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カウントダウン「LEGEND GAME 2024」#43 玉野宏昌編
玉野 宏昌(たまの・ひろまさ)
内野手 右投げ・右打ち 1978年6月1日生まれ
ライオンズ在籍:1997~2004年
通算成績:123試合 260打数 54安打 打率.208 4本塁打 26打点
背番号:3(97~99年)、33(00~04年)
当日所属:TEAM SEIBU
神戸弘陵高時代に甲子園出場はなかたっが、走攻守3拍子そろった4番ショートで、複数球団が注目していた存在。高校通算31本塁打のうち、半数以上は3年生になって打ったもの。高校のグラウンドで行われた練習試合では、4階建ての校舎の上を軽々と飛んでいく140m級のホームランを放っていたという。
96年のドラフト会議で、ライオンズは逆指名により事前内定していた森慎二(新日鐵君津)を2位に。玉野を1位で指名する。このとき1位指名された高校生野手は、12球団のなかで玉野ひとりだけ。この年の高校3年生のなかで、ライオンズが最も高く評価した選手だったと言える。
ライオンズファンを驚かせたのは、ドラフト会議から9日後のこと。玉野の入団内定とともに、このオフに読売ジャイアンツにFA移籍して、ライオンズを退団したばかりの清原和博の背番号「3」を引き継ぐことが、発表されたからだ。
いまになって考えると、玉野は高校通算30盗塁以上しており、清原タイプの選手ではなかったのかもしれない。が、いきなり「3」を託されるほどの新人なのだからと、ファンは天性のホームラン打者をイメージして、期待を膨らませた。
入団2年間は1軍出場なし。イースタンでは1年目が打率.233、6本塁打。2年目は打率.264、3本塁打。身体づくりに注力したこともあったが、本人によると「新人の車の購入は禁止されていたのだけど、契約金で大型の高級外車を買って乗り回して、半年で事故って廃車にした」(「週刊ポスト」17年10月20日号)と、相応の若気の至りもあったようだ。
危機感が芽生え始めたのか。オフに松井稼頭央の自主トレに、弟子入りして迎えたプロ3年目、待望の1軍デビューをはたし、6月8日のオリックスブルーウェーブ戦では、プロ初安打を記録する。まったくの偶然だが、同じ日ジャイアンツの清原が、中日ドラゴンズ戦でサヨナラ3ランを放っている。
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この年のオフに、MLB通算2240安打の大物外国人トニー・フェルナンデスのライオンズ入団が決定。玉野は「3」をフェルナンデスに譲り渡し、新しく「33」を着けることになる。一般的に背番号が大きくなることは、球団の期待薄を意味するが、玉野の場合は相当な重荷だったのだろう。「吹っ切れた。背番号が変わったことで、気持ちの切り替えができた」と、この変更を歓迎した。
翌00年、初めて開幕1軍入りした玉野は、4戦目となる4月6日のマリーンズ戦でプロ初本塁打。9日ブルーウェーブ戦では、1回表にいきなり5点を先制される劣勢ムードのなか、5打数4安打3打点と打線を牽引。13対5と大逆転勝利する、立役者になっている。
前年までのレギュラーだった高木浩之が右手首痛で調子を落とすなか、玉野は黒田哲史、原井和也らとの、セカンドのレギュラー争いに喰い込み、自身最多の69試合に出場する。
さらなる飛躍が期待されたのだが、この時期から右肩の脱臼癖に悩まされるようになる。一塁への送球は不安定になり、外野にも挑戦したが1軍出場は減っていく。
01年9月15日、福岡ダイエーホークスとの優勝争い直接対決の一戦で打った、プロ通算4本目となるソロ本塁打が、現役生活最後の1本となった。
04年オフ、ドラゴンズへとトレード移籍。神戸広陵高時代の同級生、山井大介とチームメイトになるが、1軍出場のないまま、1年限りでユニフォームを脱いだ。
フェルナンデスのあと、ライオンズの背番号「3」は、スコット・マクレーン、中島裕之、浅村栄斗、山川穂高と受け継がれているが、高卒ルーキーがいきなり背負ったのは、玉野が最後になっている。
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「LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024」
3月16日(土)12:00開場/14:00試合開始
会場:ベルーナドーム
配信:パーソル パ・リーグTV
放送:BS朝日(翌日録画放送)