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女性特有のシミに、トラネキサム酸

『トラネキサム酸』という成分を聞いたことがありますか?この名前を聞いたことがなくても、きっと、多くの人たちが知らない間に使ったことがあると思います。

実を言うとこの成分、市販されている総合感冒薬や鼻炎薬の飲み薬にかなりな高頻度で含まれているんです。

トラネキサム酸はアレルギー症状を改善したり、喉の炎症を緩和してくれます。

そんなトラネキサム酸には、美白効果があるのです。飲んでも、塗っても。今回はそんなマルチな働きを持つトラネキサム酸の美白効果についてご紹介します。

トラネキサム酸は、『トランシーノⅡ』で一躍有名に

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出典:Amazon

トラネキサム酸が一躍美白業界で有名になったのは、ドラッグストアなどで販売されている市販薬、『トランシーノⅡ』のおかげです。

トランシーノⅡは女性特有のシミ、『肝斑(かんぱん)』の改善が期待できる飲み薬で、8週間、約2ヶ月で85.2%に改善が見られたという臨床試験報告があります。

美容皮膚科でよくあるレーザー治療とは異なり、一瞬でシミを消す、ということはできませんが、2ヶ月ほど時間をかけてシミにアプローチします。

トランシーノⅡという市販の飲み薬ができる前は、美容皮膚科などの一部の皮膚科でトラネキサム酸が医師から処方されていました。

今でも処方してくれることはありますが、基本的には保険が適応されず、100%自己負担の自費治療ですのでその点を注意しておいた方がいいでしょう。

また、どの皮膚科でも処方してくれるわけではないので、自分のシミが肝斑だ、とわかっている方は、市販の『トランシーノⅡ』を試してみるのはオススメです。

トラネキサム酸は「医薬品」であるため、栄養補助食品である「サプリメント」タイプはありません。

出典:Liruu

ちなみに、トラネキサム酸はサプリメント成分ではなく、医薬品成分です。

トラネキサム酸の美白化粧品

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トラネキサム酸は飲んでシミに効く、という話をしましたが、塗っても肌のシミに効果を発揮します。一部の美容皮膚科では、オリジナルでトラネキサム酸の化粧水を作ったり、トラネキサム酸入りのフェイスパウダーを作ったりしていたことが背景にあります。

トラネキサム酸を化粧品として肌に塗ることでシミが薄くなった皮膚科での結果を踏まえ、市販の薬用化粧品として誕生しました。

医療の業界で使われていたトラネキサム酸は医薬品としての歴史が長く、そして安価な成分のため、現在、トラネキサム酸入りの化粧品は、プチプラ化粧品としてドラッグストアなどで比較的安価に購入することができます。

例えば、女性ならきっと聞いたことのあるブランド、肌研(ハダラボ)やアクアレーベルといった割とお手頃な化粧品ブランドの美白ラインに使われています。(美白に効く詳しいメカニズムはLiruuをご参照ください。)

女性特有の肝斑って、どんなシミなのか?

肝斑とは?
1.30~40歳代の女性に多く見られるシミ・くすみ
2.頬の両側に左右対称に出現
3.紫外線やホルモンバランスの乱れが原因

出典:Liruu

肝斑は女性ホルモンのバランスが崩れると頬や額、鼻や顎などを中心にできるやや青みがかったシミのことをいいます。

青みがかった、と言っても真っ青ではなく、なんとなく言われてみれば青いような、ちょっとくすんだようなシミ、という感じです。

一般的に女性ホルモンバランスが崩れる更年期に差し掛かる40代や、妊娠出産期の女性に出やすいことが特徴です。ですので、10代や20代の女性が色白になりたいから、と言って使用するものとは少し違うと考えてください。(そのような方はアルブチンやビタミンC誘導体が含まれた美白化粧品が安価でいいでしょう。)

トラネキサム酸の幅広い可能性

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出典:Liruu


薬局で患者さんの声を聞くと、トラネキサム酸を肝斑目的で飲んでいたところ、

・例年よりも花粉による鼻炎症状が和らいだ
・喉風邪をひきやすいがどうやら今の所引いていない
・アレルギー体質で肌がかゆくなりやすいがその症状が出ない

といったことをよくおっしゃっていました。

この理由は冒頭でも紹介した通り、トラネキサム酸が持つ美白以外の働きである、抗アレルギー作用や抗炎症作用が、知らず知らずのうちに効いていた可能性があります。

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また、妊娠中の方も飲むことのできるトラネキサム酸を飲むことができます。このような歴史的経験の豊富な医薬品成分が美白化粧品に応用されているのは、私たち消費者としてはとても安心、信頼できます。

真新しい成分というのは、今後の未来にどんな副作用が起こり得るのか不明なことも多いので、できることならこのような安心できる成分から試した方がいいと私は思っています。

知識でもっとキレイになれる
今回はトラネキサム酸についてお話ししました。肝斑というシミにまだ縁のない方も多いかと思いますが、女性ならばいつか女性ホルモンバランスが崩れることがあるかと思いますので、頭の片隅にでも記憶しておいてもらえたらな、と思う成分です。

美肌づくりのために化粧品をローテーションしていても、前の化粧品とは異なるアプローチで綺麗になるには、やはり成分について知っておくことが一つのキーポイントだと思います。
少しずつ美容成分の知識を貯金して、賢く綺麗になるお手伝いをさせていただきたいと思います。

薬剤師、化粧品成分上級スペシャリスト:二宮恵子

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