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お惣菜屋さんでプロの技を見た話
お惣菜屋さんで晩ごはんを買って帰ることにした。
いくつかのおかずとお弁当を選んでレジへ運ぶ。
「ありがとうございます」
少し年配の女性店員さんが、てきぱきと商品のバーコードをスキャンしていく。
「2351円になります。袋はお持ちですか?」
「あっ、はい」
「承知しました。こちらの商品は汁が漏れるかもしれませんのでビニール袋に入れさせていただきますね」
「あ。ありがとうございます」
おかずパックの1つを手際よくビニール袋に入れていく。
わたしは財布の中をゴソゴソしながらお金を出していく。
店員さんは、続けて別のおかずパックをビニール袋に入れ始めていた。
まぁそれも汁漏れしそうかも?
店員さんは、さらに続けてお弁当のパックもビニール袋に入れ始めた。
あれ?それもビニール袋に入れるの?
「袋はお持ちですか?」
「あっ、はい」
慌ててマイバッグを取り出す。
「こちらとこちらのパックを2つ並べてビニールに入れてもよろしいですか?」
店員さんははじめの2つのおかずパックを手にわたしを見る。
「(え?)あっ、はい」
そして小さなビニール袋に入ったおかずパックを2つ隣り合わせにしながら、別の大きなビニール袋に入れた。
「ではこちらを袋にお入れください」
「あっ、はい」
マイバッグの底に2つ並びのビニールおかずたちを入れると、店員さんが
「ではその高さの低い方のおかずパックの上にご飯がくるように、こちらのお弁当をお入れしますね」
と、3つのパックたちがテトリスのようにきれいに平らに収まるように入れる。
そのまま続けて残りの2つのおかずパックもビニール袋に入れ始めた。
え?汁漏れ関係なく全部ビニール袋に入れるスタイル?
店員さんはてきぱきとまた、その2つのパックを隣り合わせにして大きなビニール袋に入れた。
デジャヴですか。
マイバッグの一番上に最後のビニールおかずたちを入れ終わると
「大変お待たせいたしました」
とレジ打ちを済ませ、お釣りを差し出す手にもう片方の手を添えながら丁寧に渡してくれた。
「ありがとうございました。気をつけてお持ち帰りくださいませ」
ビニール袋inビニール袋のパック5つは、プロ店員さんの手によってきっちりテトリス組みをされてマイバッグへ。
プロの技を見たね。
それにしてもあんなにビニール袋を使ってもよかったのかな。
帰り道でプロ店員さんの動き(約2分)を脳内再生して、ふふっと笑ってしまった。
家に着くと、パックたちはマイバッグの中で縦向きになっていた。