基礎講座を受けずに論文講義・旧司講座を受ける是非
はじめに
長文になってしまったため、結論が知りたい方は「講座に意味はあったか」までお進みください
知識の前提
私は、法学部にはいましたが、定期試験前に適当に教科書やレジュメを見返す程度のことしかしていませんでした。講義も真面目に受けていたかといえば、肯定し難いです(よく落単しなかったなぁと思いますが、地方私大だからでしょう)。
民法でいえば、表見代理というのは「代理権者っぽい人がした行為は有効になる」程度の理解しかしておらず、具体的な問題(論点)については、知ってはいたがなぜ問題になるのかがあまりわからないというレベル感でした。典型的な試験前にさらっと確認して覚えた程度の知識です。
この時点で大学で履修していた科目は、憲法の導入と民法総則のみでした(知識が身についているかは別)。
ロースクールに行こうと完全に決めたのは、学部2年の後期。当時は司法試験予備校の情報や充実は今ほどはなく、ましてやいままで情報収集をしていない人間だったため、どうしたらいいかもわからない状態でした。
Twitterで調べるという発想にもいたらず、インターネットで「司法試験 予備校」と入力して調べていました。ロースクールに行くと決めたのが遅かったと思っていたので焦り、どの講座がいいということもわからず、とりあえず旧司を中心に解説する講座を選びました。基礎講座という概念を知らなかったものですから。
講座の内容
講座の構成としては、問題を解く前に各科目10時間程度の論文で必要となる知識の確認し、そのあとに問題の解説をするというものでした。
問題は旧司過去問が中心で行政法は過去問がないためロースクールの過去問や予備校オリジナル問題が中心でした(どこの予備校のどの講座かはもう察しがついていると思いますが)。
講座の雑感(知識の確認)
はじめに申し上げましたが、そもそも知識がない状態で受講しはじめ、この講座も基礎講座を受講した前提で進みますから、わけがわかりません。基礎概念はかろうじてわかります。何度も講義を止めます。テキストを読み返します。条文を引きます。
普通にしんどい
走り抜けたが断片的な記憶しかない。
講座の雑感(旧司の解説)
問題をみても、まずどう書いたらいいかがわからない。
結局答案例をみることになる。はじめに思ったことは、「長っ!」。「こんなの書けるわけない」
講師の解説と答案例をみて、言いたいことはわかるが、何を言っているのかわからない状態に駆られます(伝われ)。
何度も繰り返してはじめて理解できる部分が多いです。この問題集は嘘偽りなく20回は繰り返し検討したと思います。
講座に意味はあったか
結論からいえば、あることになります。ロースクールには学費免除で入学できました。
論文講義については、最近話題となっている100時間程度のまとめ講義をイメージしていただければと思います。
私は、憲法と民法(総則のみ)以外はまったくの初学者でした。
ですが、六法を逐一みること、基本概念だけはわからないままにしない(用語や定義)こと、わからなくても進み続けること、何度も繰り返すことを徹底できれば講座を意味あるものにできます。
ただし、気持ちがしんどいです。
初学者にオススメするか
しない。薄い基本書を読んだあとだとしても微妙。
よくある基本的な問題を通じて網羅的に学習する講座が人気だと思います。この講座と旧司講座の差異はどこにあるかといえば、後者は内容の抽象性・検討する事項の多さにあると思います。基本的な単一論点型の問題から慣れていく王道のスタイルではありません。
さらにいえば、昨今の問題の傾向と離れている気がします。また、個人的には問題意識に気付けるようなコンセプトの講座が好みなので、その意味でこの旧司講座は相対的に好みですし、論点抽出能力は培われます。
その意味で微妙なのです。基本的なことからやりたい人にはオススメはできないというのは確定なのですが、あとは好みでしょう。
追加でいうなれば、ロースクールの過去問の難易度と変わらないというのもメリットかもしれませんね。