【西武ライオンズ 今日の見どころ オフシーズン編】甲斐野央とライオンズを結ぶ縁と 懸かる期待
●リリーフ陣の整備が急務のなか 納得のいく人選
11日、ホークスへFA移籍した山川穂高の選手補償として、甲斐野央を獲得することが発表された。ここに至った事の経緯や真相は抜きにして、リリーフ陣の整備が喫緊の課題だったライオンズにとって、納得のいく人選と言えるだろう。
というのも、22年シーズンに確立された水上由伸、平良海馬、増田達至の「必勝リレー」が1年で瓦解。新たな勝ちパターンとして期待されたティノコ、クリスキーは、早々と戦力外になってしまった。
平井克典のFA残留こそあったものの、昨シーズンの前半、安定した救援を続けていた森脇亮介と佐々木健が、故障により今シーズンの開幕には不在。中継ぎで実績のあった公文克彦が引退、宮川哲をスワローズへトレードと、今シーズンのリリーフ陣は、未知数の新外国人や若手の台頭に頼らざるを得ない、ひじょうに不確定要素の強い陣容になっていたからだ。
そんななかにあって、通算160試合の登板がすべてリリーフ、昨シーズン4年ぶりに二桁ホールドポイントをあげた甲斐野は、唯一の計算の立つ新戦力。願わくば、クローザー争いに名乗りをあげて欲しいくらいだ。
●甲斐野 プロで最初に対戦した打者が山川だった
じつは甲斐野央と山川穂高には、ちょっとした縁がある。2019年の開幕戦、ルーキーだった甲斐野がプロの世界で最初に対戦したバッターが、ライオンズの4番山川だったのだ。
4対4の同点で突入した延長10回表のマウンドを任された甲斐野は、フォークボール2球でカウント0-2に山川を追い込むと、3球目はキャッチャー甲斐拓也のサインに首を振って、またフォーク。前年の本塁打王のバットは空を切り、3球三振に抑えてみせた。
続く森友哉、外崎修汰も空振り三振に抑えた甲斐野は、結局2イニングを5奪三振無失点の衝撃デビュー。デスパイネのサヨナラタイムリーを呼び込んで、プロ初登板初勝利をあげている。
また同じ1996年生まれで、兵庫県出身の松本航とは、中学3年生のときに県代表チーム「メジャー兵庫」で一緒にプレーをして、全国大会で優勝したこともある間柄。
松本が日本体育大3年、甲斐野が東洋大3年だった2017年秋の明治神宮大会では、両校のエースだったふたりが準決勝でそろって先発。このときは松本が4安打完封、4回途中3失点で降板した甲斐野に投げ勝っている。
ちなみに、当時東洋大の臨時コーチとして投手陣の指導にあたっていたのが、ライオンズOBでテレビ・ラジオの解説でお馴染みの松沼雅之さん。この学年の東洋大からは甲斐野のほか、上茶谷大河(ベイスターズ)、梅津晃大(ドラゴンズ)、藤井聖(JX-ENEOS-イーグルス)と、4人もの投手がプロ入りをしている。
●不振続きの人的補償 岡本真也がライオンズ唯一の成功例
これまでにライオンズがFAの人的補償で獲得した選手のなかで、活躍したと言えるのは、2008年に中継ぎで18ホールドをあげた岡本真也くらい。江藤智や内海哲也といった数字には表れない部分で貢献してくれたベテランもいるにはいたが、大半が1~2シーズン限りの在籍で戦力外となっている。
かつての一岡竜司(ジャイアンツ-カープ)や、昨シーズンの田中正義(ホークス-ファイターズ)のような成功例があるだけに、このあたりはフロントの編成担当者の眼力が問われるところ。こうしたFA移籍にまつわるライオンズの負の流れを断ち切るくらいの快投を、甲斐野には期待したい。
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