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オカマのふりした闇深男

これもかつて若い頃に遭遇した客である

ビール片手に男性が部屋を開ける

今回も出張マッサージでの出来事だ

愛想の悪い男性、店での利用は3回目

私は初対面である

いつものようにうつ伏せで足から始める

始まってすぐに「ホンモノ〜!!やっと出会えた〜!!」と甲高い声で叫ばれる

あ、そっちか、なら安心だな…と黙って続ける

テンション高めに嬉しそうに下着の話をして、オカマであることを暴露し始める

女性同士の会話、そう思っていた

ふと振り返って、私の鍛えられた上腕を見つめた

すぐさま四つん這いになり、尻を叩くよう要求を始める

ドン引きして断る私の腕をつかんで

無理矢理叩かせる

「エステティシャンにヒップアップの為には、お尻を叩きなさいって言われてるのよ!」

と無理すぎる理由を盾に、私の腕を利用する

ようやく冷静を取り戻し、謝罪される

困った…通常なら、即撤退だ…

ただ性的なことをされたわけでもない…

オカマなのでこちらに性的興味もないはず…

この判断が大きな間違いだった…

仰向けになり、私の腕とまた目が合う…

途端に片手で私の腰を抱えて抑えつける

もう片一方の手で、私の腕を掴む

「頬を叩きなさい!叩きなさいよ!」

と、無理矢理私の手で自分の頬を叩かせる

「本当にやめてください!」と抵抗しようにも相手は男である

「ごめんなさい、お母さん、ごめんなさい」

と、彼は頬を叩かせながら呪文のように唱える

そして口から流血しながら

「お母さん、お母さん、マーザーー!!」

と、果てたかのように脱力した

決してママではない、マザーなのだ

何を見せられたのだ、私は

人の手を利用して何をしているのだ

流石に撤退を試みる

しかし、「女を目指す者として、あんたのスタイルが羨ましいから触らせなさいよ」

「こっちはオカマよ、女に興味なんてないの、参考にしたいだけなの!」

と通用するはずもない言い分で、私を抑えて触り続ける

何分間にもわたる攻防戦の結果…

「もういいよ!何だお前!帰れよ!」と男声で怒り出す

その後、無言で帰り支度をする私に向かって

「そのまま向こうを向いて立ってろ、絶対振り向くな!」

と何度も言う

流石に言うことを聞くつもりもなく振り返ると…

そこには私の後ろ姿を見ながらシコる男の姿…

「やめてください!」と止める私に激昂して

「帰れっていってんだよ!ほら、金ならやるから!どうせ汚い生き物だと思ってんだろ!
触らないようにしてやるよ!ほら拾え!」と、

一万円札を丸めて投げつけられた

悔しくて悔しくて泣きながら帰った

オーナーに一連の報告をした時にはすでに、私のクレームの電話が店に入っていた…

それにしても、何だったのだろう

性別を超越した、深い闇を見た気がした

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