カウントダウン「LEGEND GAME 2024」#38 橋本武広編
橋本 武広(はしもと・たけひろ)
投手 左投げ・左打ち 1964年9月18日生まれ
ライオンズ在籍:1993~2002年途中、10~13年(コーチ)
通算成績:560試合 12勝22敗 20セーブ 防御率3.71
背番号:34(93~02年途中)、77(10~13年)
当日所属:TEAM LIONS
青森県立七戸高時代、3年春の東北大会で、八戸西高を相手に延長18回をひとりで投げ抜き、26三振を奪ってシャットアウト(試合は0対0で引き分け)。夏の県大会の大湊高戦では、許したランナーは失策のひとりだけ、“準完全試合”でのノーヒットノーランを15奪三振で達成と、甲子園出場はなかったが、県下で知られるサウスポーだった。
東農大卒業後、社会人野球のプリンスホテルに入社。同期には、のちにライオンズでチームメイトになる石井丈裕や、近鉄バファローズで4番を打つ石井浩郎がいた。
入社3年目の都市対抗野球では、準決勝で松下電器と対戦。こちらも、のちにチームメイトとなる潮崎哲也と、それぞれ2番手で登板して投げ合った。延長13回の末、この試合に勝利したプリンスホテルは、決勝戦でも大昭和製紙北海道相手に8対3で快勝。創部11年目にして悲願の初優勝を成し遂げている。この大会4試合に投げ、15 1/3イニングを無失点に抑えた橋本は、決勝戦でも3番手で登板。胴上げ投手になっている。
89年ドラフト3位で福岡ダイエーホークスに入団。意外にも4月30日のプロ初登板、10月15日近鉄バファローズ相手のプロ初勝利は、いずれも先発だった。
プロ4年目の93年、ライオンズの管理部長だった根本陸夫が、ホークスの監督に就任。「25歳でプロ入りして、お前には、この先ふたつにひとつ。壊れて辞めるか、強くなって頑張るか。それしか選択肢がないから」と、キャンプで毎日400〜500球の投げ込みを命じられる。
シーズンに入ってからも、試合前にバッティングピッチャーで30分投げたあとにベンチ入り。昼間は2軍、夜は1軍と、1日に親子ゲームの両方に登板したこともあった。おかげで、余分な力が抜けた投球フォームが身について、ボールの質も改善。プロでやっていく基盤がつくられたという。
ホークスの橋本、佐々木誠、村田勝喜の3人と、ライオンズ秋山幸二、渡辺智男、内山智之の3人の大型トレードによって、93年からはライオンズのユニフォームに袖を通す。
94年5月7日の千葉ロッテマリーンズ戦、先発の村田勝喜が先頭打者の打球を、右足に当てて降板。2番手の前田勝宏も1死も取れず、いきなり無死満塁となる。この場面で移籍後初めてのマウンドにあがった橋本は、4番メル・ホール、5番初芝清を連続三振、6番山下徳人をセンターフライに仕留めて、絶体絶命のピンチを切り抜ける。「あれから信頼して使ってもらうようになった。あの試合が自分のターニングポイント」(「週刊ベースボール」03年12月22日号)となるピッチングだった。
キャンプの夜には、鹿取義隆の好物であるワインを持参して、みずから宿舎の部屋をノックして、リリーフ投手としての調整法や心構え、打者との駆け引きなどを教わった。
移籍2年目の95年から、ライオンズの球団記録となる7年連続50試合登板。この7年間すべてチーム最多登板をしている。97年には当時のルールによる、最多ホールドのタイトルを獲得。イチローはじめ、ニール(オリックスブルーウェーブ)、タフィ・ローズ(バファローズ)、片岡篤史、小笠原道大(日本ハムファイターズ)など、球界を代表する左打者の打順になるたび、身長167㎝のサウスポーはマウンドへと向かっていった。
98年10月7日のバファローズ戦。優勝が決まる9回表のマウンドに送られたのは、橋本だった。東尾修監督が「誰が胴上げ投手になるのか」を投手陣に委ねて、決まった登板だった。
まだ屋根のなかった西武ドームに雨がポツポツ落ちるなか、2死からランナーひとりを許したものの、最後は村上嵩幸をライトフライにうち取った。このあと4度のリーグ優勝、日本一に2度なっているライオンズだが、決まったのはすべて敵地で、本拠地・所沢での胴上げがない。つまり橋本武広は、現在西武ドーム最後の胴上げ投手となっている。
同じ左の中継ぎ、水尾嘉孝の加入、土肥義弘の台頭もあって、02年シーズン途中の5月に、エバンスとの交換で阪神タイガースへ移籍。翌03年マリーンズで1年間プレーして現役を引退。ホークス時代の91年9月25日に始まった連続救援登板は、526試合で終止符が打たれた(23年終了時点で、歴代9位)。
引退後はライオンズ戦中継の解説のほか、母校の東農大や、社会人野球の三菱自動車岡崎で投手の指導にあたっていた。タイガースの2年目左腕の富田蓮は、橋本の教え子にあたる。
主なタイトルなど
最多ホールド(97年)
オールスター出場(01年)
「LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024」
3月16日(土)12:00開場/14:00試合開始
会場:ベルーナドーム
配信:パーソル パ・リーグTV
放送:BS朝日(翌日録画放送)
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