見出し画像

カウントダウン「LEGEND GAME 2024」#46 細川亨編

細川 亨(ほそかわ・とおる)

捕手 右投げ・右打ち 1980年1月4日生まれ
ライオンズ在籍:2002~10年
通算成績:1428試合 3354打数 680安打 打率.203 84本塁打 367打点
背番号:47(02~05年)、30(06年)、27(07~10年)
当日所属:TEAM SEIBU

祖父母は漁師で、青森県東津軽の実家はホタテの養殖を営んでいた。現役時代の姿からは想像がつかないが、もともとは内野手で、キャッチャーを始めたのは青森北高の2年生から。青森大では、2年生のとき1年限定でショートを守り、全日本大学選手権でベスト4入りをした。

3年生から捕手に戻ると、秋の明治神宮大会出場を懸けた東北福祉大との東北王座決定戦では、のちに横浜ベイスターズ入りする左腕の吉見祐治から、バットを折りながらのホームラン。この一打でプロ入りに向けた自信が芽生えたという。

01年の自由獲得枠でライオンズに入団。「肩だけなら中嶋聡以上」との首脳陣の評価もあったが、1年目のキャンプでは、キャッチングでミットの音が鳴らず、先輩投手から怒られたり、「替われよ」とブルペンからどかされたりしたこともあった。

プロ2年目の03年にはチームの捕手で最多の93試合に出場して、プロ初安打、初本塁打もマークする。ただ、スタメンマスクをかぶったときの、チームの勝率は.453。このシーズン限りで現役を引退した伊東勤が先発したとの勝率.623を大きく下回っていた。

伊東の引退試合では花束贈呈の大役を担い「正捕手になって、伊東さんの着けていた背番号27を勝ち取る」と意気込んだが、伊東新監督が翌04年の開幕スタメンに指名したのは、ライバルの野田浩輔だった。ところが、開幕6試合目の北海道日本ハムファイターズ戦の試合序盤、野田が左足首を捻挫。細川に出番がまわってくる。

すると、その試合で二塁打2本。翌日には1号ソロ。その翌日には、プロ野球史上59人目(63人目)となるサイクルヒットと、連日の猛打で一気に立場を変えてみせた。すでに20年が経過しているが、ライオンズ選手のサイクルヒットは、細川が最後になっている。

このシーズンは細川が116試合、野田は37試合の出場だったが、中日ドラゴンズとの日本シリーズでは、第1戦から4戦目までは野田がスタメン。第5戦から第7戦を細川がスタメンと両捕手を併用。細川ひとりに全幅の信頼を寄せるまでにはいかなかった。

05年は113試合に出場したものの、盗塁阻止率.250で、捕逸7、チーム防御率はリーグ5位の4.27。打つほうでも打率.194と、不本意な成績に終わる。このオフ、帆足和幸がかつて工藤公康の着けていた「背番号47」を希望して、細川も快諾。自身は「47」から「27」への変更を申し入れたが「今年の成績では、27番をあげるわけにはいかない」と、球団に却下されてしまう。

翌年にはドラフト1位で炭谷銀仁朗が加入。開幕スタメンを明け渡し、しばらくは松坂大輔が先発時の限定起用となっていたが、5月から定位置を奪回。バスター打法を採用したバッティングは、打率.199と横這いだったものの、盗塁阻止率は12球団トップの.469をマークして、捕逸0。チーム防御率も3.64に改善して、念願だった「背番号27」への変更が認められた。

野村克也が「いま一番キャッチャーらしいキャッチャー」と称賛するほどに、インサイドワークが成長。課題だった打撃面でも、08年には自身最多の16本塁打と意外性を発揮する。読売ジャイアンツとの日本シリーズでは、一塁へのヘッドスライディングで右肩を脱臼してしまい、日本一の瞬間はマスクをかぶることができなかったが、この年ベストナインとゴールデングラブを初受賞する。

09年は、右肩と右ヒジの故障で出場機会が激減したが、逆に10年は左ヒザの大ケガで炭谷が長期離脱したこともあり、細川が正捕手に復帰する。

印象深いのは、この年5月5日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦。4点をリードしていたライオンズだったが、6回表に2点を返され、なお2死満塁。一打同点、逆転の大ピンチに、代打草野大輔が6球連続ファウルで粘る。

マウンド上の長田秀一郎が投じた9球目はボール。もう投げる球がなくなった…と、その瞬間、細川が一塁へ超高速の牽制球。代走の牧田明久はタッチアウト。試合の流れを一変させるビッグプレーに、こどもの日の西武ドームに集まった大観衆からの、細川コールが鳴りやまなかった

炭谷を育てるチーム方針もあって、このオフ福岡ソフトバンクホークスへFA移籍。秋山幸二、工藤両監督のもと、3度の日本一に輝いた。その後イーグルス、千葉ロッテマリーンズで、それぞれ2年間ずつ在籍。19年間に渡って、パ・リーグ4球団でプレーした。

今シーズン現役23年目のシーズンを迎える中村剛也、栗山巧は、細川と同期入団。同じドラフトで同じチームに指名された選手が3人も、現役生活を19年以上続けたことになる。当時のスカウト、編成担当の慧眼には、どれだけ賞賛を送っても足りないくらいだ。

現在は、社会人野球チーム「ロキテクノ富山」で、ライオンズ時代のチームメイト藤田太陽監督のもとで、バッテリーコーチを担当。昨年のドラフト会議で、最速151㎞/h右腕の澤柳亮太郎投手がホークスに5位指名され、創部初めてNPBに選手を送り出している。

細川 亨 年度別成績 

主なタイトルなど
 ベストナイン 2回(08、11年)
 ゴールデングラブ賞 2回(08、11年)
   オールスター出場 (08年)

「LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024」
3月16日(土)12:00開場/14:00試合開始
会場:ベルーナドーム
配信:パーソル パ・リーグTV
放送:BS朝日(翌日録画放送)

いいなと思ったら応援しよう!