DXにチャレンジした結果、Googleに支配された中小零細企業の話
もふもふライオン(@mofumofu_LION)です、こんにちは。
先日、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」に関する失敗談を書いた結果、多数のDMをいただきました。
「中小企業でDXを進める上で何から始めたの?」
「中小企業のDX=サイボウズ社kintoneのイメージあるけど、御社はどうしてるの?」
「DXにチャレンジして何が変わったの?」
こういった質問をいただいて、私も以前、DXにチャレンジしてる企業の代表に相談してるのを思い出しました。そこで、今回はここまでいただいた質問を答えつつ、弊社でDXにチャレンジするにあたった経緯を振り返ってみます。
中小零細企業には経営がない
弊社はビルや学校などの建物を壊す解体業者、そしてコンクリート廃材をダンプ車で運ぶ収集運搬、一定の大きさに破砕処理を行う産業廃棄物処理業者です。業務イメージは👇
いわゆるレガシー産業なんですが、なぜこの業界・会社に入ったかという話は別の記事にまとめてあるので、お時間ある時にご覧ください。
私が会社に入った時に衝撃を受けたのは、誰も"経営"に着手してないこと。売上と利益を創出するための計画などなく、口を開いていたら工事案件が受注でき、それをこなす。振り返りもないので、社長の独断で全てが決まり、なんとなくで進んでいく。そんな状態に誰も不安に感じてないのに唖然とした記憶があります。
そういえば、PIVOTで中川政七商店の中川政七会長も同じようなことを言ってました👇(詳細はコチラ)
私たち解体業、産業廃棄物処理業であれば、極論、中小零細企業は何も考えなくて良いんです。ゼネコンがマーケティング担当のような要素営業を持ち合わせ、定期的に営業案件を受注し、口を開いていれば、案件が降ってくる。自治体からの案件数も毎年数量が一定数決まっていて、公共入札に参加すれば一定量の案件が降ってくる。それを言われた通りに施工するのが仕事でした。
この流れが20年以上変わらなかったため、施工の精度をいかに高められるかしか考えてません。だから、事業計画なんて考えたことないし、PLやBSをチェックするなんて誰もやってないし、そこに不安なんて抱かないんです。
しかし、不安を抱かないのはゼネコンや自治体からの案件があることが前提の話です。しかし、昨今の状況を見ると、2024年問題や安全管理の観点から、ゼネコンは受注数を絞る動きが強まってる。そして、それに伴い、その下請け企業が売上に穴ができるため、自治体の公共入札へ参加するようになっているように周りを見ていると感じます。
そういう意味では、今までのように受身体制では予測できない状況になっているのです。普通に考えたら、不安しかないですよね…泣
事業運営を継続するためには営業の仕組みを変えなきゃいけない
そんな不安定な状況を放置はできないので、現在まで疎かにしてきた"経営"に真摯に向き合う必要がありました。
そこからは財務諸表3年分を読み解き、不足箇所を洗い出し、現社長とも殴り合いになるかと思うほど議論しました。
私「この不安定な状況で、どうやって安定した売上と利益を確保できるか、考えはありますか?」
社長「???(言ってる意味がわからない…)」
私「現在までのように受身で案件取得するだけでなく、自ら営業を行い、工事案件を取得しなきゃマズいですよ!」
現社長「んー、まずは結果出してから言ってみろ!!!」
私「御意!」
結局、理解は得られませんでしたが、現在まで全くしてこなかった営業に力を入れることになりました。
…とはいえ、どれくらい営業訪問すれば受注できるのか、というデータも何もなく、計画さえ立てられませんでした。だから、まずは顧客リストを作りながら、飛び込み営業に行きまくりました。そして、6ヶ月が経過し、定期的に受注が取れかけてきたこともあり、結果が出てきてウキウキしてる中、次なる問題が浮上してきました。それは、現場が重なって職人や重機が足りなくなってきたこと。案件を捌ける限界値を超えて、職人から不満が出てきました(暇な時も不満は出てきますが…www)
そこで、がむしゃらに飛び込み営業に行くことを辞め、ITを活用して、自社のリソース(在庫状況、人員配置状況)を加味しながら営業戦略を立てることに決めました。
IT活用して、営業戦略を立てるといっても、言うは易く行うは難しで
営業担当者から施工担当者へ顧客情報、営業進捗情報を随時共有する仕組み
施工担当者から社内のリソース情報(在庫状況、人員配置状況)を営業担当者に随時共有する仕組み
経営層から営業/施工状況を踏まえた計画立案・振り返り
