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[微信読書]中国の現役人気作家の紹介
一体どのような作家が中国で現在人気なのか日本で紹介される機会が少ないように思うので、こちらの記事では微信読書という電子書籍アプリ内の総合ランキングに複数作品が入っている現役作家さんを数人紹介したいと思います。総合ランキングはブラウザでこちらから確認できます(微信読書総合ランキング)。読んだ作品については少し感想を書いています。
(2024年11月時点)
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馬伯庸 〜人気エンタメ歴史小説家
1980年生まれ。
この作家さんは現在中国で最も人気のあるエンタメ作家さんだと言えるのではないかと思います。『长安的荔枝(微信読書リンク)』という作品が『三体』を抑えて総合ランキング1位になっています。
『長安二十四時』『風起隴西(ふうきろうせい)』などドラマ化された作品が多数あります。中国の歴史を詳細に調べた上で書かれているようで中国国内でも大変評判が良いです。
『长安的荔枝』は唐代が舞台で楊貴妃のためにライチを南方から輸送しようと四苦八苦する役人の物語です。日本語訳未翻訳です。こちらの本は去年読みました。
中国の歴史や交通手段や距離、広大な土地だからこそ地域によって全く違う自然や食べ物、風習なんかを垣間見ることができました。主人公は宮廷で必要になる様々な物資を調達する役職についており、嵌められてライチを調達することになるのですが、この時代から中国のサラリーパーソンが官僚制度の中で苦労していたのかもしれないなと感じました。
劉慈欣 〜『三体』著者、ヒューゴー賞受賞
1963年生まれ。
現在日本で最も知名度のある中国人現役作家だと思います。
ヒューゴー賞受賞者。『三体』はドラマ化されており、中国のテンセント版とNetflix版があります。
中国語版の『三体Ⅰ』を少し読みましたが、各人物が男女関係なく機能的な感じがしました。テンセント版のドラマがそのへんを補完しているような雰囲気です。文革時代の章は中国語版だと冒頭ではなく中間に差し込まれており、更に描写も暴力的なシーンは削除されているので、中国の表現規制について感じる部分がありました。
余華 〜中国近現代庶民小説の名手
1960年生まれ。
こちらの作家さんの『活きる』は張芸謀監督によって映画化された作品でもあります。この『活きる(活着)』以外にも『血を売る男(许三观卖血记)』が評価が高く、最近でも新しい本を出版しています。
こちらの作品は2023年年初に読みました。中国語もそこまで難しくないので中国語読書の1作目としてもおすすめできると思います。
中国の中華民国時代以降の話で、もともと富豪の生まれだった主人公が賭博で一文無しになり落ちぶれたが、そのお陰で共産党に資本家として殺されずに済むなど、一般の庶民が時代に翻弄され戦争で徴兵され、飢饉で飢えに苦しみ、家族を失いそれでも生きていく。近現代の中国の庶民が巻き込まれてきて様々な出来事を主人公の視点を通して少し理解できたのではないかと思いました。自分の失敗、時代の荒波、権力、飢饉、事故など。それらを耐え勤勉に働く中国人の活きる一面について知ることができる本だと感じました。
莫言 〜ノーベル文学賞受賞
1955年生まれ。
ノーベル文学賞受賞作家です。アプリ内で最も人気のある作品は『生死疲劳(微信読書リンク)』という作品です。
『生死疲劳』は日本語未翻訳になりますが、中国1950年を初めに冤罪で殺された主人公が地獄で冤罪を訴えたあと、50年の間にロバ、牛、豚、犬、猿そして最後に人間に生まれ変わりながら自分の一家三代の変遷を目撃する、という作品です。冒頭の地獄の部分だけ読んだのですが、中国的な生死観や地獄も官僚制度なんだというのが印象深かったです。
李娟 〜魯迅文学賞受賞の随筆作家
1979年生まれ。
日本では他の作家さんに比べると知名度は比較的低いですが、中国の有名文学賞(魯迅、茅盾など)の1つ魯迅文学賞を受賞した作家さんです。現在2作品日本語訳があります。アプリ内で最も評価が高いのは魯迅文学賞を受賞した『遥远的向日葵地(微信読書リンク)』です。
この本は日本語未翻訳になります。
『遥远的向日葵地』は2023年に読みました。
読んだ時には中国にもこのようなすごい随筆作家さんがいるのか、と非常に衝撃を受けました。新疆ウイグル自治区アルタイの広大な大地の圧倒的な自然のエネルギーを彼女の澄み切った心の鏡を通してその強烈な光を浴びせられるような作品でした。
微信読書アプリについて
微信読書アプリについてはこちらの記事にて紹介しています
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