ラジオロゴの熱〜い制作プロセス
このプロジェクトは、2019年のものです。
関わらせて頂いているNishiikeMartが「コレデイイノダラジオ」という街のコミュニティラジオを始めました。
プロジェクトのアートディレクターとして、ラジオロゴをデザインする上で
デザインジャッジを街の方の投票で決めました。
特異で熱いプロジェクトだったので、制作プロセスを記事にしようと思います。
ここから、投票に至る経緯やロゴデザインの意図を書いていきます。
西池袋マートは、NishiikeMartへ
NishiikeMartは、要町、西池袋、椎名町の間に位置する西池袋マートというスーパーの跡地をリノベーションして、ブルワリーパブ、ギャラリー、ラジオステーションを併設した地域と文化の交流を目的とした交流拠点です。
シーナと一平やアホウドリを運営するシーナタウンのプロジェクトです。
NishiikeMartのネーミングやロゴデザインなど
コミュニケーション周りのデザインを色々と僕の方でやらせて頂いて、
ラジオステーションのロゴも担当しました。
ラジオロゴの案出し
一旦、ロゴを作る上での課題を整理し
ラジオプロジェクトを一つにまとめるマークのようなものが必要と考え、
5つの方向からラフ案を作りました。
スケッチレベルのラフ案の良さは完成度を気にせず、純粋にアイデアやコンセプトを見れるものなので、ロゴデザインの初期フェーズでチーム内確認などの時にオススメです。クライアントとの関係値やプロジェクトの進め方次第ではもう少しFIXに近いレベル感のものを見せた方がいい場合もあるので、この辺りはプロジェクトごとに要調整って感じです。
当初は、プロジェクトチーム内でプランのすり合わせをしていましたが、
ミッションにも掲げた「街の人へのフィット感」が気になりました。
プロジェクトメンバーは、シーナタウンの日神山さんとつよぽんと外部メンバーの僕と301です。
果たして僕らの作り出したラジオコンテンツは街の人に受け入れられるのでしょうか?
ユーザーヒアリングをやってみよう!
街の人も参加できるコミュニティラジオです。
プロジェクトをスタートしても、入り口の設計がまずいとターゲットは参加してくれません。
ざっくばらんに街の人にヒアリングした方が良いのでは?と考え、同じエリアにあるアホウドリというケータリングのお店のスタッフの方にヒアリングを実施しました。ラジオのコンセプトを説明した上で、ロゴ案を見て頂き、3つの観点を軸にインタビューをしてみました。
ヒアリングを通じて
ユーザーヒアリングは僕にとって、初めての試みでしたが
きちんとお願いしてヒアリングしてみると
「街の人のフィット感」「NishiikeMartとの連携をどう考えるか?」「ラジオカルチャーとしての装い」など
だいぶ深度の深い所まで意見をもらえました。
ユーザーヒアリングは多視的な見方や意見がもらえてとても面白いです。
必ずしもプロの知見が正しいわけではないことを学びました。
(頂いた意見をどう編集するかはプロの力量が出る所ですが)
認知度がまだまだなラジオステーションへの理解を深めることにもつながります。
街の人の投票でロゴを決めよう!
ヒアリングを通じて、街の人にデザインジャッジを委ねる
投票形式でロゴを決めてはどうかと思い、
プロジェクトメンバー内でプランを揉みました。
街のコミュニティラジオとして、「このラジオに参加することが楽しい」と思わせたいと説明しました。それが長期的にラジオが街の人に愛されて長続きするコツなんじゃないでしょうか?その入り口づくりとして、ロゴの投票を街の出来事にしようと。
ヒアリングを元に案を絞りました。
ヒアリング内容と、絞った案の意図を説明し、
そこかからシーナタウンさんと3案まで絞りこみました。
3つのロゴを清書
プラン出しから、ユーザーヒアリングを経て、
3案まで絞ったデザイン案を清書しました。
オフラインからオンラインまでの展開例を用意しました。
デザインコンセプトもご覧ください。
こんな感じで3案ともフルスイングする熱い仕事になりました。
さてこの後、どのロゴが選ばれたのでしょう?
投票はオンラインでも、オフラインでも
投票はオンラインとオフライン両方できるようにしました。
風太郎くんに作ってもらった投票サイトからコメントをもらったり、投票ボードで投票してもらったり、なかなか良い試みだなーと思いました。
下記は当時の告知文です。
NishiikeMartのオープニング
NishiikeMartのオープニングイベントでロゴの投票を呼びかけたりできて、
デザイナー冥利につきる展開になりました。
気になる投票結果。選ばれたのは?
投票の結果、B案に決まりました。
当時もオフライン、オンラインとお伝えしてきましたが、投票してくれた方、プロジェクトに協力してくれた方、改めてお礼を申し上げます!
まだ終わりじゃない。ロゴの詰め作業があるよ
さてここからは、ロゴデザインの最終行程です。
1mm角のグリッド上で0.25の倍数だけで構成した綺麗な数値にしたり、ロゴタイプのRの微調整。
このプロセス挟むことでロゴの強度が上がります。
H×Hの「念能力の誓約と制約」よろしく、デザインも何かで制限してあげると内容が良くなることがあります。言葉で縛ったり、グリッドに納めたり。
何十年も使われる可能性があるものなので最後は狂気と愛情でギュンと詰めます。
学び〜未だに、すごく生きてます!
このプロジェクトはデザイナーの僕にとって分岐点になるプロジェクトでした。
これまでは、「プロが考える品質の良いコミュニケーションやデザイン」を作ることを重視していましたが、
このプロジェクトで重視したことはフィット感です。
上記を獲得するために、ユーザーインタビューをしたり、街の人に投票してもらう仕組みを作ったり、これまでのデザインプロセスと違うアクションを入れました。
結果、色んな方の視点がプロジェクトに入ったり、色んな方に助けてもらったり。
デザインへの考え方がプロジェクトを通じて、かなり変わりました。
クライアントやユーザーとどんな距離感を設計するか?
彼らにとっての良きデザインとは何か?
今でも生きている学びだったと思います。
やりきれなかったこと(あえて書くと、)
改めて考えると色々あるんですが、1個書くとしたら下記ですね。
街づくり観点の公共性のあるプロジェクトだったので、学校連携できたら面白ろそうだったなと。ここをうまく連携できていれば、もっと投票数が増えたり、
街の人の意識の中に「コレデイイノダラジオ」が根付くきっかけになったのではないかなーと。
この辺りは、ネクストの課題として活かせればと思います!
長い記事になってしまいましたが、
最後まで読んで頂いてありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?