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カウントダウン「LEGEND GAME 2024」#45 犬伏稔昌編

犬伏 稔昌(いぬぶし・としあき)

捕手・内野手 右投げ・右打ち 1972年4月24日生まれ
ライオンズ在籍:1991~2005年
 
通算成績:116試合 190打数 56安打 打率.295   4本塁打   29打点
背番号:50(91~96年)、32(97~00年)、64(01~05年)

当日所属:TEAM SEIBU

東大阪市のボーイズリーグ「若江ジャイアンツ」では、松井稼頭央が小学3年生のときの6年生。松井によれば「エースで、投げても打っても走っても、みんなよりズバ抜けていて、打球が眼で追えないほど速かった。憧れの大先輩。ホンマにエグかった」と振り返る。

90年春のセンバツで全国優勝した近大付高の4番打者。飛距離は清原和博クラスと言われた、高校球界屈指の大型捕手兼一塁手だった。そのバッティングを評価され、90年ドラフト3位でライオンズに入団する。

だが、1軍の舞台は遠かった。とりわけ悩ませたのが、頭部への死球だった。「ファームで毎年1回くらい。10回以上は当たっている。右投手のボールが顔付近にくると、身体が固まっちゃって反応できなくなった」。

1軍デビューは6年目。96年7月13日福岡ダイエーホークス戦の8回裏に代打で起用され、プロ初打席初安打。これがこの年打った唯一のヒットだったが、ようやくプロでの第1歩を踏み出した。

翌年には捕手から内野手へ登録を変更。前の年まで後輩の松井が着けていた「32」に背番号を変えて、気持ちも新たに臨んだのだが、この年からまた1軍出場なく3年間が過ぎていく。

プロ入り後、初めてスポットライトが当たったのは、00年6月23日オリックスブルーウェーブ戦、前日に初めてスタメン起用されていた犬伏は、この日も先発出場。すると2回裏の第1打席で、相手先発左腕の金田政彦から、4年ぶり通算2本目のヒットとなる、プロ10年目での初ホームランを打ったのだ。

この試合の3日前、ライオンズ打線は近鉄バファローズの左腕エルビラにノーヒットノーランをやられたばかり。ほかにも前川克彦(バファローズ)、下柳剛(日本ハムファイターズ)、カルロス(オリックスブルーウェーブ)といった左投手を苦手にしており、サウスポー対策で急遽1軍に呼ばれたのが、2軍でも出番の減っていた犬伏だった。

だが、またしても、この年打ったヒットはこれだけで、捕手登録に戻った翌年は、1軍出場なく終わっていた。

11年間で1軍出場8試合、通算10打数2安打1本塁打。いつクビになってもおかしくない成績だったが、02年に就任したばかりの伊原春樹新監督は、1軍キャンプに犬伏を帯同する。選ばれた本人は「キャッチャーの人手が足りないから。ブルペン捕手のつもり」だったが、「お前は左ピッチャーを打つことだけを考えろ」と、守備練習も走塁練習も免除。金森栄治打撃コーチから、打つポイントを引きつける打撃を徹底指導される。
 
その成果がオープン戦で打率.368と、早くも結果に表れて、プロ12年目で初の開幕1軍入り。すると左腕の加藤康介(千葉ロッテマリーンズ)が予告先発されていた開幕2戦目に、3番・DHでスタメン起用される。

バクバク鳴る心臓の音が聞こえるなか「とにかくセンター返しだけ」を心掛けて打席に入ると、第1打席で先制点につながるレフト前ヒット、2打席目には追加点となるタイムリー二塁打。待望の“サウスポーキラー”の誕生だった。

このシーズン伊原監督は、相手先発が右投手のときは宮地克彦か貝塚政秀、左投手なら犬伏と、3番打者を使い分ける兵法を採用。犬伏のほうも起用に応えて、具臺晟(ブルーウェーブ)、杉内俊哉(ホークス)といった、左投手を次々と攻略。西武ドームの外野スタンドには「猛犬注意!」のゲートフラッグが、誇らしげに掲げられた。

6月20日ホークス戦、2対4とリードされたライオンズは、9回裏1死2・3塁のチャンスをつくる。マウンドにはベテラン左腕の吉田修司。この場面に代打で登場した犬伏は、高めの変化球をフルスイング。打球は左中間スタンド中段へ突き刺さる劇的な逆転サヨナラ3ランに。試合後は「来た球を思い切り打とう…」と声を震わせ、眼を潤ませた

その左腕討ちを最後に発揮したのが、04年のプレーオフ第2ステージだ。ホークスと2勝2敗で迎えた第5戦は3対3の同点で延長へ。迎えた10回表、1死1・3塁のチャンスに、伊東勤監督は犬伏を代打に送る。

この年レギュラーシーズンでは8試合の出場しかなかったが、左のリリーフエース三瀬幸司からセンターへ決勝の犠牲フライ。ライオンズのリーグ優勝と日本シリーズ進出を決める一打となった。

翌05年シーズン終了後に現役を引退。通算15年間のプロ生活において、1軍出場のないシーズンが10年もありながら、その活躍はライオンズファンの記憶に深く刻まれている。

犬伏稔昌 年度別成績

「LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024」
3月16日(土)12:00開場/14:00試合開始
会場:ベルーナドーム
配信:パーソル パ・リーグTV
放送:BS朝日(翌日録画放送)

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