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オケヨという女・皇嗣家から嫁もらうまで、59年目の人生⑦~サザンと恋と人生の予感
※本連載はドキュメンタリー強めの小説です
※サムネイラスト:カピ子
第七話 鵠沼での青春の始まり
オケヨは、学校の友達を絶対に自宅には呼ばなかった。
「お母さんが具合悪いから」
遊びに来たがる友達には、いつもそう言って必ず断った。本当の理由は、ただひとつ。・・・家を見られたくない。
オケヨの木造平屋の二間の家は、鵠沼のクラスメートたちの家とはあまりにも違いすぎた。
「オケヨちゃんの家に遊びに行きたい!」
そう言われるたびに、オケヨは心の中で身構えた。
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そんな彼女は、家では音楽に没頭していた。小学6年生の時、「ザ・ベストテン」でサザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」を聴いた。
「うぁ!この曲、すごい!!」
陽気でファンキーなリズム、ノリが良くて耳に残るフレーズ。
「今何時? そうね、だいたいね〜🎵」
サザンの音楽に、一瞬で心を掴まれた。
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オケヨの家には、テレビと小さなラジカセが一台ずつあった。テレビとラジカセをコードで繋ぎ、毎週「ザ・ベストテン」をカセットテープにダビングし、何度も何度も繰り返し聴いた。
この頃のオケヨは、シャネルズ、クリスタルキング、聖子、明菜など、80年代を彩るヒット曲に浸かって暮らしていた。アニメを見たがる弟とチャンネル争いになることもしばしばあったが、「ザ・ベストテン」だけは譲れなかった。
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オケヨには、同級生に気になる男子がいた。背が高く、成績も良いシュウイチ。
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