を整理する必要があり、組織を変革と言っても過言なく、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)にチャレンジすることと同義でした。
中小零細企業の救いの手『GoogleWorkspace』
私はIT企業出身ではありますが、全てが揃っていた大手企業出身だったこともあり、経営に必要な情報をゼロから収集する仕組みを作るには、何からすべきか全く分かりませんでした。
そんな私が手を付けたのがGoogleWorkSpaceです。
理由は3つあります。
既にGoogleDrive、Gmailを使って仕事をしていた
複数人が同時編集できるシステム思想
GAS開発環境の構築が不要(将来的には私以外が開発に着手することが想定されるため)
対抗馬としてサイボウズ社のkintoneも考えましたが、上記理由からGoogleWorkSpaceに決めました。
DX(デジタルフォーメーション)は世間でもてはやされるほど簡単じゃない
そこからは要件定義を行なって、システム化して、運用まで落とし込むの繰り返しで、あっという間に1年超が経過しました。
この1年超は泣きたくなるようなトラブルの連続でした。
特に運用フェーズになると急に手のひら返しするトラブルに見舞われることがあります。
例えば、アナログ信者の実務者から"デジタル"という言葉を使っただけで業務放棄されたり、正確なデータを出したとしても感情的に受け入れられずにケチをつけられたり…など。
心理的に受け入れられないものを丁寧に説明して理解してもらうまでが一番のハードルでした。おそらく、中小零細企業でDXが進まない大きな原因だと思います。
これに関しては、一定の解決策はなく、相手に寄り添ってお願いして理解してもらったり、と会社に必要なものとコンコン説明して理解を促すしかありませんでした。
そういう意味では、DX(デジタルトランスフォーメーション)って世間でもてはやされるよりも泥臭く、ウェットな関係の中で行わなければならないことなんですよね。
DXにチャレンジした際の生々しい裏話は👇から
Googleにベンダーロックされた弊社
そうこうしてるうちにGoogleWorkSpaceを利用も定着化し始め、今やならない存在になっています。
GoogleWorkSpace内での各アプリの利用用途は👇
(他にも個人利用でGoogle ToDoリストやGoogle Keep使ってます。)
まとめてみて思うのは、Googleに対する圧倒的依存です。がんじがらめにベンダーロックインされてると言っても過言じゃありません笑
でも、それくらいGoogleWorkSpaceの各種サービスは優れてる。使えば使うほど味が出るし、定期的に便利な新機能も出てくるし、お値段以上の効果を間違いなく発揮してます。
弊社のような中小零細企業の管理業務は、これでほぼ完結しますし、組織を変えるには十分過ぎるほどの要素が詰まってると思います。
多分、弊社規模でGoogleWorkSpaceを使いこなしてる企業は少ないんじゃないかな?(Googleさん、御社サービスを有効活用してDXに繋げてる中小零細企業として、是非弊社を見にきてください笑)
DX(デジタルフォーメーション)にチャレンジして変わったこと
目的として掲げていたIT活用した営業戦略の立案・実行が思い通りにできてるかと言うと、まだまだ感が否めません。
しかし、「訪問→見積依頼→受注」という各商談プロセスの件数とそれぞれのステップ毎の割合を可視化して、改善を繰り返すと言うSFA/CRMを使った仕組みを形成できるようになりました。
そして、売上や利益の予測がざっくりではありますが、立てられるようになり、経営を行う上で、データをもとに議論ができるようになりました。
今まで口を開いて案件を待ってた組織体制から自ら営業して受注していく組織体制へ変化したと考えると、大きな進歩だと思います。
DXにチャレンジすると、今までブラックボックスだったものが明るみに出ることで実務者と摩擦を生じます。
そして、実務者との摩擦が原因で当社計画していたことが頓挫することもあるはずです。
しかし、実務者との摩擦から逃げてはいけません。
今まで見えていなかったことが見えるようになる。これは組織にとって必要なことです。
(私も同じような経験があります👇)
「逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ…」と自分を奮い立たせ、組織を変革していきましょう。
私であれば、いつでもビール片手に鼓舞しますので、心が折れかけてる同士よ、是非ご連絡ください。
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