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オケヨという女・皇嗣家から嫁もらうまで、59年目の人生④~ネズの神様にテクマクマヤコン、欲しいものが手に入らないオケヨ

※本連載はドキュメンタリー強めの小説です
※サムネイラスト:カピ子

第四話 買ってもらえないオモチャと弟の誕生

昭和42年、オケヨが一歳になった頃、ウメコの夫カズヘイが突然の脳卒中で倒れ、あっという間に亡き人となった。

ウメコの下駄屋も、それと同時に店じまいを余儀なくされた。ちょうど安価で大量生産された下駄が市場を席巻し、職人技の需要は急激に減少していた。どのみち商売を続けるのは厳しくなっていたが、それでも実に20年近くお寺の敷地の片隅で懸命に働き続けた日々は、静かに幕を閉じた。

元来働き者のウメコは、地域の町内会で役員を務めるほど信頼を得ており、三畳一間の暮らしでも地域の中では立派な世帯として認められていた。だが、夫の死と下駄屋の閉店により、彼女は現実に即して新たな生活の場を探さざるを得なかった。

ウメコの町内会名簿。役員をやっていた記録もある。

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