カウントダウン「LEGEND GAME 2024」#51 十亀剣編
十亀 剣(とがめ・けん)
投手 右投げ・右打ち 1987年11月7日生まれ
ライオンズ在籍:2012~22年
通算成績:259試合 53勝50敗 3セーブ 21ホールド 防御率3.98
背番号:21(12~22年)
当日所属:TEAM LIONS
愛工大名電高1年の夏には、最速138㎞/hを計測していた速球派だったが、制球難。当時の監督の指示でサイドスローに転向する。05年、3年春のセンバツでチームは全国優勝するが、控え投手だった十亀は1試合にリリーフしただけ。夏の甲子園は1回戦の長崎県立清峰高戦で、7回裏から2番手で登板したが、延長13回裏にサヨナラ負けを許している。
日本大学では1年春からリーグ戦に登板。東都の1部と2部を往復する4年間だったが、十亀は先発にリリーフに、51試合に登板するフル回転。投手の育成に定評のあるJR東日本に入社する。
力勝負の一辺倒から脱却して、2年目に急成長。サイドからの140㎞/h台後半の速球と、右打者に喰い込むシュートを武器に、都市対抗東京予選の準決勝セガサミー戦で7回1安打ピッチング。決勝のNTT東日本戦では1失点完投勝利と評価を高め、秋のドラフト会議でライオンズから1位指名される。
この年は東日本大震災の影響で、通常は夏に行われている都市対抗野球が、秋の開催となった。ドラフト会議5日後に行われた決勝戦は、十亀を擁するJR東日本とNTT東日本との対戦となる。NTT東日本の先発は、同じドラフトでライオンズに2位で指名された小石博孝。社会人野球の頂点を決める大舞台で、十亀と小石。ライオンズのドラ1、ドラ2の投げ合いが実現した。
3回途中で降板した十亀に対し、小石は7回途中1失点と内容では上回ったが、試合は延長11回裏にJR東日本がサヨナラ勝ち。念願の都市対抗初優勝を果たしている。
プロ1年目は交流戦から1軍合流。6月24日オリックスバファローズ戦では、1点を追いかける7回表から登板。2イニングを3人ずつで抑えると、8回裏に大崎雄太朗が満塁の走者一掃のタイムリー二塁打で、チームが逆転。プロ初勝利をマークする。ここから負け知らずのリリーフを続け、即戦力ルーキーの期待に応える。
シーズン最終登板となった10月3日東北楽天ゴールデンイーグルス戦ではプロ初先発、7回途中2失点の好投で勝利投手に。ライオンズの新人では、56年稲尾和久(8連勝)、93年杉山賢人に続いて、3人目となるデビュー6連勝でルーキーイヤーを締め括った。
翌13年は先発転向。シーズン最初の登板となった開幕3試合目の北海道日本ハムファイターズ戦では、8回まで散発4安打の完封ペースだったが、9回2死からミチェル・アブレイユに2ランを打たれ、プロ初完封も初完投も逃してしまう。
それでも4月21日には、同じファイターズを相手に、仕切り直しのプロ初完封。5月6日のファイターズ戦では、1回表に陽岱鋼に単打を許しただけの1安打完封。二桁勝利には届かなかったが、チームトップの6完投と、先発適性の高さを証明した。
翌年、その球威を見込んだ伊原春樹新監督が、十亀をストッパー起用する。4月2日マリーンズ戦では、9回裏にいきなり無死満塁のピンチを招きながらもプロ初セーブと、順調に滑り出したかと思えたが、続く8日の福岡ソフトバンクホークス戦では9回表2死から、“天敵”の松田宣浩に逆転2ランを浴びて負け投手に。
チームは最下位に低迷するなか、髙橋朋己の抑え起用に目途が立ち、5月からは先発再転向となるのだが、こうした無理が祟ったのか。前年から痛みを抱えていた左股関節が限界を超えて戦線離脱。シーズン後半を棒に振ることとなった。手術こそ受けなかったが、この股関節痛がその後の現役生活にも影を落としていくことになる。
続く15年は、涌井秀章のFA移籍、岸孝之の故障離脱のあったなか、開幕から先発ローテーションに定着。8月28日にはライオンズ球団通算4500勝目の記念の勝利をあげるなど、プロ4年目で初の二桁勝利。チームトップの11勝をあげてみせる。
以降もローテーションの一角を担い、17年シーズンには8勝をあげるが、その後は徐々に負けが先行していく。18、19年にチームがパ・リーグ連覇をするなかで、自身はクライマックスシリーズで大量失点。不本意な終わり方をする。19年オフには国内FA権を行使したうえで、チームに残留するのだが、翌年はプロ入り後、自身最少となるシーズン8試合の登板にとどまった。
長年の疲労の蓄積で、無意識に股関節をかばうようになり、自分のイメージした通りに身体が動かない。持ち味である力で押すピッチングができなくなっていた。
21年にはリリーフに専念して、9ホールドポイント。10月19日ファイターズ戦では、引退試合の松坂大輔が打者ひとりに四球を与えた直後のマウンドにあがり、「松坂さんの出した走者を還したら、とんでもないことになる。人生で最もつらい登板だった」ものの、無事3人の打者をうち獲り、大役をはたした。
22年シーズンは開幕1軍スタートしたが、いきなりみずからのダブルエラーが絡んで4失点。5月下旬にはファーム落ちして「このままでは戦力になれない。もうこの世界にいてはいけない」と、引退を決断する。
引退後はスカウトに就任。自身が担当したドラフト1位ルーキーの武内夏暉に「背番号21」が受け継がれることになった。
主なタイトルなど
オールスター出場(15年)
「LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024」
3月16日(土)12:00開場/14:00試合開始
会場:ベルーナドーム
配信:パーソル パ・リーグTV
放送:BS朝日(翌日録画放送)