胃カメラの達人による戦闘報告
昔とあるサイトに10年くらい前に掲載した文章をnote用に再編集しました。
健康診断で胃にポリープが発見され、精密検査で胃カメラを飲むことになりました。
胃カメラは初めて?とのお医者さんの問いに、十二指腸潰瘍や逆流性食道炎などで4回位は経験済みです、と答えてベテラン呼ばわりされたところから話は始まります。
5回目くらいの胃カメラで、お医者様にベテラン呼ばわりされたライオです。
さて、いよいよ本番、本日は胃カメラ検査に行ってきました。
皆さんは胃カメラ飲んだこと、ほとんど無いでしょうね。
ベテランの私から言わせてもらっても、
あれはねぇ、飲むもんじゃないですねぇ…
結論。
「胃カメラは飲み物ではありません。」
あ、そんなことわかってますよね。
ごめんなさいごめんなさい。
別に馬鹿にしてるわけじゃないんです。
私が今日感じた重みのある一言を皆様にお伝えしたかった一心からなんです。
今回、一大長編スペクタクルです。
お時間のある方だけこの先を読まれることをお勧めしますw
8時50分。病院につきました。
先生が少ないらしく、9時30分に呼び出し。
まず、胃の中を洗浄するために、白く濁った謎の液体を一気飲みします。
ここでためらっては負けです。
ベテランのアドバイスです。
でもこの謎の液体は私も初めての経験です。
無い病院もあります。
お次は喉に麻酔をかけるために、麻酔薬を口に含みます。
ゼリーの場合もあります。
麻酔薬でガラガラガラ…とうがいをして吐き出します。
3回くらいやります。
もう喉が痺れてきました。即効。
次にスプレー麻酔を直接喉にかけます。
これも吐き出します。
喉が腫れぼったく感じます。
ビリビリします。
もう一回スプレーします。
喉の感覚はあまりありません。
息苦しいです。
でも私は胃カメラの5回目なので平然としています。
ベテランの仕事です。
「肩に注射しますよー。」
正直、注射はいくつになっても苦手です。
小学校の予防接種は当日に仮病使ってよく母親に強制連行されたものです。
そんなクチでした。
肩の筋肉注射は胃の働きを弱めるものです。
これはあまり痛くないです。
眠らせるための鎮静剤を打つ場合は要注意です。
静脈注射なんですが、相当痛いです。
すぐに眠くなって検査中は楽なので無敵です。
今回は静脈注射は無しなので激しい戦闘が予想されます。
さて、内視鏡室に入ります。
いよいよ戦闘開始です。
靴を脱いで、ベルトを緩めてベッドに横たわります。
通常は左側を下向きに寝ます。
先生が来ました。
そこそこ若い女性です。
「カメラ検査は初めてですか~?」
可愛らしい声で優しく聞いてきます。
ここで不安そうに応えてはいけません。
相手(先生)の思うツボです。
これもベテランのアドバイスです。
「いや、もう4、5回目になります。」
ひと際低い声で俺はベテラン患者だ、舐めんじゃねぇぞ、と威嚇します。
着々と準備が進み、口にマウスピースをはめ込まれ、外れないようにテープで固定されます。
この時点でえずきます。
お"ぇ…
若干涙目ですが、ベテランなのですぐさま平然とした顔に戻します。
決して人には涙を見せぬように。
よっしゃこい。
「肩の力を抜いて、楽にしてくださいね~」
と言いつつ、内視鏡の挿入開始。
えずきまくりw
なかなかカメラが入りません。
口からはヨダレ、目からは涙が止めどなく流れ出ます。
予想通りの激しい戦闘ですwww
喉が異物を排除しようと内視鏡を締め上げます。
バリケードです。
これで喉が傷ついていきますwwww
「鼻で息をゆっくり吸って、口からゆっくり吐いてくださいね~。」
先生の言う通りに鼻から吸おうとするが、鼻が詰まっています。
ここで咳込むと同時にえづきますwwww
多分先生、「どこが4、5回目やねん!」と心の中で私を激しく罵倒したことでしょう。
ゆっくりと内視鏡が食道を通っていきます。
ずっとえずいています私wwww
ベテランピンチ。
ドラクエで言うとHPがオレンジ。
戦闘補助の看護婦さんがずっと肩をとんとん叩いて「力を抜いて~」とリラクゼーションを促すが無理…
えずいては身体が暴れます。
しばらく我慢していると内視鏡が胃に到達。
作戦ポイントです。
良いポジションに停滞している時はえずきも無いのですが、
ぐりぐり動かしてポジションが移動すると再びえづきます。
この時ヨダレは出っぱなしになりますが、決して飲んではいけません。
全部垂れ流しましょう。
これもベテr(以下略
「胃の中を洗浄します。」
よくわからない液体が内視鏡の先端からじゃんじゃん放出されます。
お腹がゴロゴロ言います。
絶食明けの空腹な胃の中に、経口せずに直接液体を流されるのは気持ちのいいものではない。
「胃の中に空気を送り込みます。ゲップを我慢してくださいねー。」
先生が手元のポンプでリズミカルに空気を送りこみ、胃を膨らませます。
即ゲップwwwwwww
死闘ですよ。えぇえぇ。
誰ですか笑っているのは。
「検診の位置通りにポリープを見つけましたよー。」
先生が目標発見。
「次は十二指腸に行きまーす。」
誰がミクロの決死圏ばりの体内アドベンチャーを敢行しろと言ったぁ!?
