽しく駆け回っている話
・フランクフルトで、アルプス出身の少女が、社会学習する話

 これをまとめて「52話分」作っているわけですから。しかも食い入るように見ちゃう。ワルモノを倒すわけでも無いです。話を追っていくごとに、登場人物たちの心情が豊かになっていくので視聴者は多幸感に包まれます。

 子どもの頃には「ロッテンマイヤーさん」が少し苦手でした。けれども大人になって見ると「こんなに良い人だったのか」と、ロッテンマイヤーさんに対する印象が180度変わるのも面白いところです。

 誰よりもクララのことを心配しているのはロッテンマイヤーさんなんですよね。おじいさんが「クララは立てるはずだ」と言っても、ロッテンマイヤーさんは「希望を与えることが逆に御嬢様を苦しめる、可哀想だ」と現実的なことを言います。おじいさんもロッテンマイヤーさんも間違っていない。大人になると見方が変わるという点からも、アルプスの少女ハイジは素晴らしい作品です。


ペリーヌ物語

 世界名作劇場シリーズは、親がファンだったこともあり、私もいろいろな作品を視聴しました。「小公女セーラ」「母をたずねて三千里」「ロミオの青い空」などなど、数えきれません。

 その中で、圧倒的に「繰り返し観た」のが「ペリーヌ物語」でした。

 なんといってもペリーヌの賢さがずば抜けているのです。

・自給自足で生活する
・食器は全部手作り
・急病人のために馬車をひき、病院へ。
・商才がある
・英語の通訳ができる
・秘書の仕事をこなす
・派手な服を好まない
・我慢強く、謙遜する
・社員の意見を広く取り入れる
・社宅と保育園の建設を提案する

 おじいさんが、ペリーヌが自分の孫だと気付くまでの間に、これだけのことを一人でやってのけた彼女って、世界名作劇場の中では彼女1人では?

 ペリーヌに憧れて育った私は先日、しまむらで運命の出会いを果たしました。

 ペリーヌがおじいさんの秘書になった時に買い求めた服です。おじいさんは、秘書になったペリーヌが「どんな服を選ぶのか」を、目が見えないながらも「彼女の人柄を知る要素」として判断していました。

 身の丈にあった慎ましい服を選んだ彼女の評判を聞き、目の見えないおじいさんは「やはり出来た子だ」と彼女を高く評価します。この時は、まさかペリーヌが自分の孫だなんて想像もしていません。だからこそ良いのです。「血縁だ」と気付くまでの期間に、二人が信頼関係で結ばれているからこそ、ラストシーンの感動は格別なのです。

 ペリーヌ物語では、頑固なおじいさんが、主人公との出会いによって「人を愛し、人の幸せを願う気持ち」を取り戻します。また悪役としてペリーヌを虐げていた工場長タルエルと親戚のテオドールの二人も、最終回で変化が訪れます。

 ペリーヌが優秀で「タルエルとテオドールが喜ぶ言葉を口にしたことで、自分を嫌う彼らをうまく懐柔した」とも解釈できるのですが、悪役二人の反応が素直過ぎて、ちょっと笑ってしまいます。


まとめ:悪役を悪役のままで終わらせない学び

 最近は「スカッと系」「ざまぁ系」が多く、虐げられた主人公が幸せを手に入れるシンデレラストーリーが流行りです。

 私も自著において、そういう「婚約破棄モノ」を書いてみて分かったのですが、悪役キャラへ次第にわいてくる愛着や、著者側にしか分からない彼らの内的葛藤を、そのままにしておくのは大変もったいないです。

 未来少年コナンで「モンスリーさん」の子ども時代を知った上で彼女の境遇を考えたり、アルプスの少女ハイジで「ロッテンマイヤーさん」の生真面目さの裏に隠れた優しさと愛情に気付いたり、ペリーヌ物語で「頑固なおじいさん、工場長、親戚」の人間模様と各々の心持ちが変化していく過程を追ったりと、おかげで私は「悪役の心理的背景と人生」に想像をめぐらせて、物語を書く習慣が身につきました。子どもの頃に何度も繰り返し観た、この三つの名作と出会えたからです。心から感謝しています。

 今、小さなお子様がおられる方も、癒やしを求めて児童向けの名作をご覧になっている方も、今回紹介した三作品をぜひご視聴ください。

旭山リサ


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