そんなミッションは聞いていないぞ。
「ぐぅ~っと押される感じがしますよー。」
胃の下の方で内部からぐりぐり下に押される感覚。
鈍痛であります。
耐えがたい感触。
もちろんその動きに対してもえずきを添えます。
腹も痛いが喉も痛いです。
出血確実の様相。
ここは戦場なのです。
「はーい、それでは最後に生検のために組織を取りますねー。」
これはお約束です。
生検(生体組織診断)のために組織の一部を採取するわけです。
胃カメラとセットと考えた方がよろしいでしょう。
なんか、内視鏡の根元に薬剤のカートリッジみたいのを装着する先生。
ところが手元が狂ったのか、薬剤が私の目の前にこぼれてしまいました。
びしゃっ。
眼前に広がったのは不自然なほどに濃い青色の飛沫です。
ANAのシンボルカラーと同じ感じの色合いです。
こんなものを私の胃の中に投入しようとは。
心の中でそっとキアリー*とポイゾナ*を唱えました。
*どちらもRPGにおける解毒の回復呪文
呪文が効いたのか、液を投入されても何にも感じません。
矢継ぎ早に戦闘補助の女史が細い針金のようなモノを先生に手渡し。
先生は先端から内視鏡のスロットにぐいぐい差し込んで私の胃の中まで針金を通します。
長さ1mくらいでしょうか。
これの先っちょがUFOキャッチャーの爪みたいになってて
これでポリープをカリッと削り取るわけか、なるほど。
内視鏡が私のポリープを攻撃目標として狙いを定めます。
「取りまーす♪ちょっとチクッとするかも♪」
好きにするが良い。
しかしほぼ痛みは感じず、あっという間に組織採取終了。
「はーい、よく頑張りましたね。それでは空気を抜いて終了です。」
空気を抜くときにまたカメラが動いてしまい、激しくえずく。
そして続けざまに内視鏡が私の胃から食道、喉を通って外界へ脱出。
ずるずるずるずる…
こんときがまたツライ。
マウスピースを外し、戦闘終了。
ミッションコンプリートだぜ!!
「口の中のものは全部飲み込まずに吐き出してくださいね。」
口内の液体を全て敷いてあるシートに吐き出す。
はい、これで拭いてください。
渡されたティッシュでまず涙を拭く。
そしてヨダレを拭く。
ポロシャツを着て行ってて襟を立てていたのが敗因で、襟がベチョベチョ。
そして髪の毛の左側は涙でぐっしょりだw
ヘロヘロの体で検査を完了。
1週間後、先生から診断結果の通達。
「ポリープ自体は心配ないですね。経過は見ますが、まず大きくはならないでしょう。」
「小さくはならないんですか?」
「治ることもありますが、多分このままでしょう。で、毎年検診で必ずひっかかるのでまた来年も内視鏡検査ですね(微笑)」
また来年も内視鏡検査…
また来年も内視鏡検査…
また来年も内視鏡検査…
また来年も内視鏡検査…
うわぁぁあぁぁぁああぁぁあああぁぁあっぁぁぁぁぁぁぁぁああっーーーーーー
ベテランの戦いは始まったばかりだったのだ。
死ぬまで永遠につづく ?
ちゅーか、まだ喉とお腹が痛いです(涙)